「企画専門窯」とは、私が作った造語です。
自社窯を持たず、(当然自前の職人も持たず、)
他社に焼かせた製品を売っている陶器販売企業を指します。
(より正確な言葉をご存知でしたらご教示ください。)
これらの企業は、台湾国内では「評判があまりよくない」らしく、
インターネットで検索しても悪口ばかりが目に付きます。
それも、「あまりよくない」なんていう、ソフトな表現ではなく、
「台湾陶器業界のゴミ企業だ。相手にするな!」
「あんなクソ企業の製品を買ってはいけない。」
といった、相当強い表現で、まさに罵られています。
反感の大きな理由を簡単に言うと、
・陶磁器は、職人が焼いているということに対して神聖な思いがある
(自前で作らないところに、ズルさを感じる人が多い)
・ビジネスモデルがあくどい
(台湾ブランドを悪用して暴利をむさぼっているようにも見える)
この二点であると考えられます。
調べてみると、
台湾国内のメーカーでありながら、本社の所在がはっきりしません。
本社の場所が分かっても、直営の販売店が台湾内に存在せず、
その一方で、主に大陸(中国)や華僑の多い東南アジアにはすでに販売拠点が複数。
そんな営業形態に見うけられます。
台湾陶器業界に詳しい人に話を聞いてみると、
「本社は台湾だが、生産は○○で、台湾製ではない」なんて話も・・・
また、製品を見てみると、他社ではあまり見ない奇抜なデザインを、
かなり高額な値段帯で販売しています。
しかし、見たところ品質的にはあくまで“ほどほど”の品質だと思われます。
あくまで個人的な感想ですが、
(デザインを無視して)単純な品質のみで話をするならば、
高級品とまではいえない、そのわりには割高な製品を売っているイメージ
があります。
つまり、安物ではないが高級とも言い切れない品質のものを、
(しかも、実は台湾製ではなかったりもする・・・)
凝ったデザインで他社に作らせて、(主に)海外で販売する際に、
「安心の台湾ブランド」
「しかもちょっとカッコいい」
などという触れ込みをつけることで高値をつけている、
そんなビジネスモデルが浮かび上がってくるのです。
しかしながら、観光地や街中でよく見かける台湾の茶葉メーカーなども、
裏面に自社のロゴを入れてもらっただけの、
少しばかり独自性のあるデザインのオリジナル茶器セットなどを出しており、
(他社で焼いてもらっているであろうことが容易に想像できるにも関わらず)
そちらは批判の対象になっていません。
つまり、「企画物」自体には善悪を判断する基準は無いと考えられます。
それでもなお、他人のふんどしで相撲を取っている感があるといいましょうか。
自前ではリスクを負わず、品物を右から左へ流すだけでお金にしようとしている部分がある
といいますか、どこか虚業の香りがします。
そのため、他の人にも嫌われているのでしょう。
(デザインを盗られたり、技術をごっそり持っていかれたり、そういう危険性だって多々あります)
個人的にも、ある種の納得のいかなさがあるのも事実です。
しかし、そこそこの品質で、他社に無い、人によっては魅力的なデザイン(と思える)の製品を
企画していることも事実なのです。
自前で作っていないため、企画料を載せなければ、会社の利益は出ないわけで、
割高になるのは、(陶器業に限らず)この種の企業形態では
ごく普通のことでもあります。
また、起きている現象を感情抜きに表現するならば、
どこかの会社が企画を考え、別の工場に製品を作ってもらい、
製品原価と企画料と利益を合計した値段で売っているだけとも言えます。
そして、粗悪品でしかも高いものに買い手はつかないわけで、
デザインがカッコいいから、高値でも客が買っているのだ、と。
結局は、割高なのを承知でデザイン料を払う気になるか、
つまり、そのデザインを気に入るかどうか、それだけの話だろうと考えております。