大相撲における「入日本化」
U市畑進:2021.7.14

33年net諸兄姉どの(2021.07.14)

7月10日(土)朝日新聞BEで「入日本化」をやっととりあげた。

添付記事ですが、wifeに言わせれば「New日本化」ではなかったの、いや「Retro日本化」だ。まあ、協会が理想とする高見山大五郎(現在77歳)を取り上げ、批判を避けて書いているので全く感激もない。

世界7月号での『大相撲の継承発展を考える有識者会議提言書』に関して「和田静香(ライター、1965年千葉県生まれ)&星野智幸(作家、1965年ロス生まれ)の対談である。」和田は白鵬の熱烈なサポーターであり、星野は十両時代からの明生を押してきたという。この二人の発言は辛辣である。

『大相撲の継承発展を考える有識者会議提言書 「大相撲の伝統と未来のために」 大相撲の継承発展を考える有識者会議 令和3 年 4 月吉日』 委員長は山内昌之(歴史学者、東京大学名誉教授) 委員として今井敬、阿刀田高、王貞治、松本白鵬、大谷剛彦(元最高裁判事)、紺野美沙子、但木敬(ただきさとし、弁護士、元検事総長)

このうち山内昌之は2005.10.04に如水会館で講演会に参加した。歴史家といっても、イスラームの専門家である。

本文添付します。

◎「国粋主義に沈む大相撲」(世界のタイトル)

副題「相撲協会「入日本化」提言のここがおかしい。

提言本文p4より「大相撲における文化変容」

柔道と剣道の違いを参考にしながら、大相撲の多国籍化への対応を考えると、理論的には二つの道があるといえよう。

第一には、大相撲がいかに多国籍化しようとも、大多数の日本人が自然に受け入れてきた「大相撲の神事に由来する古典的な伝統·精神・技法をこれからも守るべき原理原則」と見なし、この方向で「相撲道」を継承発展させていく道である。この場合、親方制度や相撲部屋など大相撲の現行システムは基本的に維持される。

第二は、多様化した力士の出身国 地域それぞれが培ってきた固有の伝統 慣習 考え方 文化が生み出す個性を尊重し、多国籍化の進展に応じて大相撲が多元的な要素を受け入れ、新しい規則や脱日本的な「新相撲」の共通ルールを作り 出して大相撲の歴史と伝統が変容していく道である。この道を選ぶ場合、親方や相撲部屋などは、多国籍化に合わせて見直しを図ることになる。

多国籍化の道をたどってきた大相撲は、今後もこの方向に進むとみられる。し かし、相撲道の伝統の維持、大相撲の大局的発展の観点からは、次節以下で理由 を述べるが、外国出身力士の無制限の増加は避けるべきである。確かに、日本人力士の人材減少傾向が外国出身力士の増加を生み、彼らの活躍が土俵の充実を支 えてきた一面は事実である。

筆者は、「確かに」以下が主文だろうと思う。61年生まれの男の整体師に聞けば、柔道人口は、日本よりフランスが多いのだそうだ。彼は云う;相撲の「でぶでぶ太った」のは、はやらない。スリムな体で戦うのがいいのではないー人気がでるのではないかいう話であった。

本文p8より「大相撲はこれまで、第一の道を歩んできた。「相撲道こそ継承発展すべき大相撲 の大黒柱であり」、伝統的な親方·部屋制度によって外国出身力士を育成してきた。さらには外国出身ながら日本国籍を取得した師匠を輩出してきた。

私たちは、今後においても、大相撲が第二の道を選ぶことには賛成できない。

私たちが目指すのは、あえて比喩的に言えば、「大相撲への入門」が「日本への入門」でもあり、外国出身力士として「入日本」あるいは「入日本化」することである。 この言葉は、外国出身力士が自分の選択として、日本にしかない大相撲の世界に「入る」「入ってくる」ことで、大相撲を「国技」たらしめる日本の文化 伝統 慣習に「入る」「入ってくる」ことを意味している(本文p8よりから提言書通りです)。「入日本」「入日本化」と表現するのは、大相撲にいろいろな外国人力士が入門する多国籍化の現状と矛盾することなく、(中略)その結果、彼らは大銀杏や丁髯を結い、礼服として羽織袴、外出用日常服として着物を着用することが義務づけられる。「入日本化」;大相撲は、多数の外国出身力士を受け入れてきた。彼ら、たとえばハワイなり モンゴルなり、どの国の出身者であれ大相撲力士として「入日本」し、土俵の上 にあがることでファンを引き付けてきた。大相撲のファンは、外国出身力士が日本の伝統 慣習 考え方 文化を身につけて、日本の大相撲力士として「日本化」した新たな姿を見せ、日本の国技である大相撲の伝統を継承する担い手とって活躍する様子を喜んできた。

本文p26より「大相撲におけるインテグリティ(スポーツにおける誠実性・健全性・高潔性)とは、柔道、剣道などと並ぶ武道の一継承者と して、礼的な秩序と儀礼に支えられた相撲道の伝統の維持 発展と不可分に洗練され発展するものだ(原文通り)。」

余談ですが筆者は司馬遼太郎の「剣客商売」が好きである。ぎりぎりのインテグリティを残しながら「商売」と言っているのが面白い。

★以下二人の対談1

「和田;こうした精神論を笑ってばかりもいられません。それは戦中には武道としての相撲道が強調されることで、皇民化教育のなかで大きな役割を果たしたたからです。軍人が土俵に立って、戦果を称えたり、山本五十六のような戦死者を追悼しました。」

