2018/3/23press 環境省の研究開発支援 2018年度は廃棄物やSDGs、水素貯蔵など採択
投稿日: Mar 23, 2018 12:58:23 AM
環境省は3月15日、2018年度の環境研究総合推進費について新規課題を採択したと発表した。同推進費は、環境省が必要とする研究開発テーマを提示して公募を行い、産学官の研究機関の研究者から提案を募り、外部有識者等による審査を経て採択された課題を実施する、環境政策貢献型の競争的資金。2018年度の公募は2017年10月2日~11月6日まで実施され、申請数352課題の中から、廃棄物処理やバイオプラスチック関連、水素貯蔵、洋上風力発電所と生物多様性保護、化学物質の生態系リスク、SDGs、放射性廃棄物に関するものなどが採択された。
今回の公募は、例年に比べ継続課題数が多いなどの要因により新規課題への予算配分額が制限されたことから、過去に比べ採択率が低くなった。その中で、革新型研究開発(若手枠)について、別枠の予算を設け重点的に採択が行われた。なお、研究課題の審査は、必要性(行政ニーズへの適合性、科学的・技術的意義)、効率性(研究体制・研究計画の妥当性)、有効性(目標の達成可能性・期待値、成果の波及・貢献度など)の観点から総合的に行われた。
公募区分は「委託費」推進費が4課題、「補助金」推進費が1課題
公募区分は大きく分けて「委託費」のものと「補助金」のものがあり、補助金(補助率50%)は「廃棄物の安全かつ適正な処理に関する技術開発」1つのみが課題として設定されているが、委託費によるもの(600万円~2億5000万円)は多種多様な課題が設定されており、その解決に資する研究が求められている。また、対象領域として下記4つの領域が方向性として挙げられている。
統合領域
持続可能な社会の実現に向けたビジョン・理念の提示、持続可能な社会の実現に向けた価値観・ライフスタイルの変革、環境問題の解決に資する新たな技術シーズの発掘・活用、災害・事故に伴う環境問題への対応に貢献する研究・技術開発など。
低炭素領域
低炭素で気候変動に柔軟に対応する持続可能なシナリオづくり、気候変動への適応策にかかわる研究・技術開発、地球温暖化現象の解明・予測・対策評価など。
資源循環領域
3R(Reduce・Reuse・Recycle)を推進する技術・社会システムの構築、廃棄物の適正処理と処理施設の長寿命化・機能向上に資する研究・技術開発、バイオマスなどの廃棄物からのエネルギー回収を推進する技術・システムの構築など。
自然共生領域
生物多様性の保全とそれに資する科学的知見の充実に向けた研究・技術開発、森・里・川・海のつながりの保全・再生と生態系サービスの持続的な利用に向けた研究・技術開発など。
安全確保領域
化学物質等の包括的なリスク評価・管理の推進にかかわる研究、大気・水・土壌などの環境管理・改善のための対策技術の高度化と評価・解明に関する研究など。
環境研究総合推進費は、「環境研究・環境技術開発の推進戦略について」(2015年中央環境審議会答申)の重点課題ごとに環境省が必要とする研究開発テーマ(行政ニーズ)を提示して公募を行い、広く産学官の研究機関の研究者から提案を募り、外部有識者などによる審査を経て採択される。なお、環境研究総合推進費同事業の配分業務は、2016年より環境省から環境再生保全機構(ERCA)に移管された。