2月3日(水) 21:05
半藤一利氏が亡くなったと知って私が手に取ったのは「荷風さんの戦後」であった。今更昭和史を読むのも辛度かったからである。
そして「断腸亭の経済学」(吉野俊彦 1999年刊)に至り、読了した。
いうまでもなく断腸亭とは永井荷風が40年以上書き続けた日記「断腸亭日乗」のことであり、吉野俊彦は日銀理事を勤めながら同時に森鴎外の研究をしたことで名高い。
ご覧のように530頁にも及ぶ大著である。
吉野氏の本著は、荷風が忠実に書き留めた物資や物価の動きを辿りながら、銀行家としての眼でそれを解説していく。
例えば昭和2年の金融大恐慌、戦時中の食糧事情、戦後の預金封鎖、新円旧円切替、ドッジライン等々、荷風が蒙った大変動を日銀の立場から説明する。
まさに社会学を学んだ一橋33ネットの我々こそ読んでおくべき著作である。
勿論芸妓の玉代、枕代、身請け代の記録もある。
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