三、文献資料
さて、ここでは、文献資料について説明したいと思います。現代文化の研究は、先行研究や著書が少ないため、フィールドワークを中心とした調査をもとに執筆していく印象がありますが、ゴシック、ロリータ、ゴシック&ロリータについては、関係する文献が多くはないものの、存在することはご存知でしょうか。また、文献資料をきちんと使いこなすか否かによって、論文の印象がずいぶんかわってくるので、ここは手を抜くべきではありません。
それに「うさんくさくて軽そうな研究題材」にとって、確実な証拠として提示できる文献資料は「うさんくささ」や「軽さ」に対する反証ともなりえます。また、文献的な裏付けというのは、最も堅実な研究手法でもあるので、自分の意見の補強材料となるならば、是非とも活用していくべきです。
それではいくつかの項目に分けて説明していきましょう。
○研究論文
実は、ゴシック、ロリータ、ゴシック&ロリータに関する研究は少なくありません。しかし、決して膨大というわけでもありません。ゴシック文学やゴシック美術・建築を例外として、統一性のない先行研究群が存在するだけです。
この文章は、ゴシック、ロリータ、ゴシック&ロリータのファッションかミュージックに関する研究に関して述べているので、それらの論文について、説明します。
入手しやすい学術誌に掲載されているものもあれば、マイナーなジャンルのため極めて入手しにくい研究報告書や、同人文芸誌に近い雑誌に掲載されているものもあります。文献のすべてを集めることは、かなり難しいかもしれません。
しかし、大学の先生や大学院生が、学術論文として発表しているものなので、補強材料として使えるようならば、できうる限り使用した方がよいわけです。論文なので、大学の図書館を通して、問い合わせれば、大半は手に入れることが可能です。その程度の労力と経費は惜しむべきではありません。また、大学図書館経由では入手できなかった文献も、著者に直接交渉して入手するくらいの気合はほしいところです。
ファンにとって、Mana・上原久美子・三原ミツカズ・嶽本野ばら・大槻ケンヂ氏といった、シーンの大御所が雑誌で語った言葉の方がむしろ影響力はあるわけですが、しかし、学術的著作においては、大学の先生の論文の方が重みを持ちます。客観性や論理的分析がなされていることが多いからです。あなたの書こうとしている対象が、一般的に「うさんくさくて軽そうな研究題材」であることは常に忘れず、「きちんと検証・論述しています」という印象を植え付けられそうな手段を使わない手はありません。
「調査の結果、AはBであると考えられる。」
「調査の結果、AはBであると考えられる。Mana氏も『ゴシック&ロリータバイブル』○号にて、同様の意見を述べている。」
「調査の結果、AはBであると考えられる。Mana氏も『ゴシック&ロリータバイブル』○号にて、同様の意見を述べている。また、○○氏も『○○大学○○学報』○号にて、同様の意見を述べている。」
ゴシック、ロリータ、ゴシック&ロリータについて、何も知らない人たちにとって、どれが最も説得力を持っているように感じられる文章でしょうか。
指導教授の先生方に対して、論文作成の継続を説得する際にも、どこぞの大学の先生が書いた論文群を示すだけでも、指導教授の口の中の苦虫も一匹くらいは減ることでしょう。