33年net諸兄姉どの(2023.9.23)
資本主義だけ残った : 世界を制するシステムの未来」(CapitalizmAlone)ブランコ・ミラノヴィッチ [著], 西川美樹 訳 解説梶谷懐 みすず書房, の要約。
お忙しい方は、a民主主義の議会「アメリカの上下両院議員」、とb.腐敗と不平等の「明るみになった汚職事件」だけでもお読みいただきたい。
ブランコーミラノヴィッチは、典型的な資本主義の定義として「三つの概念」(①生産の大半が民間所有の生産手段たる資本・土地を用いる、➁労働所の大半が賃金労働者である、③生産や価格の決断が分散化されている)に基づき分類の結果、世界の経済体制は、資本主義しかないといい、冷戦後顕在化した「二種類の資本主義の中で、一つは「リベラル能力資本主義」、一つは「政治的資本主義」前者は米国、後者は中国らが主導しているという。
なお、リベラル能力という言葉はジョン・ロールスからの借用であるが、単にあなたが得るどんな地位や仕事にても法的な制限や障害がないということ、封建時代の社会では、階級や配役を与えられた場合、それを維持する義務がある。「そうやったことが明らかに存在しない」それがわたしの能力主義の意味だと述べている。(端的には、身分、世襲などのない世界ということになるだろう)
更にジニ係数の推移、比較にによって、所得格差の拡大、中間層の没落が明らか意にされる。(逆に言えば、一握の高所得者によって政治が支配されるという結果になる)
興味深いのは、ミラノヴィッチはこの著作で.中国のよくうな非西洋国家が社会主義を掲げつつグローバル資本主義の中で高度経済成長を続けているという事実について、これらの国々は始めから資本主義的な経済発展を目的としおり、その手段として社会主義を志向したという議論を展開している。梶谷は;だとするなら、共産主義の世界史的な意義は何か。ミラノヴィツチによれば、それは後進かつ植民地化された社会において前近代的な生産様式を断ち切って政治的な独立を勝ち取り、独自の資本主義の路線を歩むことを可能にした点にある。すなわち、共産主義とは、欧米諸国の植民地支配を受けていた後進国が封建制を廃止し、経済的政治的独立を回復し、固有の資本主義を築くことを可能にした社会システムであり,そこにこそ世界史的な意義が存在するという。だとするなら、共産主義の世界史的な意義は何か。ミラノヴィツチによれば、それは後進かつ植民地化された社会において前近代的な生産様式を断ち切って政治的な独立を勝ち取り、独自の資本主義の路線を歩むむことを可能にした点にある。すなわち、共産主義とは、欧米諸国の植民地支配を受けていた後進国が封建制を廃止し、経済的政治的独立を回復し、固有の資本主義を築くことを可能にした社会システムであり,そこにこそ世界史的な意義が存在するというわけである。
さらに、ミラノヴィッチは、それでも資本主義に変わる選択肢はないと、冷徹に指摘する。オルタナティブがないからこそ、現在の米中間の対立に象徴される、リベラル能力資本主義、政治的資本主義という資本主義体制同士の縄張り争いは激化す2以下は両資本主義の主要点の解説要約である。
2.リベラル能力主義
リベラル能力という言葉はジョン・ロールスからの借用であるが、単にあなたが得るどんな地位や仕事にても法的な制限や障害がないということ、封建時代の社会では、階級や配役を与えられた場合、それを維持する義務がある。「そうやったことが明らかに存在しない」それがわたしの能力主義の意味だと述べている。(端的には、身分、世襲などのない世界ということになるだろう)
更にジニ係数の推移、比較にによって、所得格差の拡大、中間層の没落が明らか意にされる。(逆に言えば、一握の高所得者によって政治が支配されるという結果になる)
a民主主義の議会
永続的な上位層を築くことは、その階級が政治的な指揮をとらないかぎりは不可能だ。政治だけが、この目的で用いればいれば上位層が頂点にとどまることを保証できる。
だが理屈で言えば、これは民主主義のもとでは不可能なはずだ。投票権は誰にでもあるし、大多数の国民に関心があるのは、権力を持つ金持ちにその地位を永久に維持させないようにすることだ。とはいえ、アメリカの金持ちが政治に不釣り合いな影響力を発揮していることは、大量の証拠から明らかである。政治学者のでマーチン・ギレンズ、べンジャミン・ペイジ(ギレンズと)、そしてクリストファー・アーヘンとラリー・バーテルズは、金持ちが政治的により大きな力を持ち、政冶システムが民主制から寡頭制-アリストテレスの定義によれば「財産のある者が国制の主権をにぎる」システムに移ったことをヽ歴史-初めて実証的に確認した。たとえばギレンズは、アメリカの上下両院議員が、中間層と貧困層だけにとって重要な問題よりも、企持ちに関心のある問題について論じ、票を投じるほうがはるかに多いことを発見した。ギレンズの結論では、中間層の問題か検討されるとしたら、それが金持ちの関心事とたまたま一致したときだけだという。
このような発見はじつに驚くべきことだが、それはその確たる実証性や政治に及ぼす彫響だけが理由ではない。これが政治と経済の両面で中間層が重要な役割を果たしていると従来からみなされてきた、世界屈指の由緒ある民主主義国家の話だからだ。世界で最も中間層を支持するこの社会(すくなくともイデオロギー的な言説では)においてすら、中間層か政治的な力を持つのは金持ちと意見を共にする場合に限られるなら、他の国々の中間層と貧困層はなおさら政治的な力など持てそうにない。(日本はどうみるのか?)
