U市畑進:カタリーナ・カリコ博士ノーベル生理学・医学賞 2023.10.3
33年net諸兄姉どの(2023.10.03)
2日、今年のノーベル生理学・医学賞を独バイオ企業ビオンテック顧問のカタリーナ・カリコ氏(68)、米ペンシルバニア大ドリュー・ワイスマン教授(64)に贈ると発表した。
とくに、カタリン・カリコ博士の受賞については、早くから主張していたわたしとっては喜びに堪えない。
当時の文章―山中伸弥教授との対談や、彼女の苦難に満ちた研究生活を再掲する。
イチハタ
『33年ネット諸兄姉(2021.05.31)
今回 遅まきながらの2021.05.27NHKクローズアップ現代をベースに新ワクチン開発を洗ってみる。
2021.05.27NHKクローズアップ現代 「新生ワクチンは世界を救うか!? 開発の立役者 カリコ博士×山中伸弥」
(tv案内の前書)ノーベル賞候補の呼び声も高いカリコ博士・ワクチン開発の裏に山中教授のIPS細胞の研究があった!「山中教授のお仕事を尊敬しています」
(カリコ博士) 「新たなワクチンが必要となれば4~6週間でできます」と語るカリコ博士 そのわけは開発まで時間がかかるとされるワクチンがこれほど早く! 不
屈の精神が生み出した! ハンガリーからアメリカに移住し、研究に打ち込んだカリコ博士の波乱万丈の人生 カタリン・カリコ(1955年1月17日生まれ
-66歳)の名前は、一躍世界中で知られるものになった。
(注)カリコー・カタリン(Karikó Katalin, 1955年1月17日 - )はアメリカ合衆国在住のハンガリー人生化学者。ハンガリーと米国の二
重国籍(米国籍は1999年に取得)。バイオンテック上級副社長(Senior Vice President)。ハンガリーのソルノク県(現在のヤース・ナジク
ン・ソルノク県)ソルノク市出身。姓は「カリコー」と伸ばすが日本では英語からカリコと短母音で表記したり、名前のカタリンを英語風にケイトと表記したりするの
も散見されるが、本人は複数のインタビューでも自分はハンガリー人であるということを強く主張している。なお、母国のハンガリーにあるセゲド大学で遺伝子学の博士
号を取得している(このフレーズよりGigazineより追補)、以上Wikipedia
彼女が人生を捧げ、研究してきた「メッセンジャーRNA(mRNA)」の技術によって、世界はいま、新型コロナウイルスから救われようとしている。ノーベル賞受
賞も近いと噂されるカリコ博士と山中伸弥の対談である。山中教授との縁は「メッセンジャーRNA(mRNA)」を使うとIPS細胞をつくるのに効率が良いことだそ
うだ。
山中教授の最初の質問は「変異ウイルスがさらに出たときには」彼女は云う;4~6週間で新しいワクチンをつくることができる。
山中教授から「唾液」という意外なところに抗体があることを指摘する。(つまり口にウイルスが入っても大丈夫ということだ。つまりマスクがいらないということに
なる。)
(注)母乳にも抗体があるという話だが、確認していない。
第二の質問は、何カ月抗体が続くか、答えはいま打ってから6ケ月の人で確認、9ケ月たったらまた調べてみる。山中教授は1,2年効果があるといいですねという.
