GoogleにはAIを使ったサービスは以前からありました。人が質問した内容をチャットで返答するAIサービスを2023年に開始し、Geminiという名称をGoogleのAI関連サービスのブランド名として2024年から本格的に使い始めました。
Geminiと言ってもいくつかのサービスがありますが、一般的に使われているのが、文字を入力すると、それを元にAIが人間のように返信するサービスのGeminiです。
このような文字を入力すと答えるサービスはチャットボット、チャットAIとも言われています。
GoogleのGeminiは
にアクセスしても使えるし、iPhoneやAndroidのスマートフォンアプリなどで使えます。
これを「Geminiアプリ」などと言います。
GoogleのAIIサービスとしては、他にもいくつかのGemini機能やAI関連サービスはありますが、AI関連サービスを簡単に利用できるのが「Geminiアプリ」です。
ここでは「Geminiアプリ」について説明します。
なお、Geminiは日本語では「ジェミニ」と発音しますが、英語の発音は ˈdʒɛmɪnaɪ で「ジェミナイ」みたいな発音になります。
Geminiを使う上で知っておきたい用語 で用語の解説をしています。
Geminiを使う基本についてはGoogle Geminiを使いこなす方法で解説しています。
昨日使えた機能がなくなる。
昨日あった機能が他の機能と統合される。
昨日まであったメニューが消えている。
のような事は毎日あります。いちいち気にしないでください。
チャットAIはそれっぽい回答を、専門家っぽく答えます。そのまま信じず、かならず確認の上で利用してください。
存在しないこと、間違ったことを返答することはよくあります。人間が言い間違い、書き間違えるのと同じです。
チャットAIは存在しない内容を出力することがあります。
ハルシネーション(幻覚)と言われていますが、もっともらしい存在しないウソをそれっぽく出力します。あたかも存在しているようなウソを勝手に作り出す問題で、うまく答えないエラーのような物とは全く異なります。
2023年頃からのチャットAIは急速に人間と同じようなそれっぽい返答をするようになったので、よく勘違いする人がいますが、チャットAIは全知全能のサービスではないです。よく間違います。
どんな優れた人でも間違いをするようにチャットAIは堂々と間違ったことを答える事があります。チャットAIが答えた内容が正しいかは実際に正確な情報から自分で判断してください。
チャットAIと会話を続けていると、そこに人格を見いだす方がいるようですが、チャットAIに人格のような物はありません。
チャットAIは設定された内容を学習して、その通りに返答しているだけです。長く会話をしていると学習内容をより反映するようになるので、さらに人格的な物が見えてくる方がいるようですが、人格はありません。
この設定を人格だと定義する場合もあるかも知れませんが、一般的には単なる設定で、俳優が出演作品毎に違う人になるのと同じです。
あくまでも、設定通りに会話しているだけです。
会話という用語も誤解を生む原因ですが、計算上もっとも適切な文字列が会話風にデータとして出力されているだけです。
WebブラウザなどからAIのチャットボットの利用ができるGeminiアプリは、GoogleのAIサービス全般のGeminiで提供される機能の一部が簡単に利用できるサービスです。
設定がないことに憤慨している方がたまにいますが、AI Studioなどで利用できるすべての設定がGeminiアプリでも利用できるわけでは無いです。
細かな設定を行いたい場合は、Geminiアプリ以外を使用してください。
チャットAIは出力内容が良く壊れます。
壊れるというのは、やりとりが出来なくなるとか、間違った内容を返答することも、明らかに返答がおかしくなるようなことです。
誰でも答えられる簡単な内容を答えない、出力する内容が変になるようなことはよくあります。
全く同じ内容を入力しているのに、その時によって違う内容が帰ってくることはよくある通常の状態です。
例えば、日本語で会話しているのに、所々に日本語ではない単語が含まれる事。日本語で会話していたのに突然英語で答え出すようなことはよくあります。
回答が始まったと思ったら急に取り消されて、答えられないような状況になることもあります。
このように壊れる事はよくあります。
壊れたなと感じたら、新しい会話を使ってください。
Gemini自体の問題の場合は、ページやアプリをリロードするなどしてください。
チャットAIが、ユーザーの入力内容(プロンプト)を理解しない回答をする単なるエラーのよう場合と、ハルシネーションは異なります。
チャットAIのハルシネーション(幻覚)とは、存在しない内容を勝手に作り出す現象のような物で、心理学用語の「作話」(confabulation)と似ているとされることもあります。
