不変化文

不変化文とは、変化を表さない文である。

コピュラ文、帰属文、存在文、所在文の四種類がある。

不変化文は全て「cral A B」あるいは「ca A B」という構文を取る。

ただし、AとBは必ず遊格か遊処格を取る。

cralとcaは述語動詞なので、AやBやその他の要素を主題化したり、助動詞を付けたりすることもできる。

そのため、実際には「A cral/ca B」という語順が用いられることが多い。

※このcralはⅠ類動詞cra(変える)の三人称単数形であり、caはその約まった形である。したがって、不変化文は任意の変化を想定した上で、その変化に関係のない要素である遊格や遊処格を用いることで、コピュラ文等の意味を表現している。

コピュラ文

AとBは両方とも遊格を取る。

例)sui ca sumna. 空は青い。

例)dan taim ca sui sumna. 今日は空が青い。

例)fetta dan taim ca sui sumna. 今日も空が青い。

例)lin sumna ca sui dan taim. 今日は空が青くない。

帰属文

「AはBのものである」という文。AとBは両方とも遊格を取る。

ただし、BはAが単数ならば代名詞ly、複数ならば代名詞cyで、これには所有者を表す遊格名詞か所有接尾辞が後続する。

例)aloi tu ca ly jequt tu. この馬はこの男のものです。

例)aloi tu ca lyll. この馬は彼のものです。

例)aloin tu ca cyll. この馬たちは彼のものです。

所有と修飾の明示

例)aloi jequt

この例は、jequtが所有用法の遊格ならば「男の(所有する)馬」だが、

修飾用法の遊格だとすれば「牡馬」の意味にもなり、多義的である。

このとき、所有の意味を明示したければ、帰属文を用いて以下のように言うことができる。

例)aloi (in) ny ca ly jequt 男のものである馬

反対に、修飾の意味を明示したければ、コピュラ文を用いて以下のように言うことができる。

例)aloi (in) ny ca jequt 牡である馬

所在文

「AはBにある/いる」という文。Aは遊格、Bは遊処格を取る。

例)jequt su ca lan fistam. あの男は学校にいる。

存在文

「BにはAがある/いる」という文。Aは遊格、Bは遊処格を取る。

この場合、caは文頭に置かれることが多い。

例)ca jequt su lan fistam. 学校にはあの男がいる。

所有を表す場合もある。

例)ca mam gaul lanyt. 私には年老いた母がある。

例)ca aloi lanyl. 彼は馬を飼っている。