気が付けば移民大国

U市畑進:2020.12.20

33年ネット諸兄姉

気が付けば移民大国

★庵功雄(いおり・いさお一橋大学国際教育交流センター教授、如水会報12月号より抜粋)は、019年4月に出入国管理法が改正され、単純労働を目的とした特定技能枠の滞在資格ビザが設けられました。 これは、外国人の受け入れ政策における大きな転換点だと言われています。日本政府は「移民」という言葉は使っていませんが、実質的に移民を受け入れる方向に舵を切ったと見なせると思います。人口減少と外国人日本に来る外国人を増やそうとするのは日本の人口が減ってきているからです。国立社会保障・人口問題研究所の推計(2017年)では、2050年には日本の人口が2700万人ほど減るとされています。しかも、子どもの数と生産年齢人口と言われる15歳から64歳の層が減るため、働き手によって支えられる層が割合として増える状態になります。 社会保障問題に加え、都市部では人手不足が深刻化します。後継者不足で日本のものづくりが崩壊する危険性もあります。地方では、働く場がなくなり、若い人は都市部へ行く。税金を払う人が減り、財政が悪化し、公共サービスが廃止され、高齢者の生活も困難になる、という負のスパイラルに陥る可能性が高まります。

★織田(おだ・まこと)朝日記者はいう。外から見れば、日本はすでに「移民大国」だ。経済協力開発機構(OECD)によると、3ヵ月以上滞在する予定で日本に来た外国人は2018年に50万人を超え、世界有数の規模となった。国連経済社会局がまとめた19年の移民人口でみても約250万人と世界26位。急増した外国人技能実習生らが含まれる。

 実際、コンビニや飲食店、工場、介護施設、農村など、いまや外国人が働いている姿を見かけない日はない。ただ、多くの日本人に「移民大国」の実感はない。『移民』には「永住」のイメージが強く、実習生は外れるからだ。今回、取材班が行った実習生の住民比率が高い100自治体へのアンケートでも、4割が「実習生が何人住んでいるか分からない」と回答。「コミュニティーの一員」との意識が薄い実態が浮かび上がった。 グローバル化が進む中、一定期間働いて帰国するつもりだった外国人の定住が世界的に増えている。日本はこのような変化に目を背け、包括的な移民政策を棚上げし、抜け穴的に外国人を労働者として活用してきた。1980年代後半、バブル景気で人手不足が深刻化。「非熟練労働の外国人受け入れは慎重に対応する」との建前を掲げたまま、単純労働ができる「定住者」として日系ブラジル人らを呼び込んだ。93年には外国人技能実習制度がスタート。途上国の若者に技術を教える「国際貢献」を名目に、低賃金労働者を確保する手段となった。日本の人口は急速に減り、特に若い労働者層が細っている。本来は労働者ではない留学生にも頼り、経済を回しているのが実情だ。コロナ禍で外国人の入国が制限され、各地で「実習生がほしい」「留学生が来ない」との悲鳴が上がった。自転車操業で労働者をやり繰りする手法は限界に来ている。世界では移民問題で悩んでいる国は少なくない。治安の悪化や職を失うことへの恐れが後押ししている。それでも同化政策や多文化主義など、各国で様々な模索が続いている。国内では移民への抵抗感が根強いが、いまの状態で外国人労働者が増え続ければ、対立が深まる一方になりかねない。社会の秩序と経済との両立を目標にするなら、「移民」の門戸を正面から開き、コミュニティーの仲間として一緒に歩む道を考えるしかないだろう。様々な国籍の人々がともに暮らす現場を歩き、目指すべき「共生」のヒントを探った。

おだ・まこと/1962年生まれ。東京を拠点に国内外の「現場」を訪ねる機動特派貝として、日本の外国人受け入れ政策を中心に世界の移民問題を追っています。

★韓国人呉善花(1956~ 64歳、韓国生まれの評論家、日本研究者、拓殖大学教授)は、日本の神社はやっぱり怖いですよ。日本の神社の前には白い紙つけた縄が張ってあるでしょ。姪にスーパーへの買い物を頼むとの神社の前を通らなければならないので、こわくていやだというのです。(井沢元彦;誰が歴史をゆがめたか。祥伝社 2000.2)

同化政策と多文化主義の二者択一はないだろう。

イチハタ