ハルシネーションは例えば、ある有名作家の著作を聞いているときに、存在していない作品名を勝手に作り出すようなことで、チャットAIのエラーは有名作家の著作を聞いているのに、入力内容と直接紐付かない関係ない内容を出力するようなことになります。
1つのチャットを長く続けている時の問題、チャットで何か問題が発生した場合それ以上何かやって改善することはほぼないです。
新しいチャットを使ってください。
例えば、会話の中に別の言語が混ざる、変な内容になるようなことがあります。
日本語で会話しているのに、途中の単語がロシア語になっている、関係ない内容になるような問題です。
このような既知の不具合は、Gemini以前の同様のサービスでも以前から知られていた問題です。例えば、ChatGPTが一般公開される2022年の数年前から、AI関連の研究者などから既に多数報告がある問題です。
例えばOpenAIが2019年に公開した
https://openai.com/index/better-language-models/
などでは、この頃から基本的な不具合はある物で、徐々に対応されていることがわかります。
そのうち少なくなり、無くなっていくでしょうが、今後も同じような問題は続くと思われます。
Geminiに限らず、チャットAIは様々なデータを学習し、その学習した内容からチャットなどで答える内容になっています。
Geminiに入力した内容は、その内容を再学習に使用しています。また、人間のレビューアーがAIの動作に問題ないかなどをレビューすることもあるようです。
自分の個人的な内容などをGeminiに訪ねると、その内容が学習され、誰かの回答で使われるかもしれないし、誰かが入力して内容を読んでいるかもしれないという事です。
このようなAIで使用したデータに関しての懸念があるため、一般企業ではAIの利用を禁止していることも少なくありません。
Google Workspaceの場合はデータの取り扱い等が異なりますが、それでもGoogle側で何らかのバグ、エラーなどで情報の流出の可能性がゼロにならない可能性がある事をリスクとしてとられているところも多いです。
Geminiアプリのプライバシーハブ
https://support.google.com/gemini/answer/13594961
Google Workspaceの場合
https://support.google.com/a/answer/15706919
長く会話を続けている
チャットの内容の問題
使用しているモデルの問題
入力した内容の問題
など、様々な条件で返事がおかしくなるなどします。
新しいチャットで行ってください。
ひどい間違いだと会話内容と全く関係のない、言語の会話内容と全く関係のない内容の履歴しか残っていないようなこともあります。それに比べれば、回答が多少変になるくらいはたいしたことはありません。
会話を長く続けている
Gemini自体の使用量が多い
会話の内容の問題
など、Geminiは全知全能のサービスでも無いため、使い方によって問題になることはよくあります。
他でも書いているように、10回に1回くらい思ったことと違う内容が返ってくることはあるし、昨日できたことが今日できなくなること、返答内に謎の内容が入っていることはよくあります。
計算で作り出された回答しか出てこないサービスを、常に完璧なサービスが提供される物だと勘違いして使っている方に、よくある不具合を大問題と勘違いする方が多いようです。
Geminiが壊れる理由はAI関連の開発競争が激しく、品質が低いままサービスが提供されているからです。
日本企業のサービスが完成が限り無く100%に近づかないと提供されないのに対して、Google含めた欧米系のIT関連サービスは完成度が9割くらいで、大きな問題が無い限りサービスが提供されます。
その上でサービス内容を改善し、ユーザーに受け入れられる場合はより完成度を高めながら、新機能を追加するなどしていきます。
AI関連サービスは競争が最も激しい分野です。
このAI関連サービスの場合は完成度が7割くらいでもサービスとして提供されているような状況だと考えてください。
その上、新しい技術やサービスが次々に導入され、ユーザー向けの新機能も続々と提供されています。完成度を高めようとしても、その機能は新しい機能にすぐに取って代わってしまうような状態で、品質を上げる暇がないくらいな状態と考えてください。
この状態は今後も少なくとも数年以上続く見込みです。
壊れたことをたのしむくらいの感じで使用する事をおすすめします。
とりあえず、再起動、リロード等してみる
別の会話にする
別の会話で、別の内容にしてみる
別の会話で、同じ内容を例えば、別のサービスで翻訳サービスで英語などにして送信してみる
などで試すと問題なくなることがよくあります。
一度おかしくなった場合は、まずは別の会話で試してみてください。
有料のGemini Proにした場合も同じですが、その時の様々な状況によって使用が制限されることもあります。
何らかの制限の対象になった場合は、制限が解除されるまでしばらく待つくらいしかないです。
