Ⅲ・Ⅳ類動詞と空位辞・不定辞

Ⅲ類動詞

Ⅲ類動詞は、人や物の出現・創造・設置を表す動詞群である。

語法は以下の通り。

[主格][已処格][已格]を有る状態にする

Ⅲ類動詞は、未格空位辞 los を伴って用いられる。

未格空位辞は代名詞の一種であり、通常の未格の位置に置かれる。

ただし、空位辞はしばしば省略される。

代表的な動詞morq(作る)で例を挙げる。

例)morqyt (los) ce sten. 私は家を作る。

Ⅳ類動詞

Ⅳ類動詞はⅢ類動詞と反対に、消滅・破壊・除去を表す動詞群である。

語法は以下の通り。

[主格][未処格][未格]を無い状態にする

Ⅳ類動詞は、已格空位辞 com を伴って用いられる。

使い方はⅢ類動詞と同様。

代表的な動詞rogg(壊す)で例を挙げる。

例)roggyt (com) le sten. 私は家を壊す。

不定辞

Ⅲ・Ⅳ類動詞は、主格の位置に不定辞 san を使うことで自動詞的表現が可能になる。

不定辞は不定人称あるいは三人称単数として扱う。

例)morqyl san (los) ce sten. 家が出来た。

例)roggyl san (com) le sten. 家が壊れた。

なお、不定人称として扱う場合は、不定辞sanを省略することができる。

例)morqy (los) ce sten. 家が出来た。

例)roggy (com) le sten. 家が壊れた。

同族目的語

Ⅲ・Ⅳ類動詞は、しばしば同族目的語を未格あるいは已格に取る。

これは特に名詞から派生したⅢ・Ⅳ類動詞に多い。

例)musyt ce mus. 私は戸を閉める。(mus: 戸)

例)musyt le mus. 私は戸を開ける。

同族目的語は省略可能だが、この種の動詞はⅢ類とⅣ類を兼ねている場合が多い。

その場合、同族目的語を省略すると、Ⅲ類なのかⅣ類なのかが区別できなくなってしまう。

例)*musyt. 私は戸を閉める?開ける?

そのような場合は、原則として空位辞を付けなければならない。

ただし、文脈から意味が明らかな場合や、未処格や已処格があって類が明らかな場合は付けなくてもよい。)

例)musyt los. 私は戸を閉める。

例)musyt com. 私は戸を開ける。

例)musyt (los) cen loifytt. 私は自分の部屋の戸を閉める。(loif: 部屋)

例)musyt (com) len loifytt. 私は自分の部屋の戸を開ける。