(一橋33ネット投稿)
ジョナサン・トーゴヴェニクの写真集
2023.11.3/Q羽島 賢一
写真家JRに引き続き国際紛争・民族紛争・戦争などを被写体にした写真家を取り上げます。イスラエルVS.ハマスの紛争は本格的な地上戦に移行しつつある。中東だけではなく、アフリカ大陸諸国でも数多くの武力紛争が今でも果てしなく続いている。20世紀最大の悲劇の一つが、1994年アフリカの小国ルワンダの対立する民族間で発生したジェノサイドである。その時、ベトナム戦争同様、大勢の女性がレイプされ、その結果、約2万人ともいわれる子供が生まれた。それは自分の家族を殺した男の子供である。また、半数以上の子供たちはHIVに感染していたと言われている。
これは、私たちの親子関係とは全く別のものである。喜び祝福する親子関係ではない。
この悲劇を写真集に纏めた写真家がいる。ジョナサン・トーゴヴェニク(Jonathan Torgovnik)である。
写真集の名前は「Intended Consequences:Rwanadan Children Bornof Rape」、日本の翻訳本では「ルワンダ ジェノサイドから 生まれて」となっている。
これは、日本の翻訳本の表紙の写真であるが、一見するとアフリカの親子の美しいポートレイトのように見える。しかし、子細に見ると子供を抱く母親も、抱かれる子供も無表情に見え、悲しそうである。
この写真に添えられている文章は「私は息子を愛していません」「この子を見るたびに、暴行凌辱の記憶が甦ってくるのです」と記されている。自分の家族たちを殺した男の子供を育てている、なんと言う悲劇なのでしょうか?
親子の毎日は、愛憎こもごものアンビバレントな日々を過ごしていることだろう。
写真集に収められている写真を転載する。
写真集の紹介記事を転記する。
意図された結果:レイプによって生まれたルワンダの子供たち
ジョナサン・トルゴンヴニク著
出版社の説明
1994年のルワンダ虐殺では、推定2万人の子供がレイプで生まれた。15年経った今でも、これらの子供たちの母親たちは依然として大きな課題に直面しており、その中でもとりわけ、フツ族民兵の父親を持つ子供を産み育てるという汚名が挙げられる。過去 3 年間、写真家のジョナサン トルゴヴニクはルワンダを繰り返し訪れ、これらの女性たちの物語を記録してきました。『Intended Consequences』に掲載されている肖像画や証言は、これらの生存者の大量虐殺体験と、耐え忍んだ恐怖を明白に思い出させる子供を育てることについての葛藤した感情についての非常に個人的かつ正直な説明を提供している。ルワンダのユニセフ職員であり、大量虐殺のこうした特殊な影響を研究しているマリー・コンソレ・ムカゲンドによる序文は、この複雑な主題の詳細な分析を提供している。ダルフールとコンゴ民主共和国での最近の残虐行為では、地域社会に不安を植え付けるためにレイプが再び組織的に利用されており、ルワンダ虐殺の遺産についてのトルゴヴニクの痛切な反省が緊急に意味のあるものとなっている。2009 年の春、アパーチャー財団、オープン ソサエティー研究所、アムネスティ インターナショナル、ルワンダ財団は、この重要な作品の国際巡回展を立ち上げました。
ISBN: 1597111015
出版社: Aperture
ハードカバー : 144ページ
言語:英語
インターネットの下記サイトもご参照ください。
https://www.lensculture.com/books/6721-intended-consequences-rwandan-children-born-of-rape
以上
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羽島 賢一 kenichi HAJIMA
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