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投稿日: Feb 06, 2016 8:27:50 PM
自動車リサイクルに異変が生じ、廃車処理台数が落ち込んでいる。中国の景気減速に伴う鉄鋼の世界的な値下がりの影響で、廃車から取り出す鉄スクラップ価格が大幅に下がり、採算の悪化した処理会社が車を引き取れない。資源リサイクルにほころびが生じる可能性もある。 自動車リサイクル促進センターによると、2015年の廃車引き取り台数は前年比5.7%減の320万6千台。東日本大震災の被災地で中古車需要が増え、廃車が少なかった11年以来の低水準となった。鋼材の国際価格が下がった影響で製鉄会社が購入する鉄スクラップの値段も1年間で4割下がった。
処理会社は車両の仕入れ値が高いと赤字に陥り「中古車の競売などで車を調達しにくくなっている」(廃車処理業で組織する日本ELVリサイクル機構)。処理会社がディーラーなどから直接買い取る廃車価格は、軽自動車だと「昨年秋まで1台1万3千円超で買い取っていたが、今は8千円ほど」(リサイクル会社のNGP=東京・港)だが、それ以上にスクラップ安が進んでいる。
代わって中古車輸出が増えている。同センターの集計では15年の中古車輸出量は約150万台と前年比3%多い。古い車でも「日本車はアフリカや中南米で人気が高い」(輸出業のエスビーティー=横浜市)。好調な海外需要を映し、中古車の流通価格は12年より1割以上高い。
15年に軽自動車税が引き上げられた影響で新車販売が振るわず「買い替えが少ないのも廃車減少の一因」(自動車リサイクル促進センター)だ。
鉄スクラップを溶かして作った鉄鋼は日本の粗鋼生産量の4分の1を占める。乗用車1台から400~800キログラムの鉄を回収でき、廃車由来のものは国内スクラップ流通量の1割弱とされる。東京商工リサーチによると、鉄スクラップ卸売業の倒産件数は14年の2件から15年は11件に急増した。