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33年ネット諸兄姉どの(2024.02.25)
カネを裏から表にはマネロンという、これは、厳しい法律があり、金融機関は最善の注意を払わなければならない。カネを表から裏には、マネロンといわないが裏マネロンだろう。田中角栄のロッキード事件、リクルート事件、佐川急便事件、株屋が営業で使う「新株引受権」、発注のキックバック、パーティー券のキックバック、その裏金が裏所得になり、はては裏贈与に使われる。贈与論のマルセル・モースもくしゃみしているだろう。
朝日新聞を読まない人もいると思うので、全文をご披露する。
2024.02.24 朝日新聞 be 「公権力の暴走を止める」神戸学院大学教授 上脇博之(かみわきひろし)さん
すごい壊れっぷりである。自民党派閥の政治資金パーティーの問題。法律をつくった 張本人が法律を守らない 。どう見ても組織ぐるみの「犯行」なのに会計 責任者の個人的責任で処理される。キックバツクしたおカネの使途は不明のまま、「派閥の解散」である。
事件の発端は 2022年 11月の「しんぶん赤旗日曜版」のスクープだった。その報道をもとに政治資金収支報告憲こっこつ 調ベ直し、東京地検に刑事告発したのがこの人。特捜部の捜査のきっかけをつくった。
政治と力ネの問題を追及する第一人者。最初の告発は 00年、新進党が分党した 6党の政治助成金の受給問題だった。01には自民党本部の組織活動費名目の使途不明金の問題も告発した。「正確に覚えていないが、過去 1 0 0件以上は告発してきた」と話す。
自民党•薗浦(そのうら)健太郎衆院議員の闇政治資金パーティー問題の告発では、特捜部から連絡があった。(1972生まれ、千葉5区、東大法卒、元読売新聞記者、薗浦健太郎2022年12月22日、政治資金規正法違反の虚偽記載などの罪で略式起訴され、東京簡易裁判所は罰金100万円、公民権停止3年の略式命令を出された。)
その際、「先生の告発には別件もあるから」と言われた。「いつもは連絡なんてこない。薗浦前議員の次は、告発していた派閥の資金パーティー問題をやるぞ、と伝えたかったのかもしれない」
大学では憲法を教えている。鹿児島県出身。本人いわく「不良学生」だった。 3年間浪人して入った大学では、勉強そっちのけで酒を飲み、マージャンを打った。
入学したのは法学部だったが、哲学の授業に熱中した。担当教授は「アンガージュマン (社会参加 )」を提唱したサルトルの研究者。よく焼きそば 家につれていかれ、酒を飲みながら哲学論議を交わしたという。
一方、法律の勉強は苦手だった。専門書を読むと、なぜ妥当なのか、迷った。友人は言った。「そんなに考える人間に司法試験は無理。学者に なったら ?」。 2年間浪人して大学院へ。同じ敗戦国の西ドイノの憲法を研究する。
法律の専門家や研究者らと市民団体「政治資金オンブズマン」や、国会議員の政治資金収支報告書をネットで公開する公益財団法人「政治資金センタ—」を股立した。安倍晋三元首相の後援会が主催した「桜を見る会」前日の夕食会や「森友学園」の問題などの刑事告発や提訴にも関わる。「憲法は公権力に歯止めをかける法。その研究者が政府や大臣、国会議員の暴走を止めるために運動するのは不自然なことではない」「学者」と呼ばれることを嫌い、「研究者」という肩書にこだわる。「自分はまだまだ勉強が足りない。調べてもわからないことが出てくる」。謙虚な姿勢が政治の病をあぶりだす。
文・大島辰男 写真・外山俊樹(一面の写真は略)
「民意をゆがめられて国会がつくられている」フロントランナー
上脇博之さん(神戸学院大学教授)
—きっかけは赤旗でした。編集部からコメントを求められた。話を聞いて「これは重大な指摘だ」と。ほとんどの告発のきっかけは新聞や週刊誌の報道。コメント取材で問題を知り、公開情報や資料を調べ直し告発状を書く。メディアの役割は重要です。
―昨年は正月休みを返上して告発状を書きました。
自民党の 5派閥の政治団体の政治資金収支報告書を一つ一つ見ながら、お金の出入りをチェックするので膨大な作業になる。自民党東京都連 (萩生田光一会長 )も派閥と同じように政治資金パーティー収入の明細を不記載にしていたことがわかり、今年の正月休みも返上になりました。
―政治資金収支報告書の調食は煩雑です。
まずその政治家が持っている政治団体や政党支部を 把握する必要があるが、その政治家が代表になっている場合もあれば、名前は出ていなくても事実上代表者の場合もある。さらにその政治団体や支部が総務大臣に届けでいる場合と、各都道県の選挙管理委員会に届け出ている場合があるので調べないといけない。
