U市畑進:中国の行方 2023.9.13 Home

33年net諸兄姉どの2023.9.14)


最近のNYtimesでは、China’s economic slump is testing Xi’s agenda と書かれた。 習近平の「共同富裕」を中心とした政策にに関してである。


中国の行方はアジアの運命に関わるものである。少し整理してみた。


『この国の経済が抱える問題として格差と貧困が見えてくる。まず、「格差」であるが、都市労働者の年間平均収入(2019年)をみると.産業別(非民間企業)の最高収入は情報通信・ソフトウエア関連で16万1352元なのに対し.最低収入は農林・牧畜・漁業が3万9840元と四分の一にすぎない。また.省・都市別では最高収入が北京の16万6803元で、最低は河南省の6万7268元と極端な格差が存存することが分かる。(注 中国国家統計局の発表では2020年の中国のジニ係数は0.47で、日本の0.37に比し、貧富の差は大きい)


次に「貧困」であるが、中国の統計は掌握し難いが、李克強首相が2020年5月の全人代後の記者会見で発言し、(中国には、月収1000元(1.5万円=年収18万円)以下の人が6億人いる。地方都市では家も借りられない状態と発言し、習近平政権が掲げた2020年末までの「全面脱貧」という方針が実現不可能なことを認めた。この発言が伏線となり、2021年8月には「共同富裕」の実現という方針が提示され、11月の「歴史的決議(長期的政権)」へとつながっていった。』以上寺島実郎「世界2022.4、p65-66」より。


Websiteで見ると2021年8月17日、中央財経委員会の第10回会議で行った演説で共同富裕について詳しく説明した。「共同富裕は社会主義の本質的要求であり、中国のモデルの現代化の重要な特徴である。共同富裕とは、全ての人々が共に豊かであり、物質的・精神的の両方面で生活が豊かであることを意味する。それは少数者の富の偏在でも、均等主義の一様な分配でもない。」と説明してある。


『中国当局は、2020年末よりアリバパやテンセントなどの大手IT業に対する独占禁止法の適用を通じた締め付けを強化Lてきた。21年夏になると、このようなIT企業への締め付けは、単なる独占禁止法の適用という枠組みを超え、「共同富裕」というスローガンを掲げた政府の再分配政策へと進化を遂げた。同年8月に開催された共産党中央財経委員会では、「共同冨裕」を社会土義の本質的な要求だと位置づけ、その実現のための手段として個人や団体が自発的に寄付する「第三次分配」を提起し

た。これは、平等な社会を実現するめに、土地や資本などの生産手段の再分配を第一次分配、税収と財政支出を姐じた吋分配を第二次分配とL、それ以外の再分配の手段として位置づけられたものだ。この方針を受け、アリババ、およびテンセント(などのチャイナ・テック(Baidu,Alibaba,Tencentなど))は相次いで、2025年までに1000億元(約1兆8000億円)を政府に拠出することを約束した。ほぼ同時に行われた塾などの教育産業やゲーム関連企業、さらにはアイドルなどのファンクラブ(「推し活」)への締め付けも、この「共同富裕」の名目で行われたという見方が広く共有されている。』以上梶谷懐「世界、2022.4p90」


『しかし、この10年で巨大化したチャイナ・テックは、中国政府にとって「無視できないほどにやっかいな存在」となった。その一つの例は、チャイナ・テックが収集し、管理する膨大なデータだ。ネットショッピングからSNS、スマホの位置情報、金融信用のスコアリングなど、人々についてのほとんどの情報がデータ化されるようになり、チャイナ・テックは中国政府より多くのデータを持つようになったといわれる。中国政府は企業や個人からこれらデータを拠山させる権限を持っているものの(国家情報法)、それでも共産党が体制の強化・維持の観点からピッグ・テックを警戒するには十分な理由だ。多くの国の政府が、GAFAやBAT(Baidu,Alibaba,Tencent)などのビッグ・テックに対し、「すでに国家の力を超えている」との危機感を強めているが、中国政府も同じ意識を持っているといえる。


(9.13日朝日によれば,米国でGoogleに対する反トラスト法違反の裁判が始まるという。1998年のMicrosoftに提訴して以来の大型裁判になるという)


 さらに俯瞰していえば、ここ数年で、IT企業をはじめ多岐にわたる分野の企業への規制が強化されている背景には、中国政府による「共同富裕しという方針がある。

改革開放によりて富裕層と貧困層の間の格差が拡大する中で、国民の不満は高まりつつある。これを警戒する中国政府が出した是正策が「共同富裕」であり、社会的平等を重視し、中間層を厚くすることで経済発展の質を向上させようとすするものだ。

「富裕層」の象徴であるIT産業への規制強化は、ある意味で国民へのアッピールともとれる。こうして潜在的不満が自らの政治体制に向けられる危険を察知したのか、2022.5月、中国政府はこれまでの方針を軟化するとの発表を行った。5.16に開催された国政助言機関、人民政治協商会議(政協)で、劉鶴副首相は「プラットフォーム経済や民間企業の持続的で健康な発展を支援しなければならない」と述べ、IT企業の国内外での株式上場を促進する考えを示した。存在感を強めるITを業に対し、資本の無秩序な拡大を防ぐ」という名目で独占禁止や海外上場の規制を強化してきたが、こうした規制は企業の活力を奪っており、懲罰的なな措置が企業を萎縮させ、IT各社は収益見通しの下方修正やリストラを迫られている。またゼロコロナの経済影響が深刻化する中、若者世代の雇用悪化を引き起こしている。これへの対応として、強い規制の手を緩めるという妥協策が出されたのだ。その前月の4月にも習近平指導部は共産党の会議で「健全な発展を促し、特別な改善を完成させる」という方針を示し、締めつけにひと区切りつける姿勢も示していた。振り子のように揺れるれる中国政府の姿勢からは、中国が抱える大きなきな課題…すなわち巨大化したチャイナ・テックを野放ししにしておけば政治体制にとっての危機になるという面と、同時に、これら企業には当面、経済成長のエンジンとしてグローバルに活躍してもらう必要がある、という二つつの相反するベクトルの中でのジレンマを読み取れる。』以上は内田聖子「世界、2022.9、デジタル・デモクラシーより」


イチハタ




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中国経済の低迷は習主席の政策を試している