通常の会話を1日に何度かやる程度の場合は、通常は制限の対象になることはありません。
同じような事をいつもと同じようにやっていても、昨日より今日は全体の利用者が多かったというような理由で制限の対象になってしまうこともあります。つまり、個別ユーザーの利用方法の問題ではなく、Googleサービス利用者全体のその時の利用状況による場合もあるという事です。
一度に処理出来る情報量がコンテキストウインドウになります。
無料プランに比べて有料プランでは32倍の差となっています。これは本を3冊読んで物事を考える人と、本を100冊読んで物事を考えられる人の差のような物です。
これは文字情報で、簡単な内容ならそこまでの差は出ませんが、複雑な内容になればなるほど差ははっきりとしていきます。
特に差が出るのが動画作成です。動画は生成にかかるコストが桁違いのため、通常の有料プランでも1日に数件しか作成出来ず、最上位プランでも自由に作り放題なわけではなく制限があります。
わかりやすく書けば、無料プランでも文字情報なら差はあまり出ないが、より深い情報の分析ではかなり差が出ます。有料プランでも動画作成などになると制限がかなり厳しくなります。
AIが出力された内容をどう使っていいかは、各AIサービスなどが利用規約などで決めています。
よく勘違いされるのが「商用利用していいをそのまま販売していい」と勘違いしていることです。
商用利用とは業務上利用する事に問題が無いかということで、例えば業務で使っている大量にあるややこしい表計算データを計算するのに、Geminiの機能を使って簡単にまとめてもらうような使い方をしても良いというような意味です。
出力されたデータを販売していいこととは全く異なります。
出力されたデータ、例えばAIで小説を書いて、それを有料で出版することはいいのかという問題については、基本的にどこも様々な制限の対象になります。つまり基本的に自由に利用できないという事です。
一方で、一部のAIサービスは利用上問題なしと明確に表明している物もあります。
Geminiで何をやっていいかわるいかは、Googleが用意しているヘルプを確認してください。
https://support.google.com/gemini/answer/13594961
このような各種規約等の解釈についてGoogleが直接説明することはないです。ご自身の責任で判断して使用してください。
Geminiの利用について簡単に書くと
出力されたデータを一般に公開、販売等することは制限もしくは問題がある。
Gemini自体の利用は、個人も仕事での利用も問題ない。
各サービスの利用規約の解釈について自分で判断できない場合は、クローズドな場所であっても、どこかに公開するような用途では使わない方がいいです。
チャットAIサービスは競争が激しく、機能が良く変わります。
基本的な機能は誰でも使えますが、より深く使う場合は、新しい機能を自分からすすんでいろいろ調べて活用しようとしている方に向いています。
よくあるのが
昨日は出来たことが今日は出来なくなる
昨日まで出来なかった事が今日から出来るようになっている
昨日までは左上から操作できた物が消えて、右下で操作するように変わる
他のアカウントでは出来るが、自分のアカウントではまだ出来ない
急に新機能が増えている
など、基本的なサービス内容自体が良く変わります。このような細かな変更はいちいちアナウンスされません。
今までと同じように出来なくなった場合は、まずどこかにその操作が移っていないか、機能がなくなったのではないかなどを確認してください。
会話するだけなので誰でも使えるサービスですが、少し込み入ったことをやろうと思った場合、マニュアルなどで教えてもらわないとわからない方には向いていないサービスです。
新しいUI
古いUI
回答が2つ表示されより良い回答を選べるパターン
2025年5月現在 2.0 Flash、2.5 Pro などのGeminiのAIモデルを選択出来ます。
このモデルというのはGoogleが事前に学習した、回答する元になる人間で言えば知識のカタマリのような物です。わかりやすく言うと、マラソン選手と、短距離走選手のように走ることは同じでも、その内容が違い、トレーニング内容も違い、筋肉やその使い方が人によって違うようなことです。
2025年5月現在のGeminiは、深く考えることが得意な物、簡単にすぐ答えられるようなことなどをユーザーが選べるようにしているようです。
2.0や2.5などの数字は大きければ大きい方がより新しくトレーニングした物になります。
Googleサービス全体で同じですが、Geminiでも新機能は徐々に導入されます。
AI関連では、まずは開発者向けに公開され、Gemini Advancedユーザー向け、Google Workspaceユーザー向け、一般ユーザー向けなどの順番に提供されることが多いです。この順番も特に決まった物ではないですが、無料ユーザー向けが一般的に最も遅れます。
