33年年諸兄姉どの(2024.02.03)
2024.01.08(月)フジプライムnews 「浮くか沈むか日本経済」
経済論客が4人が説く24年度展望(キャスター;反町里、新美有加)
・デービッド・アトキンソン、1965年生、ゴールドマン・サックス元マネージング、小西美術工藝社社長(在日イギリス人の経営者),「日本経済の見えない真実」(日経BP2022.9)を書いた門間一夫(日銀出身の経済学者)はアトキンソンを高く評価している。
・藤井 聡( さとし、1968年生〈昭和43年〉)、1998年、京大卒、京都大学大学院工学研究科教授、第2〜4次安倍内閣官房参与。
・矢嶋 康次(1968年生、1992年東京工業大学卒業、56才)ニッセイ基礎研究所 常務理事 チーフエコノミスト
・土居 丈朗(たけろう、1970年(昭和45年)8月17日 - )慶應義塾大学経済学部教授
★「岸田首相、経済三団体共済の新年会で;夏には、春闘の賃上げと一人4万円と所得減税を組み割わせることで、可処分所得の伸びを、物価上昇を上回る状態を確実につくってまいります。30年続いたコストカット型経済から所得増と成長の好循環による新たな経済に移行する大きなチャンスを迎えています。」
矢嶋;実質ベースでプラス、好循環の一部だ、しかし生活の満足感は得られないだろう。来年三月の春闘が問題になるという。
土井;定額減税は1.3%、しかし定額所得者層では、下位10%の層では6%増える。
下位10%~20%の層では3.5%増える。
更に公的年金2.9%増える(2023年の物価上昇を受けてスライド制により)
ただ、多くの中高所得者層では、1%程度、もらっても仕方がないないよねとなる。
問題は、好循環になるか否かが問われている。
藤井;云う通り。4万円は一回とは決めていない。ポイントは実質賃金が上がると云うとこまでコミットすれば、現在コミットされていない。岸田が決意しなければ,好循環は確実に起きない。
アトキンソン;この政策「あまりいいとは思わない」 25%の人が200万円以下である、税金がゼロになっても変わりがない、どうやって増やしていけるかだろう。
海外では、実質賃金は毎年1%確実に上がっている。日本は横ばいなので、今の賃金差が出ている。
・分配率のアップ、企業の収益の六割を賃金に
・内部留保にためるのではなく、設備投資をしてください
・イノベーションを確実にやってください
30年間の異常現象をやめよう。云っていることは正しい。問題は実現できるかどうかです。
矢嶋;去年を上回る数字が出てくるか。これが継続するとき、やっぱり企業は、もうかっているのでは、賃上げできるのですよ。人手不足だから、急に賃上げをしなければいけないと経営っは云い始めた。なにが変わったのか、何も変わっていないのです。実際に分析すると売上高利益率も上がっているのです。
アトキンソン;バブルの時、大企業の利益は11.2兆円、2022年では61.8兆円GDPに対して12%、アメリカでは一割弱。おまけに雇用についてアメリカでは30%、日本では60%。中小企業は、バブルの時、4.3兆円、2022年では9.3兆円。小規模企業では、バブルの時2.1兆円、2022年では3.4兆円。売上高利益率は3倍にもなっているが、労働分配率はずーっと下がっている。
・危険なことは、減税、全世界で減税している(コロナ対策で一部やっても)国はない。・ストライキをやりまくっている。・米国の場合、年5300万人が転職している。3人に一人の転職、日本は10人に一人だ。
経営者で上げたい人はいない、福祉事業ではないのだから、プレシッャがあって、やらなければならないのだから。まず、自分のできるところから、公務員など。
矢嶋;・公務員、介護人、
・労組が弱いことはアトキンソン氏と同意見です。・円安で空前の利益、内需はそこまで上がっていない。
アトキンソン;大企業は輸出をやっている、海外で儲かった部分は経常利益に計上されるものだから28.9兆円から50.9兆円に。2004年以降は、どの規模の会社でも増えている、国内も海外も激増している。