「星野;興行として客をあつめることに腐心してきた大相撲が日本精神を体現するものとして奨励された。全国の小学校に土俵が作られて、子ども達もたち日本精神を学ぶために相撲を取らされたらされた。それが武道としての相撲観であって、伝統とは全く関係がありません。」

「和田;報道でも取り上げられましたが報告書のなかで一番ギョッとするのが「入日本化」という言葉です。この文章の気持ちの悪さというのは………

「大相撲のファンは、外国出身力士が日 本の伝統 慣習 考え方 文化を身につけて、日本の大相撲力士として「日本化」した新たな姿を見せ、日本の国技である大相撲の伝統を継承する担い手とって活躍する様子を喜んできた。」

「星野;背筋が凍ります。植民地に対するする同化政策の歴史について学べば、それが権力のある側に従属させる制度だったことがわかります。自分たちのたちの思い描くように相手を変えようようという奴隷化というか、人間の人格のコントロールと呼ぶべきものですよね。「入日本化」はそれを思わせる言葉です。」

 本文p11より「大相撲のファンは、外国出身力士が日本の大相撲力士として新しく変容した姿を土俵上の勝負で見せて活躍する様子を喜んできた。しかし、外国出身力士が勝ってガッツポーズをしたり、優勝パレードで出身国の国旗を翻したり、優勝インタビューで万歳三唱や三本締めを求めた時などは、日本の大相撲の力士らしからぬ振舞いとして、少なからぬファンが違和感を覚えると同時に失望してきた。これは力士に「入日本化」を期待している以上、当然のことであった。

本文p27より「力士が全力を尽くして戦うことに相撲の神髄を求める国民は、土俵の充実を欠いた相撲に失望し、仮に横綱がそのような相撲を取れば、相撲人気もたちまちに失われかねない。この意味で大相撲のインテグリティを左右するのは力士最高位の横綱であり、自覚と使命感をもって土俵の充実と勝負の充実に貢献してもらわなければならない。

★二人の対談2

「星野;少し踏み込んでいえば、これらが主に横綱白鵬への非難であることは、少し相撲を知っている人なら、だれでもわかります。」

「和田;白鵬が10年も続けてきた「白鵬杯」は相撲一つのあるべき姿を見せてくれています。世界中に開かれた小中学生のための相撲大会で、第九回(2019年)では体格も国籍もバラバラの少年たちが1200人もあつまりました。少年たち、保護肴や指導者、それに現役の力士たちが自由に交流して、お祭りのようで楽しくて。それが相撲の間口を広げて、力士のなり手も増やしています。(注;第10回も実施されている。you-tubeで白鵬杯入れれば見ることができる。)」

(協会が白鵬の動きに神経を使っていることは確かである。)

★スポーツ庁のガバナンスコード女性理事40%目標について

p29より相撲協会は、すべて男性の力士が競技を行い、男性の年寄が興行 巡業などの業務を実施し、男性の行司·呼出しが競技の進行を仕切るなど、男性のみで競技そのものを運営する団体である。大相撲は競技に男子部門と女子部門を持つ団体ではなく、同じ競技組織内に女性の構成員を持つ団体とは性格を異にしている。

アマチュアの日本相撲連盟に女子部門があるとはいえ、プロとしての日本相撲協会の大相撲は男子によって担われてきた伝統競技であり、スポーツ庁のガバナンスコードの精神を尊重しながら弾力的に運用されるべき面もある。業務執行を行う理事会に女性理事 4 0 %以上の選任を求める必要性と合理性は、「アスリートファースト」の観点から言っても大相撲にすぐに当てはまるものではない。

しかし、あまり知られていないが、すでに日本相撲協会は事務局員のうち3 0 % 以上が女性であり、人事 経理 法務に加え営業 広報 映像制作などの重要な仕事について室長 室長代理を含む女子職員たちが担っている。また、大相撲を支える相撲案内所(茶屋)の経営や、国技館サービス 場内整理の仕事はもっぱら協会委嘱の女性の貢献によって円滑に維持されている。彼女たちの活躍なしに、興行としての大相撲の華やかな魅力と活気を語ることはできず、これらの点での 協会の努力は評価されてよい。

筆者には、『「アスリート・ファースト」の観点から』、『協会の努力は評価されてよい。』という結論、これは、何を言っているかわからない。

女子の職場、例えば電車、バスでも、ダンプカーすら当たり前で、

いまされ、評価されてよいとは、信じられない。

筆者が問題視するとすれば、かなり前にも問題になった女性が「土俵」に上がること禁止する不文律である。神道の「穢れの」思想からきているのだろうが、実に不愉快な不文律である。AKB48や乃木坂46などに土俵上で踊ってもらい、こうゆう呪縛を一気に取り払いたい。

最後に 熊谷伸一郎 世界編集長 編集後記を載せておきます。

 「入日本化、今号に収められている、おそらく20万字は超える活字の中で、もっともおぞましく感じる文字の組み合わせを挙げろと言われれぱ、筆頭はこれである。大相撲をめぐる有識者会議の提言書に出てくるのだが、星野氏は日本の植民地支配を想起させつつ批判し、和田氏から入管法改悪と関連して指摘するように、他国出身者に同化を迫る暴力的発想を、ここまで無邪気にふりかざせる感覚が、なんともおぞましい。」

朝日新聞記事(JPG・1枚)と
有識者提言書(PDF・51頁)は
本文の下にあります。

有識者会議令和3年4月吉日 (1).pdf

イチハタ