人事院は国家公務員、人事委員会は各都道府県の地方公務員の人事管理等の行政機関です。いずれも、人事管理の公平性を確保し、公務員の労働基本権の制約に対する代償機関として存在しています。
概ね人事院勧告は8月上旬、人事委員会勧告は10月上旬に公表されます。ここでは公務員の賃金の引き上げ、引き下げなどの金銭的なものが勧告される他、休暇や労働環境などの労働条件についても報告され、人事院勧告は内閣、人事委員会勧告は首長に対して、勧告・報告されます。
昨年度、人事院は「給与制度のアップデート」の骨子を公表しました。大雑把に言えば「年功序列型からの脱却」「論功行賞的給与形態」といった内容です。つまり、初任給層の号俸を引き上げ、いわゆる給与のカーブ(初任から退職までの右肩上がり)をフラット化させていくと考えられます。その上で、管理職等のに昇任した場合は、大きく給与が上がるような仕組みになるのではと想定されています。ただ、公務員給与に充てられる予算自体は大きく変わらない可能性もあります。
また、すでに報道されていますが、扶養手当のうち配偶者分を廃止し、子ども分を増額する方針や、地域手当の大くくり化(市町村単位ではなく都道府県単位を基本)などが検討されています。このうち、配偶者分の扶養手当の廃止検討を人事院は「共働き世帯の増加」によるものとしています。
都道府県の人事委員会からの勧告・報告は、人事院勧告・報告を参考にされているところが大いにありますので、公務員としては「賃金」だけではなく、その他のところにも目を向けたいところです。