YouTubeでの著作権の基本
著作権とは何でしょうか。
著作物に与えられる権利で、著作者を守るために存在しています。その著作権は法律で決められていて、国毎にその制度も異なります。日本の場合は通常、著作者の死後70年間、権利が守られます。映画の場合は公表から70年間守られます。
例えば20歳の人が2000年に作曲した音楽があり、その人が120歳まで生きると、2170年までその著作物は保護され、他人が勝手に使うことが出来ません。(2020年現在)
2020年に権利が消失するのは1950年に亡くなった著作者の著作物です。
これは国によって異なります。
例えばアメリカの場合、法律の適用時期等により異なり、創作から120年など70年以上の場合もあります。
著作権に関する基本的な情報は、公益社団法人著作権情報センターが提供しているみんなのための著作権教室などを確認してください。
http://kids.cric.or.jp/intro/01.html
ここではYouTubeにおける著作権について解説します。
YouTubeでの著作権
YouTubeではアップロードされた動画の著作権について、YouTube自体は判断していません。
アップロードした本人が、その動画の著作権者だと信じて処理しています。場合によってはそうではない場合もあるので、本来の著作権者からの申し立てが出来る仕組みもあります。
YouTubeが解説する著作権についてはこちらを確認してください。
著作物とは
著作権は誰にでも公平に著作物に対して与えられる権利で、どこかに登録する必要も無く、例えば紙に鉛筆で適当にグチャグチャに絵を描いても、それは書いた人の著作物になり、著作権が発生します。
こんな物も著作物
左の写真のような、試し書きしただけ見たいな、適当な線だけの物でも著作権として守られます。さらに言うと、この撮影した画像にも著作権が発生しますし、この説明文にも著作権は発生しています。
YouTubeでは著作権上が問題ない状態にする必要あり
YouTubeで使う画像、音楽などは著作権上問題ない状態にする必要があります。収益化しているしていない、無料で公開している、広告を掲載していないなどは関係ありません。
使用する画像は自分が撮影した物、その撮影している物も権利上の問題が無い状態にする必要があります。
例えば、アニメのキャラクターを自分で撮影した場合、そのアニメの権利を侵害している可能性があります。
使用する音楽も、自分で作詞・作曲・演奏した物である必要があります。
例えば購入したCDの音楽は、あなたの著作物ではありません。
著作権に似た異なる権利
著作権のような知的財産権には似たような少し異なる物もあります。
商標権、肖像権、パブリシティ権などがそれです。
商標権はブランドのロゴ、キャラクターなどを無断に使用されないようにする権利です。商標権は日本の場合特許庁に登録する必要があります。
肖像権は本人の許可無く撮影したり、公表されることを防ぐための権利で、プライバシー権とも言われます。
パブリシティ権は肖像権の一部で、有名人などの名前や画像等を「顧客吸引力」のために無断で使い、特定のサービスを宣伝するような事です。
これらもYouTubeでは守る必要があります。たとえば有名YouTuberの顔画像をサムネイルに勝手に使うようなことは、様々な権利上問題になります。
YouTubeでの商標権やプライバシー侵害に関しては、著作権とは異なる申し立て手段が用意されています。
形にならないような権利は特許や実用新案など
何かの新しい製造方法、発明などは特許や実用新案として法律で保護されています。
これらは著作権とは違いますが、一般社会では守る必要があります。
YouTubeの動画内では直接関係ない場合がほとんどと思われます。
著作権上正当に使える範囲
著作権で全て完全に保護すると、何も使えなくなってしまう場合があります。
例えば家の中での撮影で、壁紙の権利を主張されたり、着ている服の権利を主張されたりすると、何も撮影できません。そのため、ある一定の範囲内では許可無く利用出来る場合もあります。
何が許可無く利用出来るかは撮影対象や内容によるので、著作権に関する各種説明を確認してください。
引用と転載
例えば本の場合、有名なフレーズを紹介する事があります。
僕は三十七歳で、そのときボーイング747のシートに座っていた。その巨大な飛行機はぶ厚い雨雲をくぐり抜けて降下し、ハンブルク空港に着陸しようしているところだった。
ノルウェイの森 村上春樹
例えば、こちらは村上春樹の小説を2行ほど引用してそれがわかるようになっています。
それとは異なり、何ページもそのまま掲載するようなことは転載となります。
一般的に少量の引用は著作者の許可が不要で、転載の場合は許可が必要になります。
YouTubeの場合、他の動画などの著作物を引用として紹介する際などに、数秒の画像を使ったり、静止画として数秒使うだけなら引用と認められる場合があります。全ては権利者次第なので、十分注意する必要があります。
パブリックドメイン
著作権が一定期間経過し保護機関が切れた物はパブリックドメイン(公有)となります。
このような著作物は、基本的に著作者の許可無く利用出来るようになりますが、関係者が何らかの権利を主張する場合もあるので利用には十分な注意が必要となります。
フェアユース
フェアユースは主にアメリカで認められている著作物の公正な利用方法の1つです。
日本ではフェアユースの概念は少なくともアメリカとは異なり、基本的には認められていません。
YouTubeはアメリカ発のサービスですが、フェアユースが認められるかどうかは、著作物、著作者の意向などによって異なります。
フェアユースの範囲内だと勝手に主張し、無断で他人の著作物を使用する行為は問題になる場合があります。
著作権フリー、クリエイティブコモンズ
YouTubeでは著作権上の問題をクリアしなければならないので、著作権フリーで使える画像や音源、クリエイティブコモンズの規定に沿って使うような場合もあります。
それらがほんとうに著作権フリーだったり、クリエイティブコモンズとして設定している物の場合は何の問題ありません。
中には他人の著作物を勝手に著作権フリーとして配布するサービス、勝手にクリエイティブコモンズに設定する人などがいます。
そのもの自体が本当に著作権フリーなのか、クリエイティブコモンズなのかはしっかり確認してください。
著作権の問題をクリアしているはずなのに権利侵害とされた
例えば音楽の場合、地域毎に様々な権利者が管理しています。
国内の権利者に確認をとっていても、海外の権利者の確認はとっていない場合は、権利侵害とされる場合があります。
全ての要素が自分の著作物の場合は異議申し立てをすることが出来ますが、他人の著作物を使い許可を得ている場合は、本体の著作者に状況を問い合わせる必要があります。
なぜフリー音源がYouTubeで権利侵害になるのか でも解説しています。
本の朗読、絵本の読み聞かせ
本や絵本を読んだ動画も本や絵本の権利侵害している場合があります。
本の文字を動画にした場合、絵本の内容を動画にする場合、内容は動画内で紹介せず読んでいる音声だけの場合でも、他人の著作物を利用している事になるため、著作権侵害になる場合があります。
絵本のブロンズ新社による案内
本の表紙、書名の著作権は
書名は題号とされているそうです。本を紹介する際に題号である書名を、無断で紹介する事では著作権侵害にならないようです。
本の表紙については権利が主張される可能性があります。本を紹介するために表紙を何秒か紹介するだけで権利侵害とされることは低いと思われます。しかし、出版社等に問い合わせて表紙の紹介であっても許可を取るのが通常のやり方です。