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都市鉱山の観点で見ると、日本は世界有数の資源大国。物質・材料研究機構の2008年発表では、日本の都市鉱に存在する金の総量は6,800トンで、これは全世界の現有埋蔵量の約16%にあたる。銀は60,000トンで、世界の埋蔵量の22%にもおよぶ。同様にインジウムは世界の61%、錫は11%タンタルは10%と、日本の都市鉱山には全世界埋蔵量の一割を超える金属が多数存在。都市鉱山からの金属回収促進の為、’13年4月に小型家電リサイクル法を施行。国が主導して、各自治体および認定業者の自由エントリー制としてスタートしたが、折からの資源安の進行と高労務コストから、国内発生国内リサイクルの原則は未浸透、国策として補助金を充実させるか、アジア全体の中での再生事業として枠組みを変更するか、難しい選択を迫られている。
希少金属 南鳥島沖海底5500メートルに
海洋研究開発機構と高知大は9日、レアメタル(希少金属)資源が含まれる海底の岩石「コバルトリッチクラスト」が小笠原諸島・南鳥島沖合の、海底5500メートルに広く分布しているのを確認したと発表した。従来の調査より約2000メートル深い海底で初めて確認され、日本近海で推定される資源量が大幅に増える見込みだという。コバルトリッチクラストは、鉄やマンガンの酸化物を主成分とする海水起源の堆積(たいせき)岩で、コバルト、ニッケル、白金などのレアメタルも含む。小笠原諸島から沖縄にかけ広く分布しているとされる。
三菱マテリアル、「都市鉱山」で欧州に拠点
三菱マテリアルは4日、欧州の金銀スクラップを集める新会社をオランダに設立したと発表した。現地で金や銀が含まれる家電基板などの金銀スクラップの検品やサンプル採取を担い、日本の処理施設に送る。既に米国では集荷体制を整えており、欧州拠点の整備で世界レベルの「都市鉱山」のリサイクル網を構築する。三菱マテリアルが90%、阪和興業が10%出資する。2017年春に集荷拠点を稼働させる。総投資額は約40億円。三菱マテリアルは国内外からスクラップを集め、直島製錬所とグループ会社が持つ小名浜製錬所でリサイクル処理している。4月に直島製錬所の設備増強が完了し、処理能力は従来比3割増え、世界最大の年14万トンとなった。国内外からスクラップを集めているが、現状で3分の1を国内で集め、3分の2を海外から集めている。世界経済の分布から考えれば、仕入れは国内に偏っている。国内ではスクラップの集荷競争が激しく、増強したリサイクル処理施設を安定稼働させるためにも、欧州からの集荷を増やす必要があった。家電基板などからのリサイクルは従来の鉱石からの生産と比べ、金や銀の含有量を推測しやすい。そのため、収益を見込みやすく、経営の安定につながる面がある。リサイクルによって地金などに再資源化された金や銀は、再び携帯電話や家電の基板などに使われる。
非鉄大手、海外で金属くず集荷拡大 都市鉱山に的
非鉄金属大手が金属相場の低迷を受け、海外で金属スクラップの集荷を強化する。DOWAホールディングスは米欧の拠点で排ガス触媒の集荷量を8割増やし、約30億円を投じて処理能力も高める。三菱マテリアルは2017年春に欧州で新たな集荷拠点を稼働する。「都市鉱山」と呼ばれる電子機器の廃基板類などから出る金や銀の回収網を海外に広げ収益源にする。
DOWAホールディングスは米国とチェコの集荷拠点を中心に、今後約5年間で自動車の使用済み排ガス触媒の集荷量を8割増の年1万2千トンにする。触媒は排ガスを浄化するためプラチナ(白金)、パラジウム、ロジウムの貴金属を含む。排ガス規制が厳しくなる米欧での廃触媒の増量をにらみ営業人員も増やす。米欧で集めた触媒は日本の処理施設に送る。集荷量の増加に対応するため、18年度までに約30億円を投じて処理能力を8割増強する。同社と田中貴金属工業が共同出資する貴金属リサイクル会社、日本ピージーエム(東京・千代田)では触媒を溶かす電気炉1基を新設した。近く旧炉を更新して電気炉2基体制にする。
JX金属は金や銀、銅などを含む電子機器の廃基板などの集荷の海外比率を現在の4割から数年内に5割に引き上げる方針だ。半導体産業が盛んな台湾のほか、米国にも集荷拠点がある。金属の中でも銅は価格の落ち込みが激しく、今年初めには1トン4千ドル台前半をつけた。足元は同約4800ドル前後に回復しているが、1年前と比べると約1割安い。
アジア「都市鉱山」に的 政府、廃スマホ輸入迅速に
経済産業省と環境省は廃棄されたスマートフォン(スマホ)やノートパソコンを輸入しやすくする規制緩和に踏み切る。こうした電子機器に含まれる希少金属は「都市鉱山」と呼ばれ、リサイクルすれば再び電子部品の材料になる。スマホやパソコンの廃棄量は世界的に増えている。輸入審査手続きを大幅に短縮し、希少金属の確保と再利用の促進をめざす。
