名詞の格

波藍の名詞には4種類の格がある。

辞書の見出し語の形を無格というが、これはその4つの格には含めない。

4つの格とは、主格・属格・対格・与格である。

※初期には従格(-ä)があったが、やがて消滅した。

変化は、以下の格語尾を名詞の後ろに付ける。(-は接尾辞であることを明示するためのもので、実際には書かない。)

語尾変化が起こる点に注意。

第Ⅲ類名詞では格語尾が付くとき、語末の子音が有声音化する。(p→b, f→v, t→d, s→z, c→j, k→g)

例)kef+主格→keva(×kefa)

第Ⅳ類名詞では格語尾の直前にrが挿入される

例)miq+属格→miqre(×miqe)

これらの語尾が母音で終わる名詞に付くとき、幾つかの名詞では表記・発音の変化がよく起こることに注意されたい。

その規則は前に書いた通りである。(→緩衝音挿入

例)bace+主格→baceya

例)xide+属格→xider

例)täbö+対格→täbör

例)cowi+主格→ cowya

例)ago+主格→ agowa

例)lyo+対格→ lyor

例)su+与格→ swu

また、母音調和も起きる。前舌語の主格は-ä、対格は-ö、後舌語の与格は-uとなる。

例)bäl+主格→bälä

例)täm→対格→tämrö

例)qos+与格→qozu

各格は一般的に以下のような意味役割になる。

厳密な意味はその文の動詞が決定するため、辞書にて各動詞を参照されたし。

主格:文の主語。「~が」に相当。

属格:(※下に別記)

対格:文の直接目的語。「~を」に相当。

与格:文の間接目的語。「~に」に相当。

※属格について

属格は後ろにある名詞に係る格である。日本語では「~の」に相当する。

比較の基準として用いられない点を除けば、形容詞と同じ役割である。

元は、属格名詞をGとし、それが係っている名詞をNとしたとき、

NがGに属していなければ属格は使えず、

そのような場合には後置詞のyeを使っていたのだが、

現在では属格と後置詞yeは区別なく用いられる。