使役

使役とは、「~させる」という動作をいう。

使役文には、使役者動作使役標識が含まれる。

例えば、「私が彼女に本を読ませる」という文では、使役者が「私」、動作が「彼女が本を読む」、使役標識が「せる」である。

波藍では上の例文をこう表す。

toya elzo melezöväl.

「彼女が本を読む」は「toya elzo meles」であるので、

「meles」という動詞に使役を表すのに必要な要素が付いていることになる。

付いているのは、「-öf」という使役を表す接尾辞と、主格人称接辞の「-al」である。

波藍では、使役標識-öfの後ろで、使役者主格人称接辞を使って表す

では、動作の主格であるtoyaを人称接辞-emで表す場合はどうするのか。

その場合は、「melezemöväl」のように、-öfの前に挿入される。

これは動作の対格・与格を人称接尾で表した場合も同様

過去時制にする場合も「melezemödöväl」のように、-öfの前に挿入される。

"普通の動詞部分"に"-öf-使役者を表す主格人称接辞"が付いていると考えれば分かりやすい。

次に、使役者として具体的な人名を言いたい場合について述べる。

そのような場合の表現を、「farasが彼女に本を読ませる」という実例で説明していく。

上の例は以下のように表現する。

toya elzo faraza melezövem.

使役者であるfarasは、「faraza」を動詞の直前に置くことで表されている。

この「faraza」は一見主格に見えるが、主格ではない。

「faraza」に付いている接尾辞は、母音調和によって-aとなっているが、実は「-ä」という接尾辞である。これは昔あった従格という格の名残である。

歴史的側面への言及はこの程度に留めるとして、使役者を具体的に述べる場合は、動詞の直前に接尾辞-äを付けて置くということになる。

もう一つ説明すべきこととして、"動詞-öf"の後ろに主格人称代名詞-emが付いている。

これは、使役文では行為者を-öfの後ろで主格人称接辞を使って表すことが義務である為に付けられている。

したがって、使役者が具体的に述べられていても、必ずそれに対応する主格人称接辞を-öfの後ろに置かなければならない

※補足

波藍に使役受動は存在しない。

ただし、動作を表す部分を受動態や再帰態や自然態にすることはできる。

その場合、動詞部分は「動詞(-主格,対格,与格人称接辞)-態助動辞-öf-使役者を表す主格人称接辞」となる。