あなたが重大な問題だと思うバグが修正されない理由

GoogleやYouTubeのサービスは完璧な状態で提供されるのが理想ですが、完璧な状態になってからサービスがリリースされているわけではありません。常に何らかのバグや不具合、不可解な仕様が含まれた状態でサービスが提供されています。

全てのバグや不具合は優先順位が設定され、優先順位の高い物から順次対処されますが、優先順位が低い場合は、対応が数ヶ月、数年、最悪は対応されないまま終了してしまうこともあります。

このようなGoogleやYouTubeのバグや不具合の修正に関して解説します。

Googleのバグや不具合の優先順位の基本

基本的な優先順位は、システムが完全に停止するなど、重大な問題がある場合、例えば検索が出来なくなる、YouTubeの動画が再生出来ないなど、サービス自体が重大な問題が発生したときは24時間どんなときもすぐに対応されます。

たいていの場合は長くても数時間、短ければ数十分以内には対応されます。

影響力が高い内容で優先順位が跳ね上がる例

それ以外ですぐに対処されるのはGoogle社内のエグゼクティブクラスがその問題を言及したような場合です。例えばCEOがSNSでその問題に反応し、バグや不具合だった場合は、社員がすぐに対応する傾向にあります。

また、英語圏、特にアメリカやイギリス系の主要なニュース等でその問題が取り上げられた場合も、すぐに対応される傾向があります。
英語圏で言うと、主要な英語でのSNSで話題になった場合、主要な英語系テックメディア等で取り上げられた場合も、対応は比較的速い事が多いです。

英語と全く同じ内容で日本語だったらどうなるか

英語は第2言語として使っている方をインドを除いても10億人いるとすると、日本語は話者は1億強しかいないので、割合は1/10となって、重要度は英語に比べるとかなり落ちます。日本語のニュース、主要なSNSで話題になったとしても、英語圏での影響力に比べると格段に落ちます。

優先順位の付けられ方

GoogleやYouTubeでのバグや不具合の優先順位は、基本的には影響が大きい順に高くなるようです。

基本はサービスに大きく影響する問題、利用者が多い問題が最も高く、利用者が少ない場合などには優先順位は低くなります。謎なのは、有料サービスの場合でも、大きな影響が出ていないと判断されると何ヶ月も対応されないことがあるくらいに、有料サービスだからすぐに対応するとは限らない事です。

例えば、文字入力に問題がある場合、GmailのWebブラウザでの入力画面で問題がある場合、多くのユーザーが影響を受けるので対応は早いです。

それが日本語入力だけの問題でもそれなりの人数が影響を受けるので、比較的早めに対応されるでしょう。

対応がかなり遅れる例ではこのような事があります。

スマートフォンでは言語によって文字入力を自動化する機能があります。例えば英語で始めの文字を入力するだけで自動でその後の文字を単語毎アシストするような機能があります。iOSを英語設定でその機能をオンにした状態で、Gmail Appを使い、日本語を入力すると、問題が発生する場合があります。
これは、iOSを英語設定で使い日本語も使っている人、さらにGmail Appを使っている人と、利用ユーザーがかなり限られる問題になるので、優先順位はかなり下がります。

このように、バグや不具合の内容によっては限られたユーザーにしか影響しないため、対応がかなり遅れる場合があります。

自分が重大な問題だと思っていても、それを使っているユーザーが全体のどのくらいの割合かを考えてみましょう。

対応が遅れるとどうなるか

有料サービスで英語などマルチバイト以外の言語の使用者に影響する問題で、関係者がしつこく不具合の内容を送った場合で、対応に半年以上。

定期的に発生する不具合で、原因もよくわからないが、問題が発生したら個別に対応している案件で数年以上根本的な対策がされない場合。

など、良くて数ヶ月、長ければ年単位で不具合が修正されないこともよくあります。

対応されない不具合

Googleサービスは、サービスそのもの、そのサービスの中の何らかの機能が終了することはよくあります。

数ヶ月後などにその機能の縮小が計画されている場合、何らかの問題があったとしても対応されないことがほとんどです。

長期間対応されない理由

Google自体のカルチャーの問題があります。一般の企業ではミスや失敗は注意される、怒られる対象になりますが、そのような事があり得る組織では「心理的安全性(psychological safety)」が担保されません。

Googleは人事関連も常に研究されており、Googlerが最大のパフォーマンスを出すにはどうしたら良いかを調べています。

例えば、仕事をするチーム内で安心して仕事が出来る「心理的安全性」については「Project Aristotle」(プロジェクト・アリストテレス)として研究され、検証されています。

https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/

その中で、間違ったり、無知な質問などをしても、罰したりしない事で、安心して仕事をし、発言できるようになるような環境を作るというようなことです。

つまり、バグなどを出しても罰せられることがないため、多少のバグ等は許容されるということです。さらに、そのような問題を改善するための指摘等は、注意しなければならず、必ず心理的安全性た担保されるようにしなければいけません。

このようなGoogleカルチャーは通常の業務では良いのでしょうが、社内でのバグの指摘、積極的な修正に入るまでの行動が遅れる原因の一因の可能性があります。

このようなGoogleでの働き方の内容は

https://rework.withgoogle.com/

にまとまっています。

それ以外の要因

それ以外にも要因があります。

特にGoogleの社員は、世間的に言う「頭のいい人」が多い傾向にあります。

このような人の良くあるパターンは、自分の非は認めない、言い訳をすることです。

このパターンの人が担当していた場合、なんだかんだ言いながら、わかっていても修正されないような場合もあるかも知れません。