藤井;大企業に関しては国内も増えている。ウクライナ戦争などで価格転嫁がしやすくなった。
土井;大企業が上がっても、中小企業が上がらなければ、、賃上げの促進税なんかいいですよ。海外では賃上げを恒久的に上げる仕組みができあがっている。
矢嶋;かって労組は、雇用を守るという方針で進んだ。90年代、銀行が破綻する問う事態で、雇用を確保するのが一般的だった。このところ、地方に出張すると、バス、タクシーも拾えない。(一極集中は、昔から言われていたことだ。都市が、特に大都市がブラック・ホール化しているのは、いま始まったことではない。)
藤井;essentialworker、介護、交通を護る、今までの自由化の方向とは、逆の方向か。
アトキンソン;下請けは一割しかない。サービス産業、宿泊・飲食は下請けではない。公的部門も下請けではない。下請けに入っている方が上がりやすいと云えば上がりやすい。人口減少を上回る賃上げでないと経済は縮小する。
藤井;日本以外でも人口が減少している国は一杯ある。にもかかわらず成長している。1997年以降、そのあと70兆円ぶっこんでも伸びなかった。消費性向が50~55%だか
ら、それで消費税は減少する。
図サラリーマンの給与
土井;これは、ニセ相関関係だ。有名なニコラス・ケージが映画に出演すると、プールで溺れる者がふえるという、確かにふえている。これと同じニセ相関関係だ。1997年は金融危機で、貸し渋り、貸しはがし、大企業でもなかなか借りられない。リーマンショックは、まったく関係ない。ヨーロッパの諸国は、消費税を上げても成長は続いている。日本は価格転嫁ができない企業がたくさん残っている。
(真正面から、ニセ相関関係だと切って捨てたのも珍しい。アトキンソンも、矢嶋 康次も同じ意見だ。)
反町;なぜ生き残れたのか。ゾンビを生き残らせてきた。
土井;その通りです。いきなり、最初からではない、これだけ長きにわたる量的緩和政策の結果です。
矢嶋;海外では好循環の時に消費税を上げたから成長が続く,不況の時に上げればこうなる。たまたま重なったという。地方経済について20年も30年も何もやってこなかった。
反町;今、構造改革をやる状況ですか?
矢嶋;わたくしも感じないが、今日、はなさないわけにはいかないので。
土井;医師、介護、すべてにわたる。労働の働き方改革が必要。
反町;現状の政治状況では、ほとんど不可能ですよ。
アトキンソン;データによれば、消費税の採用は、1989年44か国、現在175か国EU27ケ国、税率平均21% でも成長続けている。これは見せかけの相関図だ。他の構造的なもの問題があった中で、本来消費税に与えられてない効果が生み出されて、ぎゃくに消費税を廃止することにより、起きる効果がある。日本人の生産年齢人口は、1995年以来、1400万人減っている、その中でもう一つの問題点は、社会保障である。1990年47.4兆円が134.3兆円に、86.9兆円に。日本ほど、人口の減っている国はない、ここまで急激に減っている国はない。人口の減っている国は、猛烈に設備投資をして、如何に賃上げをさせるかということ。一つの失敗は、公的部門の賃上げをしてこなかった。もう一つは最低賃金を上げてこなかった。ほかにあるのですか、何もないですよ。経営者があげてくれるなんて夢物語ですよ。
唯一残っているのは最低賃金の引上げ。安倍→菅→岸田に受け継がれて残っている。国として賃上げと設備投資の二つしかない。経営者が上げてくれるなんて夢物語だ。
藤井;(ニセ相関説に反論して)消費税をあげれば、必ず賃金が下がるという相関関係は、実在する。消費税3%up 成長率2.6%、5%up 成長率1.14%、消費税8%up成長宇率0.4%である。経済学的メカにズムが存在する。1997年、3%の消費増税をしたとき、バブルの崩壊で成長率が下がった。増税を吸収するインパクトがなかった。消費税をゼロにするのは無理として、消費減税が必要だ。
矢嶋;現実的な話をすると、資本市場をチェックしなければいけない。
反町;それは、株主が賃金に回せということですか?
