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出光静岡支店勤務時代、静岡県と山梨県を統括していたので月に2回は山梨県を廻った。
静岡から山梨に行くには2本のルートがあった。1つは興津から富士川沿いに52号線を上って行くもので、身延山や下部温泉を通る。古い街道で道は狭く、手入れは悪く、雰囲気は貧しく、走って疲れるのであった。
もう1つは富士から富士山麓を上る国道139号線、通称朝霧道路である。道は広く、富士を眺めながら走るのは快適であった。
ただ富士を過ぎて、オーム真理教の本拠のあった上九一色村や本栖湖、精進湖あたりまで来るとだんだん厳しくなる。甲府盆地を取り囲む山塊に刻まれた道はつづら折れで、秋冬には日が陰ってから走ると路面が凍ってタイヤが滑り、身の危険を感じるのであった。
一部有料区間があって仕事車はそれを嫌って52号線を使うのも多かった。
そんな当時、静岡から甲府に向かう直通道路の話が聞こえ始めた。すでに着工しているとの話もあった。大いに期待したものだった。
それから30年、2021年8月29日、遂に中部横断道が開通したとの報道が流れた。
バスも通るという。1日2便、静岡発は8時と16時である。
よし、これに乗ろうと決めた。
熱海から静岡まで新幹線、静岡から甲府までバス。
静岡は松坂屋の前の国道1号線沿いに発着場所があるという。
帰りは甲府から身延線で富士まで来て、それから新幹線でよい。
8月末の開通から9月中は天候不順が続き、結局10月3日になってしまった。3日の日曜日を決行日と決めた。
3日の朝、ベッドの中でふと考えた。「緊急事態宣言」が解除されて最初の日曜日で、バスが混みはしないか。静岡まて行って乗れないなんてことはないか?
それで3日はやめて4日(月曜日)に変更した。
3日が空いたのでゆっくり調べていたら、大事件であった。
静岡-甲府のバスは土日だけの運行なのであった。