近年、クラウドという言葉が世の中でよく聞かれるようになりました。とはいえ、私たち自身がクラウドそのものがどういったものなのかを知る機会は、あまりありません。なんとなく便利なもの、として使っていると思います。
正直、そのサービスを利用するのにその仕組みの全てを知っておく必要は必ずしもありませんが、ある程度は「そういうものか」程度に知っておいて損ではありません。
ここではそんな「クラウド」について少し見ていきます。
※このページはクラウドサービスを肯定も否定もしているものではなく、あくまで仕組みについて述べています。ご承知おきください。
wikiを参照してみると、クラウドコンピューティングはコンピュータネットワークを経由してサービスを提供する利用形態とされています。一部からは「ネットワークコンピューティングの言い換えにすぎない」という意見もあります。一般的な認識でいえば「よくわからないがネット上にデータを保存できるサービス」や「ソフトウェアのインストールなしにブラウザ上でサービスを利用できる」という考え方でしょうか。
学校という枠組みでいえば、アップルのicloud、グーグルのworkspaceなどがよく聞かれると思います。
つまり、専用のソフトウェア(今はアプリといいいますが)をそれぞれのPCにインストールする必要がなく、インターネットのブラウザ上でこれを利用することができています。
よく聞かれるのが「クラウドはデータがどこに保存されているのか」ということです。私たちが使用するPC等ではHDDやSSDなどの記憶媒体に保存することがほとんどですが、クラウドサービスの場合、google driveのようブラウザ上で保存状態を見ると思います。そうなると「データは一体どこにあるのだ?」という疑問が生じます。
クラウドサービスは主にパブリックとプライベートがあります。しかし、いずれにしてもサービスを管理する側には「物理サーバー」が存在します。クラウドだろうとなんだろうと、最終的な終点・始点には必ず「モノとしてのサーバー」があるということです。
・データセンターは物理的なスペースや施設を指す言葉であるのに対して、クラウドはサービスの概念を指す言葉です。 データセンター内に存在する物理サーバーを利用して、インターネット経由でサービスを提供する形態がクラウドです。
・利用者は自前でサーバーを用意する必要がありませんが、サービス提供者はデータセンターとして物理サーバーを管理しています
・個別のPC等にソフトをインストールせず、サーバー⇒ネット経由でブラウザ上で利用するため、自前のときのサーバー負荷をほとんど気にせず、個々のPCに対する負荷が小さくなります。ただし、通信回線の速度に依存する面もあり、場合によってはサーバーに過大な負荷がかかることがあります。
・専用回線等のプライベートクラウド、よりオープンなパブリッククラウドなどの種類がある
あまり細かいことを気にしなければ、このくらいでしょうか。といってもピンとこないものもありますが。
クラウドサービスを展開するためのデータセンターは国内外に存在します。しかし、正確な場所は示されていません。これは物理的安全性やリスクヘッジのためです。したがって「このデータはここにある」というものではありません。この点が、多くの児童生徒を抱える学校という場所でクラウドを使用するにあたって課題になることと思います。
簡単にいえば「自分のあずかり知らぬところにデータ、サービスがあり、個々人のプライバシーが守られるのか」という不安です。
すでに現在は様々なネットサービスによって、個人情報がネット上に氾濫しています。もちろん、サービスを提供する側はこの情報を守る必要があるわけです。これは文書であってもデータであっても同様です。ただ、漠然とした不安が生じているのは、個々の会社や事業者が自前のサーバーを持つことから解放されたことにより、「自分が入力したとはいえ、これらの情報はいったいどこでどう管理されているのだろうか」ということを知る手段が、目に見えるものではなくなったことです。
発達する技術とどう向き合っていくか、難しいところです。