今(2017年)より約十年ほど前に、海外での就職が決まった。台湾である。
もともと、そういう職種で、海外就職も覚悟していた私には、大きな驚きはなかった。
が・・・、この十年、言葉の不自由さに加え、文化の違い等々、苦労を語りだせば止まらない。
何より、困った事態の一つに、とにかく物が壊れる、というのがあった。
台湾の名誉のために言っておくと、世界水準で言えば、台湾の生活は先進国レベルで、
粗悪品だらけというわけではなく、むしろ高品質と言ってよい。
しかし、日本の水準に慣れた私には・・・とにかく壊れるという印象が強い。
壊れたならば、新しく買うか、直すしかない。資金的に、そんなに使い捨てるわけにもいかない。
そんな私が取りうる選択肢は、ただ一つ。
そう、直す。
しかし、知り合いも多くはなく、言葉も巧みではない私には、どこが良い業者なのかが分からない
(残念ながら、外国人相手にぼったくってくる業者はかなりある)。
多少の補修は自力でするしかない。そして、直すには、部品を買い、工具を整えなければならない。
じゃあ・・・その部品や工具の名前は、台湾ではなんと言うのか。
ここから、私の終わりのない旅が始まった。
メーカー名すら不明の、何の変哲も無い家庭用モンキー。
台湾に来て初めて買った工具である。来台3日目くらいだったと思う。
アジャスタブルレンチなんて空(す)かした呼び方はしたことがない。