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投稿日: Nov 20, 2016 11:38:14 AM
鋼材の作り方には大きく「高炉法」と「電炉法」に分かれる。高炉法は鉄鉱石と石炭を原料に使う。JFEや新日鉄住金、USスチールなど大手はほぼこの方法を用いている。一方、電炉は鉄スクラップ(くず)を原料に使う。日本では主に建材向けのH形鋼や鉄筋を生産している。 JFEの競合メーカー幹部は「電炉から高級自動車用鋼板ができるわけがない。JFEは苦しむだろう」と話す。電炉材はコスト面では有利だが、不純物の少なさや表面の美しさでは高炉材に劣るというのが定説だ。
しかし北米での合弁相手を探すに当たって、JFEスチールの柿木厚司社長は「タブーなしで考えろ」と号令を出した。すでに神戸製鋼所と組んでいるUSスチールとの可能性まで探ったとされる。その過程で浮上したのが、すでに米ビッグ3向けに中級グレードの自動車鋼板を供給し、高級品への進出を模索していたニューコアだった。
社内には電炉メーカーと組むことに懐疑的な声もあった。技術者を何度も現地に送り、可能性を探ったところ「品質的にはいけそうだ」と感触を得た。15年10月には柿木社長自身がサウスカロライナ州のバークレー工場を訪問。洗練された運営を見て、ほぼ腹を固めた。
JFEとニューコアの合弁でも当初は日系自動車向けの高級鋼板はJFEが高炉でつくった母材をもとに生産するが、将来はJFEの高級鋼板製造技術とニューコアの低コスト生産技術を組み合わせることで、これまでにない低コストの自動車用鋼板をつくる考えだ。
品質に最も厳しいとされる日本メーカーに電炉材の高級自動車用鋼板が認められれば、他の自動車メーカーにも一気に電炉材が広がる可能性もある。