No.15 「教員不足」という意味
昨今、「教員不足」という言葉が世間に浸透しつつあります。では、「教員不足」とはいったいどういう状態のことをいうのでしょうか。
教職員定数についてはこちら(教職員定数)にも書いています。
仮にA高等学校という学校があるとします。
この学校は全日制普通科、1クラス40名、1学年4クラス、3学年あわせて12クラス、480名の収容定員。
この場合の基本的な教職員定数は次の通りです。
校長1、教頭1、教諭29、養護教諭1、実習教員1、事務職員3=合計36名です。
教諭29とありますが、これがいわゆる「教諭枠」といわれています。この枠内で定数内常勤講師などが配置されています。ただし、産育休・病休等代替講師は、定数をこえて任用されている講師です。
では教員不足はどういう状態か。例をあげます。
Case1:教諭29名のうち、27名が正規採用の教諭です。1名の臨時講師が28人目として勤務しています。ところが29人目に入るべき講師が見つかりません。
Case2:教諭29名のうち、27名が正規採用の教諭です。2名の臨時講師が28、29人目として勤務しています。正規採用の教員が9月から産休・育休を取得することがわかりました。ところが代替講師が見つかりません(つまり、29+1の分)。
典型的な例だと思います。これは教諭に限ったことではなく養護教諭、実習教員、事務職員でも起こりえます。ではどのように解決しているか。
①現状の教員で何とかやりくりする
②非常勤講師を任用する
③ ①と②の複合
仮にある教科を担当する教員が3名配置される予定なのに、2名になったらどうなるでしょう。大体高校の場合、1人が週に16時間から18時間の授業を受け持ちます。単純計算しても3名から2名になると、1人8~9時間分増えます。すると週に24時間~27時間を受け持つことになります(高校は標準で1日6時間、週30時間なので)。加えて、クラス担任や(いわゆる普通に活動する)部活を持っていたら、時間外勤務増加まっしぐらかと。
①がこの状態といえます。②は非常勤講師が入りますので、少し緩和されます。1人分を持ってくれたらよいですが、非常勤講師は校務分掌という校内業務につけることができません。また、非常勤講師が1人分の授業をもつことができない場合もあります。この場合は③の状態になります。なお、非常勤講師を配置することで授業という面で見れば不足していない、ととらえる都道府県教育委員会もあるそうです。そういうところの言葉を借りれば、「授業をやる人は入っているので、不足していない」ということかも。
秋田県の場合は②か③の状態(5月1日時点で18件ほどで、ほとんど②)が多く、①(5月1日時点で5件ほど)も場合によっては見られます。特に①は産育休・病休等代替の(期限付)臨時講師または非常勤講師が入らない場合に見られることが多いと思います。
そもそも、国の教職員定数というものはそれを超えないことが前提となっているので、少子化の現代においては基本的に正規採用者が不足した状態がデフォルトであると考えた方が良いのかもしれません。本当は定数枠分正規採用するのが筋、ではあるのですが。
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