いわゆる「教師が担う業務の3分類」では、部活動は「必ずしも教員が担う業務ではない」という分類がされています。
この考え方によって、中学校では部活動の地域展開がある程度進んでいると言えます。しかし、高等学校では大きな動きがみられません。
そんな事情はありますが、では部活動をある意味ではまとめている組織とはいったいどんな組織なのでしょうか。業務にかかわる点も含めて見ていきます。
・高体連は「公益財団法人全国高等学校体育連盟」が正式名称です。都道府県の高体連組織が加盟しています。
・高文連は「公益社団法人全国高等学校文化連盟」が正式名称です。都道府県の文化連盟が会員となり、全国専門部の正会員団体によって組織されています。
・高野連は「公益財団法人日本高等学校野球連盟」が正式名称です。都道府県の高野連が加盟しています。
・全日本吹奏楽連盟は「一般社団法人全日本吹奏楽連盟」が正式名称です。11の支部(東北、西関東などの地域別)、都道府県の吹奏楽連盟(厳密にいえば代表者が正会員)などから成り立っています。
・上記3つの連盟と大きく異なるのは、「高校生の活動のためにある組織ではなく、幼保・小・中・高・大・一般などが加盟している」ということです。会議においても「高文連吹奏楽部会」と兼ねる場合があります。
・概ねこれらの組織は、「この連盟に加盟していないと、連盟が開催している各種大会等に参加することはできない」仕組みになっています。
・各都道府県の高体連や高野連といった運動部組織では「会長・部会長」「事務局長・専門委員長」などといった役職があり、それぞれ「都道府県内の校長」「都道府県内の教職員」がその職務を担います。
・高文連、吹奏楽連盟においても教職員がその役職に就くことがほとんどです。
※スポーツに関して言えば、「サッカー協会」「バレーボール協会」「バスケットボール協会」などといった競技ごとの協会に加盟することが求められます。例えば「春の高校バレーは、日本バレーボール協会と高体連とフジネットワーク、産経新聞が主催」「バスケのウインターカップは日本バスケットボール協会が主催で高体連は共催」などなどがあるためです。なお、国民スポーツ大会(旧・国体)は「日本スポーツ協会、文部科学省、各都道府県」の共催です。
・どの組織だとしても、部活動の顧問になれば、多かれ少なかれこうした連盟の仕事をすることになります。これが大変なわけです。会議の招集、審判や審査員の確保、会場設定、係や役員の配置、プログラムの作成、協会や連盟の大会運営など。特に専門委員長になったり、事務局長になったりした場合はなおさらです。しかしながら、こうした仕事をしているからと言って必ずしも業務負担の軽減措置がされるわけではありません(組織によってはありますが)。通常業務をこなしながらこうした業務に当たっている教職員が大多数と言っていいでしょう。
・前述した通りこれらの団体は任意の団体です。加盟、脱退は実は各学校で判断することができます。ただし、連盟が関わる大会等には出場できない、と思います。そういった団体ですが、学校の教職員という立場でありながら異なる組織の仕事をするというなんとも不思議な状態になります。
・そもそも学校とは異なる組織ですから、自治体によってはこれらの会議への出席を「職務に専念する義務を免除する「職専免」や「年次をとって参加」するといったことが生じています。秋田県の場合、高校の先生が部活関連の会議に出るときは「出張」になります。現状をすべて調べたわけではありませんが、地域によって差があります。
・校長は校務分掌を職務命令として配置するわけですが、部活動については「職務命令」ということ自体に疑問が投げかけられています。
・また、教員特殊業務手当の第3号、第4号は「教員の特殊な業務」として部活動の大会運営、引率、(土日の)部活動指導に対しての手当を規定しています。
・ところが、土日の部活動指導は「特殊な業務であって、勤務時間ではない」というのが文部科学省の考え方であり、法律的な建前になります。大会は出張で、指導は特殊業務。大会は勤務で、勤務時間外の指導は自主的・自発的なもの、という解釈のようです。国会でも土日の部活に手当が出ているのは業務(勤務)だからではないのか、という質問がありましたが、文科省は法律上の「自主的なもので、特殊な業務だから」という答弁しかできませんでした。
よくわからないですね。
こうした中体連、高体連等で役員などを行っているときにケガをした場合、いわゆる公務災害に当たるかどうかはケースバイケースのようです。しかし、裁判までいったものを見ると、概ねケガをした教員側(原告)が勝訴しています。詳しくは別記事で・・・