現在、国内では香港や台湾、タイなどアジア各国・地域から、年3万~4万トン程度の廃棄スマホ・パソコンを輸入。金やタングステン、ニッケルなどの希少金属を取り出し、再利用している。
廃棄された電子機器の輸入については、不法投棄やいいかげんなリサイクルを防ぐため「特定有害廃棄物の輸出入規制法(バーゼル法)」で国が輸出入業者やリサイクル工場を事前にチェックするルールを定めている。
経産・環境両省は来年の通常国会にバーゼル法の改正案を提出。アジア各国から輸入する際には、審査に最短2カ月、最長で1年程度かかっているのを、数週間から1カ月程度に縮める。現行法ではアジアから廃棄スマホを輸入する場合、日本政府は現地の輸出業者とリサイクル工場から廃棄物の量や処理方法などの書類を受け取り両方の情報をつきあわせて確認したうえで輸出を許可するため、時間がかかっている。法改正後は事前に認定したリサイクル工場であれば、輸出元が契約書類を示すだけで輸入できるようにして、審査期間を短縮する。
最新の’都市鉱山’トピックス
[ 環境ビジネス ]
リサイクルビジネス進化論(12)「破砕機」の生産性/“都市鉱山”に挑む中間処理設備の王様
掲載日:2014-07-31 発表元:NTTデータ経営研究所 総アクセス数86 - 別窓で開く
キーワード:リサイクルビジネス進化論 | 破砕機 | 生産性 | 都市鉱山 | 中間処理設備 | 王様 |
[ 中国 ]
【Views on China】動脈と静脈が織り成す中国内陸経済の変化(1)
掲載日:2014-02-21 発表元:東京財団 総アクセス数127 - 別窓で開く
キーワード:Views on China | 中国 内陸部 | 中国 リサイクル | 廃棄物 | 都市鉱山 | 静脈経済 | 再生資源 | 再資源化 |
[ 経済全般 ]
幸福度指標の持続可能性面での指標の在り方に関する調査研究報告書
掲載日:2013-11-08 発表元:経済社会総合研究所 総アクセス数162 - 別窓で開く
キーワード:幸福度指標 | 持続可能性指標 | グリーン成長指標 | 自然資本 | 森林 | 農地 | 生物多様性 | 資源効率 |
[ 廃棄物・リサイクル ]
リサイクルビジネス進化論(4)~「非鉄リサイクル」進化の方向性~小電リ契機に「都市鉱山」攻略を
掲載日:2013-10-03 発表元:NTTデータ経営研究所 総アクセス数93 - 別窓で開く
キーワード:リサイクルビジネス進化論 | リサイクルビジネス | 非鉄金属 | 都市鉱山 |
[ 廃棄物・リサイクル ]
掲載日:2013-07-13 発表元:大和総研 総アクセス数132 - 別窓で開く
キーワード:都市鉱山 | 小型家電リサイクル | リサイクル | 再資源化 | 自治体 | 資源 有効活用 | ESGニュース |
[ 経済全般 ]
我が国における中長期的な産業構造変化調査事業 報告書:平成23年度産業経済研究委託事業
掲載日:2013-04-18 発表元:経済産業省 総アクセス数360 - 別窓で開く
キーワード:産業構造 | 為替レート変動 | 産業政策 | 産業構造改革 | 交易条件 | GNI | 持続可能な社会保障 |
[ 欧州全般 ]
欧州環境情報~EU、エネルギー市場の自由化を促進 / EU、シェールガスはEU の輸入依存性を軽減しない / EU、バイオ燃料政策を見直し...
掲載日:2012-12-07 発表元:日本産業機械工業会 総アクセス数109 - 別窓で開く
キーワード:欧州環境情報 | EU エネルギー市場 | EU バイオ燃料 | 温効ガス排出量 | 大気汚染 | 都市鉱山 |
[ 環境ビジネス ]
掲載日:2012-03-01 発表元:日本産業機械工業会 総アクセス数256 - 別窓で開く
キーワード:廃棄物焼却処理 | 欧州 廃棄物 | 都市鉱山 | 都市ゴミ | 亜鉛 | 銅 | 金 |
[ 環境ビジネス ]
「静脈メジャー」の意味と意義 成長するアジア市場に照準:リサイクルビジネス講座(10)
掲載日:2012-02-08 発表元:NTTデータ経営研究所 総アクセス数383 - 別窓で開く
キーワード:静脈 | 環境産業 | 海外展開 | インフラ輸出 | 廃棄物処理 | リサイクルビジネス講座 |
[ 資源・エネルギー ]
MRIマンスリーレビュー 2月号~特集:金属資源のリサイクル戦略~枯渇と飽和に対する処方せん
掲載日:2012-02-07 発表元:三菱総合研究所 総アクセス数238 - 別窓で開く
キーワード:MRIマンスリーレビュー | 金属 リサイクル | 都市鉱山 | エネルギー政策 | 再生可能エネルギー | 円高 |
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