YouTubeはYouTubeパートナープログラムに参加しているアメリカの利用者に対して、2020年11月18日に利用規約の更新をしました。この内容の最も重要な部分はアメリカでの税務情報の登録が必要になったことです。
https://blog.youtube/news-and-events/updates-to-youtubes-terms-of-service/
ここには2021年にアメリカ以外の国でも同じような事が必要になるとしています。
実際に日本在住など、全世界のYouTubeパートナープログラム利用者もアメリカの税務情報の入力が必要になると2021年3月10日発表されました。
2021年5月31日までと言うのはそれまでに収益化して、収益を受けている人への物で、それ以降にいつでも税務情報の送信は可能です。
収益の24%もしくは30%です。
24%は予備源泉徴収の割合、30%は米国内国歳入法の第 3 章に基づく源泉徴収の割合のようです。
今回のケースでは24%だそうです。あくまでもアメリカでの源泉徴収額なので、ここで設定してもしなくても、他地域のユーザーの方はそれぞれの地域の税法に従う必要があります。
入力が必要になるのは、YouTubeに動画を投稿し、収益化しているYouTubeパートナープログラムの参加者です。
一般のYouTube視聴者は関係ありません。動画投稿して収益化していない方も関係ありません。
一般的な日本在住の日本人が個人で登録する場合はW-8BENというフォームを使って送ります。
それ以外の場合はW-9などフォーム自体が異なり、どのような条件でどのフォームをどのように入力すべきかは変わります。わからない場合、詳細はアメリカの税法に詳しい会計士等に相談してください。
正式名称は Certificate of Foreign Status of Beneficial Owner for United States Tax Withholding and Reporting で日本語にすると「米国の源泉徴収および報告のための受益者の外国のステータスの証明書」のような感じの物です。
ようするに（アメリカからみると外国人の）日本在住の人がアメリカで源泉徴収されないように申請する書類のようなものです。
TINとはTaxpayer Identification Numberの事で、納税者番号のような意味です。
日本の場合はマイナンバーの数字を入力します。（数字を入力するだけなのでマイナンバーカードは使いません）
マイナンバーは日本在住の人は全員持っています。持っていない人は住民票を登録していない日本在住ではない人ですので、在住している納税する国のTINを入力してください。
世界のTINを調べる情報源はOECDのサイトが詳しいです。
二重課税の回避などのための日本とアメリカ合衆国での租税条約があります。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/treaty159_1.html
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/international/tax_convention/press_release/index.htm
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/keizai/jyouyaku.html
https://www.irs.gov/businesses/international-businesses/japan-tax-treaty-documents
この条約の第12条の1がYouTubeで適用される部分のようで、日本で納税しているならアメリカでの源泉徴収は免除（0%）される事が書いてあります。第7条の1はAdSenseに関係する項目。
所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約
第七条１
一方の締約国の企業の利得に対しては、その企業が他方の締約国内にある恒久的施設を通じて当該他方の締約国内において事業を行わない限り、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる。一方の締約国の企業が他方の締約国内にある恒久的施設を通じて当該他方の締約国内において事業を行う場合には、その企業の利得のうち当該恒久的施設に帰せられる部分に対してのみ、当該他方の締約国において租税を課することができる。
第十二条１
一方の締約国内において生じ、他方の締約国の居住者が受益者である使用料に対しては、当該他方の締約国においてのみ租税を課することができる。
CONVENTION BETWEEN THE GOVERNMENT OF JAPAN AND THE GOVERNMENT OF THE UNITED STATES OF AMERICA FOR THE AVOIDANCE OF DOUBLE TAXATION AND THE PREVENTION OF FISCAL EVASION WITH RESPECT TO TAXES ON INCOME
ARTICLE 7
1. The profits of an enterprise of a Contracting State shall be taxable only in that Contracting State unless the enterprise carries on business in the other Contracting State through a permanent establishment situated therein.
