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投稿日: Mar 12, 2018 11:19:45 PM
政府は3月9日、一般海域において洋上風力発電の導入を促進するため、長期にわたる海域の占用を実現するための統一的ルールや、関係者との調整に係る枠組みなどを定めた法律案を閣議決定した。法律案の名称は「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案」。海洋再生可能エネルギー発電の整備に係る海域の利用を促進するため、内閣総理大臣が基本方針を策定すること、関係者を構成員とする協議会などの意見を聴取した上で促進区域を指定すること、この区域内の海域の占用などに係る計画の認定制度を創設することなどの措置を講じている。この法律案により、2030年度までに地域・関係者の理解を前提とする5区域を促進区域に指定する。この促進区域で発電事業を行う事業者は、公募により占用計画の内容(発電事業の内容、供給価格など)に基づき選定(占用計画を認定)する。選定された事業者は、固定価格買取制度(FIT法)による認定を受けて、最大30年間占用できるというものだ。2016年度における風力発電全体の導入容量は約330万kWで、これらの措置の効果により、2030年度には約1,000万kWに到達することを見込む。中長期的な事業の予見可能性を向上
海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進は、日本の海洋の開発・利用を進める観点から、海洋政策上の重要課題の一つとなっている。海洋再生可能エネルギー発電は、地球温暖化対策に有効であり、関連産業への波及効果も見込まれている。このうち、洋上風力発電は、陸上風力発電よりも設備の規模が大きく風況もよいなどのメリットがあり、港湾の活用による地元産業への好影響も期待されている。しかし、海域の大半を占める一般海域(領海・内水のうち、漁港の区域、港湾区域などを除く海域)については、長期の占用を実現するための統一的ルールが存在しない。都道府県条例での運用では、占用許可は通常3~5年と短期である。このため、中長期的な事業の予見可能性が低く資金調達が困難となり、案件組成を阻害してきた。なお、港湾区域においては、2016年度の港湾法改正により長期の占用を確保するための制度が整備されたが、広大な一般海域における制度は未整備である。また、海運や漁業などで海域を利用する、地域の先行利用者との調整に係る枠組みも存在しない。そこで、必要なルールを整備し、所要の措置を講じたものがこの法律案だ。