33年net諸兄姉どの(2022.08.11)
昨日は東京工業大学と東京医科歯科大学の統合が公表された。わが母校に、如水会、OBも含めてショックキングなことになった。気分の悪いことおびただしい。
東京工業大学リベラルアーツ研究教育院は教授、助教授、準教授、講師も特命教授に池上彰も含めて68名の大所帯になっている。リベラルアーツに関しては一橋の世話にならない陣容だ。中島 岳志(なかじま たけし)もその一人だ。
中島 岳志(なかじま たけし、1975年2月16日 - 47才、)は、日本の政治学者、歴史学者。博士(地域研究)(京都大学)。専門は南アジア地域研究、日本思想史。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。テレビ朝日『報道ステーション』元レギュラーコメンテーター。
「弱さを包み込む社会を」と朝日新聞は表題をつけているが「重大な岐路に立っ社会」とすべきではないか
以下は、中島 岳志の結論である。
★生きづらさを抱えている人たちのために必要な政策は何ですか。
一つは[リスクを社会化]していくこと。セーフティーネットを強化して、所得の再配分機能を高めることも必要です。もう一つは「社会的包摂」。孤立している人を社会のなかに包み込んでいくことです。
ただ、政策論だけではやはり限界があります。人間観を根本的に見直さないといけないのではないかと思っています。山上容疑者を含め、いまの僕たちは、自己責任という呪いのよう人間観にとらわれていると考えるからです。
★どうしたらいいのでしょうか。
山上容疑者のものとみられるツィートには、こうあります。
「最も愛される必要のある脱落者は最も愛されないようにできている」。彼にも愛されたい気持ちがきっとあった。でも、弱さはマイナスの価値であると思いこみ、助けを求められなかったのでしょう。
まず弱さを認めること。誰かを頼っていいし、泣きついてもいい。自分の弱さを受け入れるところから、
人と人との連帯の可能性が生まれてくると思います。
★ネット上には、山上容疑者の境遇に同情する声も少なくありません。なかには、社会に問題を訴えたと評価するような意見すら見かけます。
安田善次郎刺殺事件に戻って考えてみましょう。事件後ヽ安田財閥莫大なな遺産相続に世間の関心が集まりました。すると実行犯の朝日平吾について、「不正を世の中に訴えようとした」とたたえる声が上がり始めました。やむにゃまれぬ思いからの犯行であったとして同情論も広がり、やがて彼を英雄視する風潮も生まれました。
そうした風潮は、結果的 に模倣犯を生んでしまいました。およそ1ヵ月後,18歳の駅員が自分も認められようと、当時の首相を刺殺一しました。原敬暗殺事件(1921年)です。
★暴力の連鎖沙起きてしまったと。
もし再び要人への暴力が連鎖してしまったたら治安維持のための権力が増大して、人びとの自由と権利が 制限されることにつながりかねません。戦前期の教訓は、暴力の連鎖を決して許してはいけないというこ と。いま僕たちは重大な岐路に立っています。
(聞き手・上原佳久)
ついで、国体論で知られた白井聡も、「そしてこんな時代(1908年戊申詔書、1911年大逆事件など、「天皇の国民(市畑注;簡単に言えば天皇の所有物)」という思想が揺らぎ始めた時代))において画期をなす事件としてたびたび言及されるのが、1921年に起きた朝日平吾による安田善次郎刺殺事件である。
朝日は、遺書の中で「天皇の赤子でありながら、この貧困と不平等を告発する」
そしてもちろん、大正時代の現実は、「陛下の赤子たちには平等な権利がある」というにはあまりに遠いものであった。ゆえに、朝日は「大正維新」を呼び掛け、自らその先駆けたらんとした。その実現手段としては、最急の方法は奸富征伐にして、それは決死をもって暗殺する外に道なし」とし、実行した。
「黙々の裡にただ刺せ、、ただ衝け、ただ切れ、ただ放て」という遺書末尾付近の言葉には鬼気迫るものがあり、現に朝日にに触発されるように.安田善次郎暗殺から約一ヵ月後、首相の原敬か当時18歳の青年であった中岡良一(コンイチ)によって刺殺される事件が起こる。
イチハタ