助動詞と否定文

助動詞

助動詞は動詞の接続形の後に置かれ、動詞に種々の意味を付け加える品詞である。

助動詞は動詞と同じように活用する。

したがって、助動詞の辞書形は動詞と同じく接続形である。

ただし、助動詞が独立に活用することはなく、接続形になった動詞に付くはずであった活用語尾が、代わりに助動詞に付いているだけである。

また、一つの動詞に助動詞が複数付くこともある。

この場合、最後以外の助動詞は全て接続形を取り、最後の助動詞(定述語)だけが活用する。

例えば、「āwi hūta(そろそろ行く)」(āwi:そろそろ、hūte:出発する)という文に助動詞「kraye(~せねばならない)」を付けると以下のようになる。

āwi hūte kraya.

そろそろ行かねばならない。

更に「~するようだ」を意味する助動詞「yume」を加えると以下のようになる。

āwi hūte kraye yuma.

そろそろ行かねばならないようだ。

副主語

例えば、「hīma tūma(彼は来る)」(来る:tūme)に助動詞「prebe(~と思う)」を付けると以下のようになる。

hīma tūme preba.

彼は来ると思う。

この文において、思っているのが誰かは示されていない。(実際には「私」と解釈するのが最も自然。)

このようなとき、助動詞の意味上の主語を文中で明示するには、その助動詞の直前に意味上の主語を特徴形で置く

このようにして明示された、助動詞の意味上の主語を副主語と呼ぶ。

※助動詞に係る要素は、副主語に限らず、助動詞の直前に置くことができる。

例えば、「私」が副主語である場合には以下のようになる。

hīma tūme kūnu preba.

彼は来ると私は思う。

なお、副主語は助動詞の活用に一切影響を与えない。(例えば、副主語が単数であっても、動詞の主語が複数ならば、助動詞は複数に合わせて活用をする。)

また、副主語を文頭に出したいときには、

kūnu kre hīma tūme preba.

のように、副主語の直後にkreを置く。

否定文

否定文は、述語に否定助動詞「neple」を付けることで作られる。

なお、「neple」の語幹は「nepl-」でもよいが、それの約まった「n-」もよく使われる

否定文の主語は、分格あるいは主格をとる。

例えば、「kaya hūta(私は行く)」を否定すると、以下のようになる。

kaya hūte nepla. / kaya hūte na. / kūni hūte nepla. / kūni hūte na.

私は行かない。

助動詞の付いた文を否定する場合も同様である。先に挙げた例文を否定すると以下のようになる。

ただし、nepleは常に助動詞のなかでは最も後ろに置かれる。

āwi hūte kraye n(epl)a.

まだ行かなくてもよい。

āwi hūte kraye yume n(epl)a.

まだ行かなくてもよいようだ。

hīma tūme prebe n(epl)a. / hiqi tūme prebe n(epl)a.

彼は来ないと思う。

hīma tūme kūnu prebe n(epl)a. / hiqi tūme kūnu prebe n(epl)a.

彼は来ないと私は思う。

上例に見えるように、語順の制約上、日本語の「ない」が置かれる位置と「neple」の置かれる位置とが異なることもあるので注意されたい。

また、否定文になると訳の変わる語もあるが、これらについては、辞書にて個々の項目を参考にされたい。