矢嶋;そうです。人的投資を、設備投資としてやってチャンと収益を生み出すのです。90年代、雇用を守るにウエイトが求められたのです。賃上げに対する評価が低かった。2~3年前から人的投資という言葉が出てきた。
土井;わかるが、非上場企業が圧倒的だ。
反町;中小企業の整理統合が行われないとできない。
アトキンソン;日本の企業は99.7%,平均9人、上場企業でない。それが70%の雇用を占めている。その85%は社員3.4人だ。規制緩和は人口増加のモデル。3.4人の企業に開発は無理だ、とにかく安くすればという過当競争だ。価格を上げていかなければ無理だ。
(アトキンソンはwebsiteで統計上、小規模事業者の多くは実効税率ゼロです。なかには追加の課税から逃れるために小規模事業者のままでいる会社もあるくらいです。小規模事業者は、せめて中堅企業にならないといけません。 人口減少の観点からして、小規模事業者の中でも中堅企業にはならない、なろうとしない、慢性的な赤字企業はただの寄生虫ですから、退場してもらったほうがいいといっている。前述の門間一夫は、これはできないと云っている。)
(山本七平は「日本資本主義の精神」(昭和54年、光文社)で『日本は、常に倒産が必要な社会なのである』 倒産した明治の小野組や、ついこの間の3K(米、健保、国鉄)の自己保存志向による、赤字垂れ流し、納税者負担、これの克服には、簡単に言えば、「資本の論理」の徹底と、それを無視した倒産への「小野組への評価」のような。一種、冷酷とも言える評価が必要であろう。小野組は、明治維新の樹立に大きな功績はあった。しかし、経済の原則を無視するなら。その倒産は当然としなければ、この機能集団=共同体という体制のプラスの面が、そのままマイナスに出てくるのである。したがって。日本では、政府を通じての、納税者の過保護の強要ほど、あらゆる面で悪しぎ結果を将来する状態はない。日本は、常に倒産が必要な社会なのである。そして、このことと、それに従事していた者への生活の保障は、はっきりと分けて考えるべき問題である。以上が国家もしくは国民経済における問題点なら、企業自体も同じ問題を抱えていることを自覚せねばなるまい。p222)★アベノミックスに対する評価
矢嶋;ゼロ金利、マイナス金利で貸し出しの増えることを期待したが6~7年たっても、全然増えなかった。方向は、マイナス解除と、ゼロ金利up。米国が金利を下げ方向で、日本が上げ方向というのはないと安心いる。困るのは、金利のついた世界を知らない人々が1995年から一杯いる。社会的な混乱を招くかもしれない。1997年以降、企業は資金余剰になっているので、いま、おカネはいらない。しかし。100兆円規模で設備投資をすると、数年後にはカネが必要となってくる。金利がゼロと云う経済社会は、活力がない。
土井;需要と供給曲線、縦軸が価格で、横軸が数量。量的拡大により、金利を調整するが伝統的金融政策。
アトキンソン;そもそも資本主義は、その資源配分についてリスクフリーで、プレミアムによる配分が全く行われていない。1%払える企業も、20%、30%払える企業も同じになってしまう。減税、政府支出、ゼロ金利、量的緩和をやって来た。民間経済は機能しなくなっている。
藤井;財政の健全化は賛成、しかし財政の健全化の定義はGDP比の安定化、現在安定化している。方法として二つある。一つは緊縮財政、一つは積極財政、 減税をして2~3年の間に徹底的な財政出動をして経済成長が安定化するまでやる。1997年は増税して、コケてしまった。安倍さんもTVで反省しておられた。
★24年度国家予算について
土井;国債発行、世代間の受益と負担アンバランス、物価が2%より高くなければ、34.9兆円減らせる。推定物価上昇分40兆から100兆円負担減になっている。
藤井;積極財政をきめる。
アトキンソン;1200兆円、37.7兆円は国の負担だけです。事業者、個人の負担を含めると134.3兆円でGDP23.5%に達する(2015年の統計)。今後も増える、この負担増をどうするか?
矢嶋;この議論は、過去20年~30年やって来た。過去の事実を確認するデータがない。コロナのデータもない。おかしな国だ。
アトキンソン;政策立案の時から、データがない。これについては、土井、藤井、皆、賛成。
(相変わらずの「よらしむべし、知らしめるべからず」だ、官僚の、財務省の権力の根源になのだろう。)
日本経済への提言
アトキンソン;最低賃金6%引き上げ。
藤井;消費税減税
矢嶋;25年度三回目の賃上げ大事
土井;価格転嫁力の強化
イチハタ