冠詞

尋浦文では、格と内外によって決定される冠詞が全ての名詞に付く。

入・出は、それぞれ内・外の冠詞に-s(遊格と処格のみ-j)を付けた形になっている。

内・外の遊格と処格は、それぞれの主格と対格に、-nを付けた形になっている。

なお、遊格には短縮形があり、表中ではスラッシュの右側に示した(後述)。

・副処格

副処格とは、主処格、対処格、……のようなものを言う。

副処格の冠詞は、主格、対格、……の冠詞に接尾辞を付けて作る。

副処格接尾辞は、内・外・境で「-(a)n」、入・出で「-(a)nj」。

括弧に入った「a」は、子音で終わる遊格冠詞に付けるときのみ現れる。

内で例を挙げると、主処格冠詞はtan、対処格冠詞はden、未処格冠詞はnen、已処格冠詞はzun、具処格冠詞はten、遊処格はtalanとなる。

なお、処処格は存在しない。処格で代用される。

・エリジオン

ne + emajのように、冠詞と名詞の間で母音が連続した場合は、エリジオンが起きてn'emajとなる。※emajは林檎の意。

ただし、境主格冠詞aおよび境具格冠詞eでは起こらない。

・敬意を表す副処格

任意の格を使う代わりに、その副処格を使うことで、敬意を表すことができる。

例えば、外主格でsa felm(「姉は」)という代わりに、外主処格でsan felmというと、「お姉様は」「お姉様におかれては」という意味になる。

・遊格について

遊格は他のどの格にも当てはまらない名詞がとる格であると述べたが、

実際には、修飾語となる名詞や、前置詞の目的語がとる格である。

尋浦は被修飾語の後ろに修飾語が置かれる(NA語順)ので、

例えば「馬(aloy)の食事(cotre)」は、"a cotre al aloy"となる。

(このように、遊格を修飾語の格として使う場合、その内外は被修飾語の内外に一致する場合が多い。)

なお、遊格冠詞には短縮形(表中ではスラッシュの右に示した)があり、

強調する場合や内外を明示する場合を除いて、ふつうはこちらが用いられる。

「l」あるいは「j」という形をしており、前の語の末尾か、後ろの語の先頭に付ける。

例えば、先に挙げた"a cotre al aloyならば、"a cotre'l aloy"あるいは"a cotre l'aloy"となる。

(アポストロフィは任意。エリジオンではないので、前後が子音でもふつう短縮形が使われる。)

なお、尋浦に形容詞や副詞は存在しないので、これらは全て名詞の遊格で表されることになる。

・冠詞の省略

冠詞は基本的に省略できないが、以下の場合のみ例外的に省略できる。

    • 視者が固有名詞で表されるとき、その固有名詞に付く冠詞は省略できる。