政治資金収支報告書をネットで公表している選管が大半だが、情報公開請求しないと見られない選管もある。建前では国民が監視できるようになっているが実情は困難だと言えます。しかも報告書の保存•公開も 3年だけです。
—I問題が、ここまで大きくなると思いましたか。
今回は政治家個人のパーティーではなく、自民党の主流派閥か長期間にわたり同じような手口で不記載にしていた。悪質です。裏金をつくっている可能性が高いと指摘したので、検察が動くとは思っていました。
検察が本気か注視
―捜査をどう見ますか。
検察が本気で自民党とやりあうのかどうか注視していたが、トカゲのシッポ切で終わらせた印象です。裏金づくりは会計責任者の独断ではできない。派閥の幹部が主導したはずなのに不起訴にするのは、巨悪を眠らせることになる。茂木派と岸田派の裏金のブール、二階派の裏金のプールとキックバックについてはすでに告発した。安倍派の裏金のブールとキックバックはこれから。
大勢の議員らを順次告発していきます。
―「哲学青年」だった。大学浪人の頃、友人からリポーとの代筆を頼まれた作家・椎名麟三の「生きる意味」を読みました。
興味を持つと熱中するタイプなので椎名さんの本を読みあさり、そこからキリスト教やマルクス主義の本を読むようになった。いまから思うと、そのあたりから哲学に興味があったようです。
ーでも、憲法の研究者になりました。
法哲学の勉強は面白かった。「正義論」をもっと勉強したいと思ったが、正義論という学問は抽象的。本を読んだだけで、自分が本当に理解できているのか不安だった。そのことを教授に相談すると「法解釈において正義はどう実現されるのかという点に着目したらどうか」と言われ、憲法に〃方針転換〃した。大学院では西ドイツの政党制度や選挙制度、政治資金制度 も研究しました。
選挙制度を変える
―「議会制民主主義の確立」を唱えています。
1 9 9 4年の「政治改革」で導入されたいまの選挙制度では、得票数と議席数が比例していない。
前回の総選挙で自民党は小選挙区で 5割未満、比例区では 3割台の得票で「絶対安定多数」を確保した。
つまり、大政党には得票“上の過剰な議席数を与え、 中小政党には過少な議席数を与える最悪の選挙制度になっている。民意がゆがめられて国会がつくられているのです。これでは議会制民主主義ではない。だから権力は簡単に暴走してきた。無所属の人も立候補できる完全比例代表制を導入するべきです。ちなみに棄権した人も含めた有権者全体のうち何%が投票したかを示す「絶対得票率」では、自民党の得票は小選挙区候補で 3割以下、比例では 2割以下です。
——有権者が投票に行かないから悪いという声もある。
まずは制度の問題。いまのような選挙制度では「どうせ、選挙に行っても、かわらないよ」とあきらめてしまう。有権者を批判するのは酷です。
完全比例代表制にしたら政権交代も起こりやすくなるから、投票は高まる。それでも投票に行かなければ、それは有権者の問題です。
—今後も告発していく ?
僕も年をとった。 3年前から大腸を患い、緊急入院を繰り返した。左目も病気で視力が低下し、資料を読むのもきつい 。仲問も引退しています。がんばれる間はがんばるつもりですが。
―最後に。お酒はいまも ?
家ではもっぱらノンアルコールビールです。飲むと、連れ合いが「大丈夫なの ?」と心配そうにいうので、じゃあ飲まなくていいかと。僕はそういうことでは争いません (笑 )。
プロフイル
★1958年、鹿児島県生まれ。電力会杜勤務の父は転勤族で引つ越しを重ねた。中学校から途中転校を避け、母方の祖母と2人暮らしをする。
★県立加治木高校卒業、3浪して関西大学法学部に入学し、2浪して神戸大学大学院に進む。
★94年から北九州大学(現北九州市立大学)に勤務した=写真。
2004年から神戸学院大学大学院実務法学研郡教授、15年から同大学法学部教授。
★00年に新進党から分党した6党が政党助成金を不正受給したとして、憲法学者ら17人の連名で東京地検に告発状を出す。以後、大阪の阪口徳雄弁護士の誘いを受け、政治とカネに関わる問題を告発していく。
★最新刊に「なぜ『政治とカネ』を告発し続けるのか」がある。一般読者向けに「政党助成金、まだ続けますか?」などブックレットも多数出版している。
★家族は同い年の妻、子どもは1男。
官公立大学では、とてもできない活動です。
イチハタ