SHARPのAIoT革命がレアメタル需要を牽引?
投稿日: Feb 05, 2016 7:14:54 PM
「今日は何を食べる?」。シャープが2015年12月に発売したオーブンレンジはそう語りかけ、消費者の要望に応じて冷蔵庫にある食材を使った料理を提案してくれる。その下地になった技術は、12年に発売したロボット掃除機「ココロボ」に搭載した、所有者と対話できる独自のAI「ココロエンジン」だ。 例えばココロボに「今日の天気は?」と話しかけると、音声データを無線LANでインターネット上のサーバーに送って識別し、適切な返答をしゃべってくれる。シャープは13年から他の家電にもココロエンジンの搭載を進め、「ともだち家電」として冷蔵庫など6製品を販売している。
シャープはAIとIoTを組み合わせた「AIoT(モノの人工知能化)」を掲げ、対話をクラウド上で分析し、使う人に合ったサービスの提供を目指す。
「さまざまな家電に対話技術を持たせることで、消費者の要望に合った機能を家電側から自発的に働きかけていく」(クラウドサービス推進センターイノベーション企画部の安田一則参事)ようにするのが狙いだ。
AIは特定の処理に特化した「特化型」と、複数の行動をこなせる「汎用型」に分類されるが、シャープは後者の機能を持つ家電を理想とする。
実は白物家電には既に多数の高性能センサーが搭載されている。空気清浄機は目に見えないPM2.5の量を測り、洗濯機は汚れ具合に応じて自動で洗浄時間を変更。例えば三菱電機の主力エアコン「霧ケ峰」は、室内を360度検知するセンサーが窓や壁の位置を識別し、人間のいる場所に重点的に送風することで電気代の節約につなげている。
これらのセンサーの働きにより、白物家電は「人が分からないことも把握している情報の宝庫」(安田氏)。ただ、そこで得られた情報が十分に活用されているとはいえないのが現状だ。
そこでシャープは、センサーが集めた情報をクラウドに集約してビッグデータ化し、家電がさまざまな機能を提供できるようにしようとしている。対話技術を持たせることで、使う個人のニーズをくみ取ることもできる。今後はエアコンが天候によって最適な室内温度を判別したり「この部屋の子どもは暑がりだから温度を下げよう」と自発的に判断したりすることが可能になるかもしれない。