各ユーザーでも順次提供されるので、同じ条件のユーザーなのに新機能が使えるのが遅くなることはよくあります。
人のように会話するサービスを一般的にチャットAIと呼ばれています。
AIにも様々なサービスがありますが、このように言葉や画像などを生成するAIは、生成AI (Generative AI)と呼ばれている種類の物です。このような生成AIは、従来からAIの専門家などには注目されましたが、一般への浸透はまだまだでした。その流れは2022年頃から画像静止が普及し始め、2022年末に一般に登場したChatGPTで一気に流れが変わりました。
ChatGPTの影響で2023年頃から各社が生成AIに舵を切る中で、2025年現在でGoogleのGeminiもかなり有用なサービスになっていますが、まだまだ未熟で不完全なサービスです。
現在の生成AI技術の進歩は、特にディープラーニングやGPUを使った演算が2010年代頃に大きく進展した事が影響しています。
特に注目が高まったのは2012年に登場したAlexNetです。これによってディープラーニングへの注目が一気に高まりました。その後、生成AIの分野では、アテンション機構という仕組みが重要な役割を果たすようになります。
特に欠かせないのが2017年に発表されたアテンション機構を基盤としたTransformerモデルです。さらに、これらのAI技術を大規模に行えるようになったGPU技術の進化も重要です。
このような基礎となる技術の開発競争は急速に進んでおり、チャットAI関連サービスとしても開発も日々すすんでいます。成熟にはほど遠いサービスを開発途中に利用しているような状況です。
Geminiサービス自体も日々機能が変わっているのが現状です。
Geminiでの会話の内容等は人間によるレビューアーによる確認、AIモデルのトレーニングのために使われます。
一方でGoogle Workspaceの一部エディションで使用している場合は、そのトレーニング対象などから外れるとGoogleはしています。
https://support.google.com/gemini/answer/14620100
それ以外ではアクティビティを削除することが有効としています。
Geminiに入力した様々なデータ等が、AIのトレーニング等で使用された場合、単純にGoogleのクラウド上にデータを置く以上のリスクがあります。
AI提供企業のプライバシー保護を完全に信用するかしないかは、そもそもどこのサービスを使うかなどにもよりますが、いつどこで何が発生するかはわかりません。
Googleだから大丈夫だろうなどと盲信しないことをおすすめします。何らかの間違いがあった場合、後で取り返しがつかなくなります。
AIを商用利用と言っても、
AIで分析したデータを元に報告書を人力で作成。
データなどから、報告書を作成して社内資料として使用する。
人力で作成した書類に問題ないかをAIに確認した資料を公開する。
AIで作成したデータから文書を作成して、外部に公開する。
資料の中で一部わかりやすいイラストをAIに生成させた物がある資料を外部に公開する。
AIで作成した画像集をそのまま販売する。
AIで作成した動画をそのまま販売する。
など様々な商用利用があります。
一般的には公開する資料で生成する内容は、商用利用が問題ないとしているサービスを使います。
画像ならAdobeの画像生成AIサービスなどがそれに該当します。
Geminiはそのようなことについて特に言及していません。
Geminiなど、常に新しい機能がリリースされてるサービスは、細かな不具合の修正よりも、新機能の追加などを重視していることが多いです。
Geminiの回答におかしい部分がある場合は、その返答に低評価するなどしてください。
チャット自体で間違っている事を伝えても改善されるかもしれません。
どうしてもGoogleに意見を言いたい場合は、設定画面などからフィードバックを送れるので、簡潔に問題の内容を書いて送信してください。
壊れているデータを集めて、Googleに報告するようなことも有用かも知れませんが、Geminiを何のために使っているかを忘れないようにしてください。
自分のGeminiとの会話がおかしくなることを知りたい場合、それ自体を丸ごと他人とシェアするのが最も有効です。
会話の最後に、シェア機能があるのでここでリンク等を取得すれば、他の人がそれを開くことが出来ます。
この機能でシェアしたリンクが以下になります。
Geminiのシェア機能の場合、操作等によって履歴などが削除されると消えてしまうので、個別に保存する事も有効です。
Export to Docs(英語UIの場合)を使うと、個別の返答をGoogleドキュメントに保存出来ます。
シェアした例
https://docs.google.com/document/d/16_Cvu9CFRsl00BbE90ShrRdMQ9yd5B_0GMx85_x3Gis/edit?usp=sharing
この機能では、会話全体の保存は出来ません。(2025年5月現在)