メッセンジャーRNA(mRNA)とは、ウイルスの突起・棘(スパイク)の設計図を『人工的』につくり、特殊な油で包み、ワクチンとして使う。その効果は
1. は「抗体」がウイルスを捕獲し、ウイルスの表面にある「スパイクタンパク質」と結合することで、細胞内へのウイルスの侵入を妨げる。
②は細胞の反応「細胞性免疫」です。T細胞(Tリンパ球)が、感染した細胞の表面にある、ウイルス由来のスパイクタンパク質の微小片を探し出し、細胞を破壊す
る。(Gigazineの説明を借用)
★二人の結論は「不可能」を「可能」にするということであった。
彼女は、社会主義であったハンガリーでは、研究費が削られ、ハンガリーから脱出することが必要だった。「お金を持って出国すると思われないように、娘のクマのぬ
いぐるみに少しのお金を隠しました」。1985年、30歳、夫&娘と三人、片道切符(one way ticket)でアメリカに着いた。しかしRNAの研究は主
流のDNAの研究の陰に隠れていた。フィラデルフィアのテンプル大学でポスドク研究員として働き始めました。しかし、テンプル大学の上司がカリコ氏を国外退去させ
ようとしたため、やむなく4年間務めた同学を辞職してペンシルベニア大学に籍を移すことになりました。ペンシルベニア大学でmRNAの研究を続けることになったカ
リコ氏ですが、ここでも冷遇を受けてしまいました。なぜなら、mRNAの研究が進むにつれて「重大な健康被害につながる免疫反応を引き起こす危険性がある」「人
体の中では極めて不安定で壊れやすい」という欠点が表面化して研究が下火になり、助成金もつかなくなってしまっていたからです。2005年には、同僚のドリュー・
ワイスマン博士とともに「修飾ヌクレオチドを使うと免疫反応を抑えられる」ことを発見し、論文として発表。一定の成果を挙げたカリコ氏ですが、ペンシルベニア大
学はカリコ氏の功績を認めるかわりに減給処分とし、教授職からも遠ざけてしまいました。研究の道を閉ざされたカリコ氏は、2012年にペンシルベニア大学に見切り
をつけてドイツの製薬ベンチャーに就職しました。その会社こそ、ファイザーとともにmRNAワクチンを共同開発したBioNTechです。カリコ氏をシニア・バイ
ス・プレジデントとして迎え入れたBioNTechは、脂質の膜でmRNAを保護することによりmRNAの不安定さを克服し、新型コロナウイルスワクチ
ン「BNT162b2」を開発しました。また、もう1つのmRNAワクチンであるモデルナの「mRNA-1273」も、カリコ氏の研究を基に開発されたワクチンで
す。2020年12月にペンシルベニア大学で新型コロナウイルスワクチンの予防接種を受けたカリコ氏は、インタビューに対して「私は謙虚で幸せな気持ちでいっぱい
です。私はどちらかといえば基礎科学の研究者で、ワクチンや感染症の研究はしていませんが、いつもmRNAを用いた治療法のことを考えてきました。mRNAの研
究に関心が集まる中、mRNAワクチンの技術が他の病気の予防や治療にも役立つようになることを願っています」とコメントしました。Gigazineより
(注)バイオンテック(ビオンテック、バイオエヌテック などとも、ドイツ現地での名称: BioNTech 社はドイツのマインツに本社を置くバイオテクノロ
ジーに関する企業。疾患治療に対する患者特異的なアプローチのための能動的免疫療法(英語版)を開発している。個別化されたがん免疫療法、感染症に対するワクチ
ン、希少疾患のタンパク質補充療法に使われるメッセンジャーRNAをベースとした医薬品候補を開発しているほか、癌の治療オプションとしての細胞療法、新規の抗
体、低分子免疫調節剤を開発している。2020年には、バイオンテックが開発しているCOVID-19予防のためのワクチン候補であるBNT162b2に関し
て、アメリカにおいて第III相試験が実施されていた。12月2日には、イギリス政府はHMR(英語版)(ヒト用医薬品規制)に基づき、イギリス国内におけ
るBNT162b2の接種を一時的に認可している。以上Wikipedia
日本の敗戦;日本は昭和40年代まではワクチン研究開発や製造の先進国であったが、今回の遺伝子技術を応用した「メッセンジャーRNA(mRNA)」というべ
き革命的なイノベーションを前に、先進国に比べて「三周半遅れ」となった。(日本の敗戦;船橋洋一;2021.04文芸春秋)
ご覧いただいたように、米国でも、このざまだったから、日本では全く取り上げることはできなかったろう。
イチハタ』
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