形容詞

形容詞には連体形・副詞形・原形の三つの形がある。

連体形

形容詞が名詞を前置修飾する場合、その名詞の有生性によって、以下のような語尾を形容詞の語幹に付ける。

有生名詞

無生名詞

-e

-i

例えば、「良い」を表す形容詞語幹tūl-は以下のようになる。

tūle zarāyur 良い生徒(を)

tūli sūreh 良い町(が)

ただし、下で説明する副詞形でも名詞を前置修飾できる

現在ではむしろ、連体形よりも副詞形を用いることのほうが多い。

tūlu zarāyur 良い生徒(を)

tūlu sūreh 良い町(が)

両者を敢えて区別して使う場合、

連体形による修飾は、その名詞の状態や性質について判断・認定・主張するニュアンスを含むのに対して、

副詞形による修飾は、一般的に認められる(であろう)状態や性質を単に述べただけというニュアンスがある。

副詞形

形容詞の副詞形は副詞として使われるほか、形容詞の辞書形でもある。

形容詞の副詞形は、名詞の特徴形と同様にして作られる。

すなわち、語幹末の母音(語幹母音)に従って、語幹に特徴母音を付することによって作られる。

特徴母音の対応表を以下に再掲する。

例えば、「tūl-」は語幹母音が「ū」であるので、この形容詞の特徴形は特徴母音uを付した「tūlu(良く)」となる。

なお、名詞の場合と同様に、重母音・長重母音で終わる語幹はそこからwやyを除いた短母音・長母音を語幹母音として特徴母音を決める必要がある。

また、副詞形は形容詞に助動詞を続けるときの形でもある。

例えば副詞形の後ろに回想助動詞sūreの未完了形を付けると、形容詞の過去時制となる。

hēta sūr ximbu 若かりし君

形容詞の副詞形は、動詞に係ける場合、動詞の直前に置かれる。

ruyx āti hapri.(ruyxur:友人、āti:久しぶりの、hapre:(urに)会う)

友人に久しぶりに会った。

動詞の直前以外の位置に置くには、副詞形形容詞の直後にkreという語を置くか、-hという語尾を付ける。

āti kre ruyx hapri. = ātih ruyx hapri.

久しぶりに友人に会った。

複数の副詞形形容詞を動詞の直前に置く場合、副詞形形容詞の間にはkreが置かれる。

ruyx āti kre suyri hapri.(suyri:突然の)

友人に突然、久しぶりに会った。

※一つを文頭に出して「ātih ruyx suyri hapri.」のように方が自然。

原形

形容詞の原形は名詞・動詞の原形と同様に作られる。

つまり、基本的には語幹と同形になるが、語幹が頭子音で終わる場合にはそれを丸め込む。

形容詞の原形は「~なもの」「~なこと」「~な人」「~なほう」という名詞として用いられる。(ただし、格語尾などを付ける場合には末子音を開く。)

例えば、「tūlu(良い)」の原形「tūl」は「良いもの」「良いこと」「良い人」「良いほう」という意味の名詞である。

また、形容詞の原形は名詞を後置修飾するときにも用いられる。

この場合は、動詞が名詞を後置修飾するときと同様に、名詞をまず原形で置き、その後ろに形容詞の原形が置かれる。

また、この名詞に格語尾などを付けることはできず、代わりにそれらは、形容詞の原形(当然、末子音は開かれる)に付けられる。

zarāy tūlur 良い生徒(を)

sūr tūleh 良い町(が)