(中略)政治家は、出身階級も背景もさまざまだし、彼らの多くは金持ちと社会学的に共有するものをほとんど持たない。アメリカのビル・クリントンやバラク・オバマ、イギリスのマーガレッド・サッチャーやジョン・メジヤーは全員がごく普通の家庭の出身だが、上位1%の利害をすこぶる効果的に支援した。(驚くべき視角だ。)
b上位層の変動
上位層は固定化する。理由はまず、システムの不平等である。 a.国民所得に占める資本所得のの総取り分の上昇 b.ピケティの云う如く、資本所有者の運用利回りは、一般の人々より高い c.教育、結婚、相続等有利な社会的地位維持する)などで上位層は固定化する。
3.政治的資本主義
a.高度成長;ミラノヴィッチは、まず第一に、中国のような非西洋国家が社会主義を掲げつつグローバル資本主義の中で高度経済成長を続けているという事実について、これらの国々は始めから資本主義的な経済発展を目的としおり、その手段として社会主義を志向したという議論を展開している。だとするなら、共産主義の世界史的な意義は何か。ミラノヴィツチによれば、それは後進かつ植民地化された社会において前近代的な生産様式を断ち切って政治的な独立を勝ち取り、独自の資本主義の路線を歩むむことを可能にした点にある。すなわち、共産主義とは、欧米諸国の植民地支配を受けていた後進国が封建制を廃止し、経済的政治的独立を回復し、固有の資本主義を築くことを可能にした社会システムであり,そこにこそ世界史的な意義が存在するというわけである。このようにして成立した政治資本主義のの特徴として、まず極めて効率的なでテクノクラート的な官僚システムの存在があげられる。また。また、官僚システムがその能力を「邪魔されない」よう法の縛りを可能な限り受けけないことすなわち法の支配の欠如が第二の特徴である。そして第三の特徴が、国益によって誘導され、民簡部門を統制でる国家の存在だ。これらの特徴が。政治的資本主義を採用する国々に高い成長率を約束する一方で、同時に矛盾ももたらす。最大のものが高スキルを持つテクノクラートに権力が集中し、かつ、彼らを縛る法の支配が十分に機能しないために、深刻な腐敗が生じやすいという点である。
b.腐敗と不平等
腐敗は政治的資本主義にとって、したがって中国にとってシステム的かつ固有のものである。その理由は、これまで指摘しきたように、政冶的資本主義制度のもとでは法の支配が故意に柔軟な解釈をされるからだ。この状況によって。支配層がこのシステムをもっと効果的に支配しやすくなるばかりか、ほかの者たち(エリートを含め)が横領に手を染めることも可能になる。中国の腐敗には、これをとくに深刻なものにする厄介な特徴か二つある。第一に、今日の腐敗は、軍閥時代や革命前の蒋介石による支配を特徴づけた腐敗とインフレーションの混迷期の記憶(数世代にもわたってにもわたって継承されてきた)を呼び起こす。共産党のエリートにとって、そもそも自らの共産主義の先達が反抗し、よって大衆の支持を勝ち得た状況を、自分たちがいくらか復活させていることに気づくのは居心地の悪いことだろう。第二に、第4章で見ていくが、グローパリゼーシーは、盗んだ資産を簡単に隠せることで世界的な腐敗を奨励する。翻ってこのことが(他のどの国でも同じだが)。中国の腐敗をいっそう魅力あるものにしている。きらに中国の腐敗を焚きつける、ある種の国際的な状況も存在する。まず個人が盗んだ利益を隠す手伝いを専門に引き受ける多くの組賎が存在すること、また反共産主義感情がなかなか消えないため、アメリカやカナダの当局が戦利品を抱えて国外に逃げだ中国市民を、他国から来た類似の犯罪者ほど警戒心と情熱を持って追求しないことだ。中国の腐敗の規模は世界的に見ても尋常ではないが.政治的にさらに目立つのは、毛沢東時代の中国の状況と比ぺてもすこぷる高いいことだ。名高い中国の社会学者の何清漣は、1990年代に中国でベストセラーになった書籍で、鄧小平ほ改革は「巨大な不平等と堕落一般化、社会道徳的基盤の侵害」をもたらしたものと書いている。
明るみになった汚職事件のなかには、横領されたのちに回収された量からして仰天すべきものもあった。中央軍事委員会の副主席を務め、これまでに起訴された最高位の役人となった徐才厚は、2014年に逮捕されたさいに、2万カフィートもの自宅の地下室いっぱいに重さIトンを超える現金(人民元、ユーロ、ドル)を積みあげていた。この貴重な埋蔵物は軍用トラツック10台分になた。また中華人民共和国の建国以来、最大の現金が押収されたのは国家エネルギー局石炭司の副司長で現金で2億元以上(現金の換算率では約2600万ドル)を所有しているのが見つかった。16台の現金計数機が運び込まれ、紙幣を数える作業中に機械が41台オーバーヒートした。別の役人は1億2000万元と37キログラムの金塊を保管し、中国のさまざまな都市に68件もの不動産を所有していた。このリストはまだまだ続く.
4.日本の資本主義
「二種類の資本主義」の中で、担う役割、日本は権威主義的で国家主導の発展モデルも経験した一方、自由民主的な資本主義モデル存在してきました。つまり日本自身実際に二つのモデルを生きてきました。むろん日本だけではないのですが、日本の役割は大きいという(2021.6、「2035年の世界地図 : 失われる民主主義破裂する資本主義 」(朝日新書 ; 898)。わたしは、日本が先の大戦で、沖縄戦をはじめ、日本の都市に爆弾、焼夷弾を雨あられと落とし、広島・長崎への原爆投下、ウクライナどころでない無数の無辜の民を殺傷した。平和への希求は、どの国よりも強い、世界平和をリードする立場にあるだろう。しかし、日本はその役割を果たしているか?
イチハタ