形容詞と副詞と比較

形容詞は名詞を修飾する品詞で、副詞は名詞以外を修飾する品詞である。

波藍において、副詞は形容詞に接尾辞-toを付けることで必ず規則的に得られる。

例: cen(新しい) → cento (新しく)

但し、純副詞といって、もともと副詞であるものもある。これらは-toで終わらないか、語末の-toをとっても形容詞にならない。

波藍の比較は、同等比較・優等比較・劣等比較・最上級の4種類がある。

同等比較: 英語の"A as ~ as B"に相当。AとBが同程度

優等比較: 英語の"A is more ~ than B"に相当。A>B

劣等比較: 英語の"A is less ~ than B"に相当。A<B

最上級: 英語の"A is most ~ of[in] C"に相当。Cの中でAは最高

比較には比較物であるAとB、或いはCの他に、比較軸が必要である。(英語では上の「~」で示した部分が比較軸。)

つまり、何についてAやBを比較するのかという尺度が必要である。

例えば「大きさ」や「狭さ」や「面白さ」である。

この比較軸を、形容詞または副詞が担う。

波藍では各比較の際、比較の基準となる形容詞や副詞に以下のような接頭辞を付ける。

同等比較: nädrö-

優等比較: ako-

劣等比較: kemo-

最上級: cän-

上の説明におけるAを比較基準、B,Cを比較対象と呼ぶ。

比較文では、まず比較対象を述べて接続詞yöを置き、比較基準を述べ、述語を置く。

但し、文脈上明らかな場合はいずれの要素も省略可能である。

よって比較の文は比較物が名詞の場合、典型的には以下のようである。

以下の例では「大きさ」が比較軸となっている。

※-aは主格を表す。

B yö A-a nädröwilö. AはBと同じくらいの大きさだ)

B yö A-a akowilo. AはBより大きい)

B yö A-a kemowilo. AはBほど大きくない)

C yö A-a cänrilö. AはCの中で最も大きい)

なお、比較基準を文頭で述べたい場合もあるだろう。

その場合は、比較基準の直前に副詞xaを置くことが多い。

このxaは文頭で比較基準を述べる場合でなくても、比較基準を明示するものとして常に使える。

xa A-a B yö akowilo. Aの方がBより大きい。

また、「彼女は先生というよりお母さんだ」や「私は彼を嫌っているというより憎んでいる」のような文も比較文である。

このような文では比較軸がないが、それは波藍でも同様にして表される。

teya mötägä yö (xa) yüza. 彼女は先生というよりお母さんだ。

ar teyo jerböc yö (xa) jimröc. 私は彼を嫌っているというより憎んでいる。