森 正之 兄

山崎正和氏逝去についてのメール拝受。

その昔、ある結婚式で山崎正和氏も同席されており、冷や汗をかいた思い出があります。

もう30年以上も前のことですが、NY勤務を終えて東京本店の業務部米州室に

着任後間もなく、アシスタントの女性の結婚式の主賓の一人として出席しました。

主賓挨拶の要請を受けていたので、何時ものごとく、世阿弥の「初心忘るべからず」

の言葉を軸に挨拶しようと思っていました。

会場に案内され、新婦側主賓席の一隅の席について、周りを見渡したところ、

隣の新郎側主賓席に、奇しくも山崎氏が着席されておられるのではないか。

もう遅い、今更　祝辞の内容を変える程の余裕もなかったので、観念して前記の

「初心忘るべからず」を話す前に，「ここにご出席の山崎先生の戯曲『世阿弥』の

言葉を引用させて頂きます。云々・・」と言葉を加えてその場を凌ぎました。

この言葉の真の意味は、「初心＝初体験＝未熟な芸を忘れずに、その後に生かせ」という

ことらしいのですが、その時は、「スタートラインに立って来るべき人生の荒波に備えよ」

程度の気持ちで、この言葉を利用した覚えがあります。

今となっては、懐かしくも、赤面の至りだった次第です。

下條 剛一

Q森正之:追悼山崎正和氏(転載)2020.9.6

◎山崎正和氏の写真はサントリー文化財団の追悼メッセージより転載させていただきました。