2基現存(復元)
所在地;岩手県花巻市
案内板;看板あり
塚木;あり
北緯 39.25.34/東経 141.07.50/AL 104m(花巻空港前)
【写真:花巻空港の旧ターミナルビル 2009頃】
この付近から石鳥谷までかなりの距離直線が続く。
付近の聞き取りをした所、いわて花巻空港の正面玄関前のレンタカー会社の裏に井戸と塚が有るとの話。付近には一里塚にいわれのある屋号のお宅がある。ただし、この場所だと江曾一里塚から3km程しか離れておらず、逆に豊沢町一里塚へは5km程あり、正しい場所かは疑問も残っていた。
実際、岩手県「歴史の道」調査報告書では宮野目として現在の金婚亭(大きなドライブイン)付近との記述もある。
そうこうしているうちにいつも参考にさせて頂いているサイト「花巻このごろ」にこの一里塚についての記述が更新されているのを発見した。以下に管理者の高橋様より了解を得て転載します。
似内の一里塚は「西宮野目第11地割117-2に隣接とのこと。~一部省略~。この一角数坪は今でも官有地とのこと。昭和30年ぐらいまでは3メートルほどの塚があり、「森っこ塚」と呼んでいたとのこと。一里塚の標柱もあったそうだ。「ニガ木が生えていたそうだ。」増補行程記に「一方 ニカ木」と書かれていることと一致する。東側の塚は明治の頃既に木はなかったらしい。昭和8年ごろ耕地整理で塚も崩されたらしい。注:ニガ木はミカン科の落葉高木。きはだともいう。樹皮を漢方で黄柏(おうばく)といい、苦味があり、健胃薬に用いる。きわだ。おうばく。」
登記上も建設省(現在の国土交通省)所有地がいささか不自然に道路脇に存在している。地目は塚のいわれは無く残念ながら原野である。まあ、登記簿が整備されたのは明治以後だし、そもそも登記法上は「一里塚」という地目は無い(墓地、境内地はあるが)のだから仕方が無い。
との事で宮野目の金婚亭南側が正解のようである。では花巻空港近くの井戸は何かという疑問も出てくるが、高橋様の助言によると一里小屋(一里所)ではないかとの事。増補行程記に、苅屋沢堤の近くに一里小屋との記述があるそうで、下記の公文書も教えて頂きました。
天保六年 一里御用状吟味
覚
一切田多仲殿
諏訪民司殿 一通
横浜七郎殿 白石環殿
いそきいそき
一御勘定所 一通
いそきいそき
巳下刻立 右之通相渡申候 以上
二月十五日 四日町一り 運助
苅屋沢一里処 右之通請取申候 以上
二月十五日 苅屋沢一り 源四郎
右御用状之内御勘定所江之御用状同所江
相達不申趣申来候間向々急度吟味否之義
可申出候 以上
二月廿五日 御町奉行所 ?
従花巻盛岡迄 所々 一里所
右御用状深致吟味候処無相違相達候趣
三月九日 内状にて御勘定所より申訳来ル
この急ぎ書状の中にある源四郎さんが居た「苅屋沢一り」がその場所だと思われるとの事。なお、ここで言う「一里小屋」は青森県三戸の159駕籠立場一里塚でも少し触れているが、藩の公文書を継ぎ立てするための施設で盛岡藩では特に良く整備されていたもの。
【写真:いわて花巻空港に駐機するシルバースピットファイア 2019秋】
現在は花巻バイパスの分岐点で塚の前は取り残された行き止まりの道だ。国道沿いはビジネスホテルが建設中で、空港が近い事もあり開発が進んでいる。
令和元年の状況だが、バイパス分岐点の行き止まりに二基の塚が復元されている。出来たのは数年前で、説明板も設置された。