日本の低経済成長
U市畑進:2021.10.30  Home

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15:18


33年net諸兄姉(2021.10.30)

明日は選挙ですね。財務相矢野次官の話を中心に経済成長に関する論点を整理してみました。

矢野康治(1962生、1985年卒,財務省)は、一橋だが、「大和魂」を持って建言するといっている。(文芸春秋11月号)。面白いね、「大和魂」なんていうやつが今でもいるのだ。

現在、国の長期債務は973兆円、地方債務を合わせると1166兆円になる。GDP比2.2倍である。付け加えると日本銀行が485兆円(令和元年3月末4,859,181億円),国の長期債務は973兆円の49.84%を保有している。

★矢野次官の言い分(文芸春秋11月号)

「ワニのくちは塞がなければならない」(添付1)

 歳出と歳入(税収)の推移を示した二つの折れ線グラフは、私が平成十年ごろに「ワニのくち」と省内で俗称したのが始まりですが、その後、四半世紀ほど経ってもなお、「開いた口が塞がらない」状態が延々と続いています。が1.6%を超えるほどのいわゆる完全雇用状態の下でも、黒字にはなりませんでした。ですから「経済成長だけで財政健全化」できれば、それに越したことはありませんが、それは夢物語であり幻想です。更に、わが国は、向こう半世紀近く続く少子高齢化の山を登りきらねばなりません。GDPを増やしても赤字か滅らない理由;今のような超低金利情勢のもとでは、金利が事実上ゼロなので、中には「今こそ、思い切って大量に国價を発行して、有意な財政出動によってGDPを増やすべきだ。そうすれば、『国債残高/GDP』の分母が増大するから財政も健全化する」と唱える向きもあります。一見まことしやかな政策希ですが、これはとんでもない間違いです。たくさん借りて財政出動をしてGDPを大きくしてしまえば、相対的に借金(U国債歿高/GDP)は減るはずだという考えがあります。

 しかし、財政出動を増やせば、単年度収支の赤字幅(正確に言えば基礎的財政収支赤字のGDP比)が増えてしまい、それを相殺してくれるはずの「成長率-金利」の黒字幅との差が開いてしまいます。その結果、「国債残高/GDP」は増え続け、いわば、金利は低くても元本が増え続けてしまうので、財政は際限なく悪化してしまうのです。

 先ほどの政策論のどこが間遠っているのかと言えぼ、財政出動によって、「国債残高/GDP」の分母であるGDPが一定程度は膨らむにしても、分子の国債残高も金利分だけでなく、単年度収支の赤字分も膨張してしまう点が無視されているのです。(p99原文通り)

矢野の言い分は日本の現在の経済構造では成長はあり得ないという話だ。これに似た話は宮台真司が「日本は産業構造の転換に必要な政策を採れません。政策がとれない背景こそ重要です。それは日本社会の劣化です。」(朝日2021.10.14)→既得権益に触れらないということらしい。 

藤巻元史は、日本銀行は崖っぷちにある、日本は倒産状態にあるという。→日本銀行の持つ485兆円の償還は不可能だとすれば、銀行的に見れば不良債権になる。こんな不良債権を抱えた日本銀行は当然、債務超過で倒産銀行ということになる。一方日本国も返済できない借金を抱えているから破産団体であるというのことになる。

しかし潰れていない。

★成長しない経済構造

①「経済成長はあり得ない。成長は神話だ」という(水野和夫「資本主義の終焉と歴史の危機、集英社新書 2014.03) 彼いう、現在の国債残高を日本株式会社への会員権(出資)と考えたうえで、借りかえ換えを続けて1000兆円で固定したままにしておくことが重要です.現在は、歳出90兆円に対して、40~50兆円の税収しかありませんから、放っておけば1000兆円の借金が1100兆円とどんどん膨らんでいきます.そうなってまったら、先ほどいったように、日本だけでは国債を消化できず、外国人に買ってもらわなければならない.でも外国人にとっては日本国債は会員権ではなく金融商品にすぎませんからゼロ金利では承知してもらえず、金利は上がるかることになります.それでは財政破綻を免れることはできません。(p193)しかし、この本の出版から7年、現在1660兆円になっているから、とっくに破産していなければならない。しかし破産していない。

②東京大学大学院教授の渡辺努(朝日新聞2021.0908)は成長しない理由を「壱円だって上げるの嫌だという国民の心理が主犯だという」

③林芳正(文芸春秋11月号「次の総理はこの私」)はアベノミックス3本の矢の2本で経営者のおなかがいっぱいになったからだという」

経済成長をしない理由は、渡辺努は消費者、林芳正は経営者にあるという。

④藤井聡(ふじい さとし、1968年〈昭和43年〉生 、日本の土木工学者、社会工学者、評論家)は、国債を増発して財政投融資をしてこなかったからだという。まず、各国の経済成長を見る。1985年から今日まで日本は全く成長していない、米国は4倍、中国は10倍成長している(添付2参照).。おかげで日本の初任給は20万円でずーっと変わらず、米国は50万円、中国ですら14万円である。悲しいことに韓国にすら抜かれている。これは何故か? 1985年から国債の発行を抑えてしまった「国債規制」からである(添付3参照)という。典型的なMMT論者でもある。

森永卓郎は財政健全化論を40年前の古い理論だとこき下ろしている。

要は国債増発による成長を推進することが是か否かの論争である。

イチハタ

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