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投稿日: Nov 09, 2016 9:2:38 PM
百貨店はスマートフォンに負けたのか!
消費構造はどう変わったのか。
「総務省の家計調査のデータをみると、1世帯の1カ月の消費支出額はここ数年、29万円程度で、これはバブル経済のさなかだった88年とほぼ同じ水準です。ただし、支出額を項目別にみると、保健医療や交通・通信への支出が80年代と比べて大きく伸びている一方で、被服・履物や家具・家事用品は大幅に減っています。携帯電話会社への支払いは増えても、百貨店の主力商品である衣料品への支出は抑えているわけです」
「業態別にみると、百貨店の売上高が落ち込む一方で、大きく伸びたのがコンビニエンスストアです。そして最近10年間では、ネット通販などEコマースが急激に成長しました。スーパーの売上高は高い水準を維持していますが、これは食品スーパーが比較的好調なためで、衣料品なども扱う大型の総合スーパーは苦戦しています」
一部の勝ち組以外は苦戦しているわけですね。
「かつて『小売業の王様』と考えられていた百貨店が衰退しただけでなく、様々なところで、これまでの消費の常識が通用しなくなっています。2008年のリーマン・ショックをきっかけとした世界的な金融危機や、11年の東日本大震災の時には、一時的に消費が落ち込んでもしばらくすると回復していました。ところが、14年4月の消費税率引き上げで消費が落ち込んだ後は、給与が増えているにもかかわらず、2年以上たった今も消費が一向に回復していません」
「従来の常識が通用しないのは『エンゲル係数』も同じです。エンゲル係数は消費支出に占める食費の割合で、所得が増えれば増えるほどエンゲル係数は下がり、所得が減れば係数は上昇するというのが常識でした。ところが日本では1990年代半ばごろから2000年代半ばにかけて、所得が減ったにもかかわらずエンゲル係数が落ち込みました。さらに、その後は所得が伸び悩んでいるものの減少はしていない状況の中で、エンゲル係数は急上昇に転じています。日本の消費構造の変化を示すデータの一つといえそうです」
今後はどんな消費が増えそうですか。
「野村総合研究所が3年に1度実施している『生活者1万人アンケート』によると『積極的にお金を使いたいのは何ですか』という質問に『食料品』『外食』『交際費』を挙げる人の割合が増える傾向にあります。百貨店でも、いわゆるデパ地下の食品の売り上げは好調です」
「もう一つ、注目しているのは『リサイクル消費』です。最近、商店街の衣料品店などがリサイクルショップに代わるケースが増えているようです。インターネットで中古品の個人売買を仲介するフリーマーケットアプリのメルカリは若者の人気を集め、すでに月間100億円ぐらいの取引があるといわれています。こうした需要を掘り起こす新たなビジネスが今後も生まれるかもしれません」