助動詞と疑問辞

助動詞

主な助動詞は以下の通り。

助動詞は主題よりも後、動詞よりも前に置かれる。

その際、助動詞の直後に、焦点となる項が移動する(上表の和訳で「~」に当たるものは必ず焦点として扱われる)。

移動がない場合は、述語動詞または文全体が焦点として扱われる。

例)lin dan taim irusyt cen fistam. 今日は学校に行かない。

例)lin cen fistam irusyt. 学校には行かない。

複数の助動詞が同時に用いられることもある。

この場合でも、助動詞ごとに独立に焦点となる項の移動は行われる。

例)lin fetta irusyt cen fistam dan taim. 今日は学校に行きもしない。(「今日学校に行きもする」ことをしない)

例)fetta lin irusyt cen fistam dan taim. 今日学校に行くこともしない。(「今日学校に行かない」こともする)

例)fetta dan taim lin irusyt cen fistam. 今日も学校に行かない。

例)fetta dan taim lin cen fistam irusyt. 今日も学校には行かない。

なお、qa, fetta, moqqa, laqqaは、母音で始まる語が後続する場合、エリジオンを起こす。

法助動詞

法助動詞は、特定の動詞に接尾辞-(l)yを付けて作られた助動詞である。

通常の助動詞よりも前に置かれて、主にモダリティを表す。

代表的なものは、推量のfoty(~だろう)や伝聞のpojaly(~らしい)である。

例)foty lin dan taim irusyl cen fistam. 彼は今日学校に来ないだろう。

例)pojaly lin dan taim irusyl cen fistam. 彼は今日学校に来ないらしい。

※法助動詞は次節で扱う従属節を導いている。したがって、法助動詞の直後に従属接続詞inが置かれることもある。

※法助動詞は動詞に由来するが、活用や語形変化は一切しない。

疑問辞

疑問辞は疑問助動詞qaの直後に置いて用いられる。

ただし、いずれの疑問辞も冠詞を要する。

(不定代名詞「何か」「誰か」「どこか」「いつか」を表す場合は、普通の位置でqaを伴わず用いられる。)

例)Qa t'ossa irusysama cen fistam? どうやって学校に行きますか?

ossamやoddaを処格で用いたい場合、代わりに遊格を用いるのが普通である。

この場合、エリジオンが起きてq'ossam, q'oddaのようになる。

例)Q'odda irusys cen fistam? いつ学校に行きますか?

また、qaではなく類推否定の助動詞laqqaの焦点として疑問辞を用いると、

「何も~ない」「誰も~ない」「どこも~ない」「いつであっても~しない」の意味になる。

例)laqqa jaim irusy(l) cen fistam. 誰も学校に行かない。