YouTube MusicにCDからリッピングした音楽をアップロードする事は合法か違法か

動画サービスのYouTubeは著作権侵害となる著作者から許可を取っていない音楽、映像等をアップロードする事は出来ません。YouTubeの利用規約違反になるだけでなく、著作権侵害で世界各国の法律に違反します。これは非公開の動画でも同じです。
BGMとして入れた場合、風景等を撮影してたまたま入り込んでいた場合でも同じです。
もしもアップロードすると、著作権者から著作権侵害などの申し出があり、最悪の場合、YouTubeチャンネルが停止してサービスが利用出来なくなります。

一方で、YouTube Musicという音楽専門のサービスがあります。

このYouTube Musicには自分の音楽をアップロードする機能があります。
ここに、自分で持っている音楽CDからリッピングした音楽データなどをアップロードする事は、YouTube Musicの利用規約上問題ないのでしょうか。また、違法ではないのでしょうか。

YouTube Musicの音楽アップロードサービスとは

YouTube Music含めて多くの音楽ストリーミングサービスは自分の音楽をアップロードして、そのサービス上で聴ける機能を提供しています。

CD等では販売されているがストリーミングで配信されていない曲なども、CD等を持っていればストリーミングサービスで聴けるようになる機能です。

YouTube Musicのアップロードサービスは、2020年に終了したGoogle Play Musicで提供されていたサービスを引き継いだ物です。2020年春から提供されています。

音楽をアップロードする https://support.google.com/youtubemusic/answer/9716522

YouTube Musicの保存音楽ポリシー

YouTubeはこの機能に関して、YouTube Musicの保存音楽ポリシーを用意してユーザーに注意喚起しています。(下のキャプチャ画像は2020年11月2日現在)

その後、ローカル音楽に関するポリシーとなり、文面は多少変わっています。

ここには、

YouTubeはYouTube Musicにコンテンツ(音楽など)をアップロード出来るスペースを提供している。
ここにアップロードしたコンテンツの権利はユーザーが保持している。
YouTubeはコンテンツにユーザーがアクセスできる様にする。
コンテンツはアップロードしたユーザーのみがアクセスできる。他人と共有出来ない。
コンテンツの法的な責任はユーザーが負う。
第三者の権利を侵害してはならない。法律上の権利を有する場合を除く。

というような事が書かれています。

保存音楽ポリシーで特に気になる部分

コンプライアンスを気にする方にとって、後半のこの部分は気になると思います。

お客様は、ご自身がYouTube Music にアップロードした保存音楽コンテンツについて法的な責任を負うものとし、第三者の知的財産を含むもの(著作物など)をアップロードしてはなりません。ただし、お客様が当該第三者から許可を得ている場合、または、法律上、そのために必要な権利を有する場合を除きます。

You are legally responsible for the Stored Music Content you upload to YouTube Music and you must not include any third-party intellectual property (such as copyrighted material) unless you have permission from that party or are otherwise legally entitled to do so.

この部分はわかりにくいですがYouTubeなどが、この手の法的なポリシーの文章によくある表現です。世界各国の法律等に適合するように書かれています。

CDをリッピングすることは違法なのか

そもそも、ストリーミング以前にCDをリッピング(CDの内容をパソコンに取り込むような意味)し、WAVデータを取り出したり、そのデータをmp3などにして、自分のパソコン等に保存する事、そのデータをポータブルプレーヤーに入れて、自分で聞くことは違法でしょうか、合法でしょうか。

この件は、日本では私的使用のための複製に該当します。

特に音楽CDの場合は一般的にコピープロテクトがかけられていないために、パソコン等に取り込むことは違法ではありません。

例えば政府広報オンラインでは、下にキャプチャしたように、2012年から変わった著作権法の解説の中でも紹介してます。

https://www.gov-online.go.jp/useful/article/200908/2.html

一般社団法人日本レコード協会(RIAJ)も、わかりやすく説明しています。

https://www.riaj.or.jp/f/leg/copyright/music/qa_copy.html

私的使用のための複製に該当すること

つまり、CDをmp3などにして、自分や同居する家族で楽しむだけなら違法ではないとされています。

YouTube Musicにアップロードする事はどうなのか

YouTubeはYouTube Musicで著作権違反をするなと書いているが「法律上、そのために必要な権利を有する場合を除きます」とも書いています。

つまり、日本ではユーザーは「私的使用のための複製」という権利を有しているため、アップロードした本人にしか使えないYouTube Musicにアップロードして、個人的に聞くことは違法ではないという解釈が可能です。

結局違法なのか合法なのかのまとめ

日本の法律では、音楽CDのデータをコピーし、パソコン等に保存する行為は違法ではありません。コピープロテクトがかかっているCDからリッピングする行為は著作権保護機能を解除する行為として違法になります。

YouTube Musicのようなクラウドサービスにアップロードすることは法律等では言及されていませんが、私的利用のための複製と判断されると一般的には言われています。

CDからのリッピングではなく、デジタルストアで購入した音楽データのコピーの場合も同じように扱われると言われています。

つまり、YouTube MusicにCDからリッピングしたデータをアップロードし個人的に聞く限り合法です。

なお、この文章は弁護士の監修等を受けていないので、法的な正式な裏付けが欲しい場合は、法律の専門家に相談してください。