汝窯(じょよう)とは、中国の北宋時代(960年 - 1127年)に陶磁器を作っていた窯のことで、青磁の名窯とされています。
もちろん、汝窯以外にも、優れた陶磁器を作り出した窯はいくらでもあるのですが、この汝窯に、官窯、哥窯(かよう)、定窯(白磁)、鈞窯(きんよう)の四つの窯を加え、宋の五大名窯と称されるほどの名窯です。
汝窯は河南省臨汝県にあったといわれていますが、この場所も含めて、詳細は分かっておりません。1980年代に窯址が確認されたのですが、これは貢窯つまり民間の窯であり、汝窯は厳密には官営の窯の作品をさすため、結局のところ詳細は依然不明です。すでに廃れてしまった窯のため、その技法も伝わっていません。(記録によれば、釉には瑪瑙が混ぜ込んであって云々とか)現存するものも七十数点程度といわれ、かなり希少な存在です。(現存する汝窯青磁の大部分は、北京の故宮博物院と台北の故宮博物院にあり、そこで実物を見ることが出来ます。)
一部は個人の所有物となっており、とんでもない値段で取引されています。例えば、2012年4月4日サザビーズ香港にて日本個人蔵の北宋・汝窯天青釉葵花洗が. 1億8500万香港ドル(約20億円)にて落札されました。
もちろん、汝窯が魅力的なのは、単に希少だからではなく、その美しさにあると、私は考えています。
青磁は色々あるわけなのですが、テラテラしている青でもなく、わざとらしい、これ見よがしなヒビ(貫入)が入っているわけでもなく、なんとも絶妙な淡い青色、青緑色をしていて、物によっては繊細なヒビが表面を覆っています。