中国茶は、日本茶と違うため、それなりに美味しく入れようとすると、
やはり専用の茶器が必要です。特に茶壺だけは専用品を買わないと、どうにもなりません。
(原理的には茶葉に湯を注ぎエキスを抽出するだけなので、
日本茶の急須で入れることも可能ですが、
茶葉と湯の分量バランスが難しいので、私は専用品を買うことを勧めています。)
その他は、代用が可能ですが、大きさや色合いのバランスを考えると、
最終的には専用品を買っていくことになると思います。
適当に集める → 使いにくいので専用品を買う
→ 専用品をコレクションしだす
→ 非専用品を見立で使う
では、値段的な意味で、どの位の茶器が必要なのでしょうか。
私の個人的な意見ですが、安物でも問題はありません。
メンテナンスのしやすさは、安物の陶器やガラスの茶器の方がむしろ勝っています。
ただし、高級な茶器の方が、見た目であるとか、長年使い込んだ場合の変化の具合であるとか、
茶葉と湯の配合バランスの取りやすさであるとか、わずかずつではありますが、優れています。
素材によって、メンテナンスの仕方も違うのですが、種類が多く、個人の好みでも扱いが変わり、
若干面倒なので、ここではざっくり値段的な話をしていきたいと思います。(価格は2015年頃)
まず安物です。
茶杯 一つ10~100NT (レートにもよりますが2016年の基準で1NT=3.3くらいが標準)
茶壺 一つ300NT前後
茶海 一つ200NT前後
茶杯6、茶壺1、茶海1の基本セットで1000弱~1500NTで揃うのが安物です。
大陸(中国)製のものや、B品の類がこの値段帯で売られており、バリや色ムラ(釉薬のムラ)、
微細な傷等々、よく見て納得して買うことが必要です。
(↓ 近所の五金百貨/雑貨店で売られていた39NTの汝窯)
次に中級品
茶杯 一つ200NT前後
茶壺 一つ1000NT前後
茶海 一つ1000NT弱
茶杯6、茶壺1、茶海1で3000NT前後でしょうか。
メーカ名で言うと、三希や丞漢のスタンダードラインの値段帯です。
中級品ですが、贈答に利用されるクラスの品でも有るので、個人的に楽しむ程度ならば、
この辺を持っていれば、十分だと思います。
質もそれなりで、種類も多いうえ、日本人にとっては手ごろな値段でもあるので
コレクションしても楽しいと思います。
(↓ 有記名茶の汝窯。色合い的に多分○○社に作らせたものかな・・・
なお、この三客合計の値段より、写り込んでいる亀さん(陶作坊の茶寵)の方が高かったりします)
では、高級品ですが、これは天井が無いので、とりあえず、
作家名がついていない(高級品としての)一般的な値段帯をまず書いておきたいと思います。
茶杯 一つ1000NT前後
茶壺 一つ3500NT前後
茶海 一つ2500NT弱
茶杯6、茶壺1、茶海1で12000NT前後くらいは必要になります。
メーカー名では陶作坊の汝窯シリーズなどがこの値段帯になります。
ただし、高級品は最初にも書いたように文字通り天井が無いので、
作家名無しで茶杯一つ3000NT、5000NT、
作家名があれば 1万NT、10万NTでも、驚かない世界です。
(↓ 陶作坊の汝窯、この写真の二客で中級品のセットが買えてしまう・・・)
なお、老婆心ながら・・・茶器はこりすぎない方がいいと思います。
個人的に納得、且つ他者の鑑賞に堪えるレベルで揃えると
量販品ですら一セット数十万円(現地価格)。
色や雰囲気を変えるためいくつか揃えるとそこで100万オーバー。
多分その頃には、量販品の質的な粗が目に付き、
上級グレードの茶器セットがほしくなったり(一セット100万)、
空間との調和が気になり出して、数百万単位の家屋の改装がしたくなったり・・・
最後は窓から見える景色だの音だの、家ごと建て直そうとか、わけの分からない話をし出す・・・。
茶器は無間地獄の入り口なのです。