If the enterprise carries on business as aforesaid, the profits of the enterprise may be taxed in that other Contracting State but only so much of them as is attributable to the permanent establishment.
ARTICLE 12
1. Royalties arising in a Contracting State and beneficially owned by a resident of the other Contracting State may be taxed only in that other Contracting State.
税金は居住国の税法に従って納税する必要があります。
日本人であっても、日本以外に居住している場合は、その国で納税する必要があります。
ここで説明している内容は、YouTubeの収益額をアメリカで源泉徴収する話であって、日本での確定申告は別です。申請してアメリカでの源泉徴収額がなくなっても、日本での確定申告は必要になります。
AdSenseの場合は、ユーザーの居住地によって次の3カ所のどこかと契約しています。
Google Inc.
Google Ireland
Google Asia Pacific Pte. Ltd.
日本の場合はシンガポールにあるGoogle Asia Pacific Pte. Ltd.です。
YouTubeは全てアメリカのGoogle Inc. (Google LLC)です。
日本在住なのに何らかの手違いでIRS(アメリカの税務当局)に源泉徴収された場合、それを取り返すのはかなり面倒な手続きになると思われます。
アメリカの税務に詳しい会計士、税理士等に相談してください。
それ以外の手段としては外国税額控除という制度を使って、二重課税を回避できる可能性があります。税務署、税理士等に相談してください。
YouTubeは「2021 年末までに税務情報をご提出いただいた場合、状況によっては、源泉徴収額の一部またはすべてを返金し、源泉徴収率を 24% より低く調整できる可能性がございます」とも説明しています。
つまり、当年の年末までに税務情報を入力すれば源泉徴収額が帰ってくるシステムになっているという事です。
例えば、7月にすべての手続きが終わり、8月から収益を受け取れたが、8、9、10月に源泉徴収され、11月に税務情報を入力し承認されたとします。
すると、12月頃に源泉徴収された分がそのままAdSenseにマイナス表示で返金され、金額によりますが、該当のアカウントの口座に振り込まれます。
承認されてから変換されるまではしばらく時間がかかるので、当年内に処理したい場合は少なくとも11月、できれば10月に税務情報を入力した方が良いでしょう。
12月に源泉徴収され、その後に税務情報が承認された場合、返金されるのは1月などになると思われますが、この税務処理をどうするのかは税理士、税務署などに相談してください。
税務情報を提出していない、居住地域の関係で源泉徴収される場合があります。この場合、予備源泉徴収として収益から源泉徴収額がAdSenseに表示されます。
税務情報を提出し0%で承認されているのに源泉徴収されることもある用です。
これは承認自体が間違いで、AdSenseに登録している名前とW-8BENなどの名前が一致していない場合などにそうなることがある用です。AdSenseに設定している名前がアルファベットベースの名前になっているかなどを確認してください。
承認された後に源泉徴収分が戻ります。
何も設定していないと紙の書類が届きます。設定すればオンラインで確認できます。
簡単に言うと源泉徴収額の内容がわかる書類です。
申請した内容と届いた1042-Sの内容が異なる場合は修正する事も出来るようです。
https://support.google.com/paymentscenter/troubleshooter/7542675
日本以外に住む日本人です。どのように入力すれば良いですか
住んでる国とアメリカの条約の内容、ご自身でどのようにどこに申告しなければいけないのかなどを確認して適切に入力してください。
日本国籍ではないですが日本に住んでいます。どのように入力すれば良いですか
日本で納税する必要がある状況なら一般的な日本人と同じですが、状況によってはかわります。詳細は調べてください。
アメリカに住んでました、長期間滞在してました、アメリカの市民権がある場合などの時はどうしたら良いですか
