母音調和

一定の母音同士が一つの単語内で共存することができないという規則を母音調和という。

簡潔に言うと以下の様なルールである。

ある単語内に前舌母音があるならば、それより後ろには前舌母音か中立母音しか存在しえない。

ある単語内に後舌母音があるならば、それより後ろには後舌母音か中立母音しか存在しえない。

ただし、単語を、その間にスペースを含まない文字列と定義する。

この規則が適用されるとき、aとä、oとö、uとüはそれぞれ互いに変換される。

詳しくは以下のとおり。

まず、波藍の母音を以下のように分けて考える。

この内、前舌母音と後舌母音は互いに、一つの単語内で共存することができない

中立母音はどちらとも共存することができる

波藍の母音調和では、前舌母音と後舌母音の内のどちらが単語中で先に出現するかによって、その単語の母音調和の方向性が定められる。

前舌母音が先の単語を前舌語といい、そこでは前舌母音と中立母音しか使えず、

後舌母音が先の単語を後舌語といい、そこでは後舌母音と中立母音しか使えない。

又、中立母音しか含まない単語を中立語という。

話者にとって、この規則を運用するのは主に接辞を付ける場合である。

例えば、波藍では名詞に接尾辞「-o」を付けると、対格「~を」を表せる。

このとき、palam(波藍)という後舌語にはそのまま付けて「palamo(波藍を)」と出来る。

しかし、ämek(記憶)という単語は前舌語なので、後舌母音であるoを付けることができない

そのようなときは、oをそれに対応する前舌母音であるöに変えて、「ämekö(記憶を)」とする。

では、cef(ニュース)という中立語に「-o」を付ける場合はどうするか。

中立語は前舌母音も後舌母音も続けることが可能なので、「-o」でも「-ö」でも良さそうだが、「-o」を付ける

これは後舌母音のほうを付けるという意味ではなく、基本的な形のほうを付けるということである。

「-ö」は本来「-o」であるものを、母音調和の為に仕方なく「-ö」にしたものである。

母音調和の必要がない中立語では、元の形である「-o」のほうを付ける。

また、この文法解説や辞書に於いては、常に基本的な形の方のみを掲載している。

※ここでは接尾辞で例を上げたが、接頭辞の場合、接頭辞に前舌/後舌母音がある場合はそれに主要部の母音が調和するので注意。

※複数の接尾辞を中立語に付ける場合、前舌/後舌母音を含む接尾辞が出てきたときには、それより後ろに付ける接尾辞はその母音に調和する。