新型コロナウイルス対策に伴って、珍しく真正面からMMTに取り組んだ意見が出ましたのでご紹介いたします。
33net諸兄姉どの
昨日の日経「一目均衡」欄に、IMFが新型コロナウイルス対策をめぐってMMT(Modern Monetary Theory)を認めつつあるという見方が出ていた。
MMTは「自国通貨を発行する政府が財政破綻をすることはあり得ず、高インフレにならない限り
財政赤字を心配する必要はなく、むしろ積極的に完全雇用の達成するまで財政出動を行うべき」だという。
緊縮政策や増税政策は、むしろ危険ということもありうるという。
日本では、MMTの評判が良くない、大蔵省なんかは60P及ぶ反論を出しているという。
「クレジット市場」とは、「信用リスク(資金の借り手の信用度が変化するリスク)」を内包する商品(クレジット商品)を取引する市場の総称をいう。
「炭鉱のカナリア」とは、何らかの危険が迫っていることを知らせてくれる前兆をいいます。これは、有毒ガスが発生した場合、人間よりも先にカナリアが察知して鳴き声(さえずり)が止むことから、その昔、炭鉱労働者がカナリアを籠にいれて坑道に入ったことに由来するそうです。先行きの不安前兆を察知する指数や事件を指します。
既に、高インフレではないが、バブル期に入っているという、我々の実生活に深刻な衝撃が発生しなければと願うのみ。
経済学部、金融・証券ご出身の方々はぜひご意見を伺いたい。
イチハタ
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一目均衡
編集委員 高井宏章 2020/10/20付日本経済新聞 朝刊
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国際通貨基金(IMF)が14日に発表した財政報告には、ちょっとしたサプライズがあった。新型コロナウイルスへの対応で「積極的に財政を活用すべきだ」としたうえで「低金利の恩恵で高水準の債務残高は当面はリスクにならない」と明言したのだ。
IMFは経済・金融危機の後始末で早急な緊縮を迫るのが常だった。「最強の番人」のお墨付きは世界経済に事実上、MMT(現代貨幣理論)が適用されつつあるとの見方に説得力を与える。
自国通貨建ての国債は債務不履行のリスクはなく、インフレが脅威になるまでは財政支出を拡大すべきだ――。MMTの主張のひとつだ。コロナ禍で各国は、中央銀行とタッグを組んで巨額の財政支出を賄う「強制MMT」に追い込まれた。余波は金融・資本市場にも及ぶ。
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真っ先に大波をかぶるのは債券市場だ。米国の10年物国債利回りは4月以降、0.7%前後のレンジに押し込められ、月間の変動幅は「コロナ前」の3分の1程度に縮小。イールドカーブ・コントロール(YCC)を導入済みの日本は金利変動がほぼ消えた。
債券の期間が長いほどさまざまなリスクを織り込んで利回りが高くなるのが市場の力学。これを封殺する発想はMMTに近い。MMTの旗手、ニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授は著書「財政赤字の神話」で「(国債の)金利は常に政策判断で決まる」と言い切っている。
市場からダイナミズムを奪えば、金利動向から物価や景気の先行きや財政リスクを読み取るのは困難になる。債券市場を長年見てきた岡三証券の高田創氏は「日本国債が『生体反応』を失って久しい。クレジット市場もその後を追うだろう」と話す。
「企業分析はやるだけ無駄。クレジットは『安くなったら黙って買いましょう』ぐらいしか言うことはない」。あるベテラン市場関係者はあきらめ顔だ。「すでにバブルの域に入っているが、疑似MMTと金融社会主義的な政策で、今の構図は崩れそうもない」と嘆く。実際、国内社債のスプレッド(上乗せ金利)は「コロナ前」の水準を回復。海外の低格付け債も堅調だ。
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「強制MMT」で金融市場の「見えざる手」の力が衰えると何が起きるか。
クレジット市場は過去、異変をいち早く告げる「炭鉱のカナリア」として機能してきた。そのシグナルが弱まれば、危機の火種の探知は難しくなる。債券ほど官製相場のグリップはきつくないが、カネ余り主導で進む株高にも同様の危うさが漂う。米著名投資家のハワード・マークス氏は「政策効果が支配的になりすぎて、『良い企業かどうか』という問いがかき消されてしまう」と警鐘を鳴らす。
今の危機を乗り切るにはMMTに近い政策しか選択肢はない。その影が「見えざる手」を覆えば、資源配分とマネーの流れがゆがみ、成長の鈍化や局所的なバブルを招く懸念が強まる。コロナは市場経済の心臓部にとっても深刻な脅威になりつつある。
如水会々報2020.10月号 p.18~19
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