「税法上のアメリカ居住者」を調べてください。
名前や住所は何語で入力する必要がありますか
英語です。半角英数字で入力します。名前は一般的にパスポートの名前を書けば良いと思われます。
戸籍上の名前と書いていますが英語では戸籍に登録していません
戸籍上の名前と同じで登録するパスポートに記載するアルファベットベースの名前を書けば良いと思われます。
自分の住所を英語で書く方法がわかりません
検索して調べてください
Google以外のプラットフォームではどうなっていますか
アメリカにある会社から収益等（ロイヤルティー）を受け取る際に源泉徴収額を減らすにはこのような情報の入力は必要です。
Amazon、Apple、Google Playのデベロッパーなどは従来からこのような手続きが必要でした。
2021年からYouTubeで必要になった理由はよくわかりません。
日本の場合AdSenseはGoogle Asia Pacificと契約しているのになぜアメリカに源泉徴収されるのですか
Google LLC以外と契約しているAdSenseはアメリカで源泉徴収の対象ではないようですが、今回の件でAdSenseの入力欄もあります。念のため入力しておきましょう。
まだYouTubeで収益化、AdSenseを利用していませんがどうすれば入力できますか
利用していないユーザーは対象ではありません。
利用出来る条件になってから入力して下さい。
まだYouTubeで収益化、AdSenseを利用していませんが期限があるにそれ以降はどうしたらいいんですか
期限は2021年5月までに利用しているユーザーに対しての、源泉徴収を自分の国にあわせられる期限で、それ以降にも入力できます。
そもそも、それ以降にYouTubeパートナープログラムに参加した場合は、当然ながら参加後に入力できます。
TINとは何ですか
Taxpayer Identification Numberの事で納税者番号のような意味です。日本の場合はマイナンバーがそれに該当しアメリカのW-8BENの外国のTIN欄にはマイナンバーを入力します。
TIN番号取得などでIRSに電話しないで良いですか
日本人は通常必要ありません。昔は必要でしたが今は不要です。
TINは日本の場合何を入れればいいのですか
マイナンバーです。
マイナンバーがわかりません
住んでいる市区町村窓口に聞いて下さい。
マイナンバーカードを持っていません
マイナンバーカードは利用しません。必要なのはマイナンバーです。
出力されたW-8BENのフォームをIRSに送付しないでいいのですか
AdSenseで設定すると情報がGoogleからIRSに自動的に送られるシステムなので、IRSにユーザーが個別に書類を送る必要はありません。
IRSって何ですか
アメリカの税務当局です。Internal Revenue Serviceの略。
入力したフォームに期限はありますか
期限は3年間のようです。2021年に入力した場合、期限は2024年末になっていると思います。
この場合2024年中に最新の状態で入力し直してください。
2021年5月31日に間に合わなかったらどうなりますか
2021年6月以降の収益が源泉徴収される可能性があります。
2021年5月31日以降に提出できますか
いつでも提出できます。
2021年5月31日以降に収益化したらどうなりますか
収益化してから税務情報を提出してください。
日本で確定申告する必要がありますか
あなたは日本在住で日本で納税の義務がある場合、日本で確定申告する必要があります。
XXVI HOLDINGS INC.とは何ですか
YouTubeはGoogleの一部門のような会社で、GoogleはAlphabet Inc.の傘下企業。Alphabet傘下の株式を保有しているのがXXVI Holdings Inc.
簡単に言うとXXVI Holdings Inc.はYouTubeやGoogleの親会社。
結局の所、よくわかりません。どうしたら良いですか。
会計士、税理士等に聞いて下さい。一般の会計士、税理士は知識が不足しているようです。アメリカの税法に詳しい会計士、税理士を探してください。
IRS
Internal Revenue Service (アメリカ合衆国内国歳入庁) アメリカの国税庁的な省庁
https://www.irs.gov
源泉徴収
所得を支払う支払者（会社等）が支払額から一定額を事前に差し引き納税する制度
年末調整
源泉徴収された金額、その他の保険等の金額などから年間の収入、控除額等を計算し、最終的な税額を計算する制度
確定申告
年間の収入を税務署に申告する制度