秋田県 教職員が実感できる多忙化防止計画についてPart2

(令和4年度検証結果)総括を読んで

★総括と「検証を踏まえた今後の展開」に対して

 新型コロナウイルスの感染拡大が今回の調査関係に影響を与えたことは想像に難くありませんが、コロナ禍で縮減された業務をそのまま効率化に役立てるということがどれほどできるのでしょうか。世論としては「コロナ前に戻る」ことが「是」となっていますので、学校においてもその方向性になる可能性が高いと思われます。ただ、まかり間違っても「全体の業務時間-コロナ禍で縮減された業務(効率化できた業務)時間+効率化してできた時間でできる新しい業務の時間」となると、全体の業務時間は変わりません。教員個々人の全体の業務時間を減らしていく方向に向かなければ、いつまで経っても全体像は変わりません。

 部活動はどのようにしていけばよいか、意見をまとめきれないでいます。「部活動に従事する教員」「部活動に従事しない教員」の両者が並び立つような状況を作り出すのか、地域移行に進んでいくのか。もし休日地域移行されても、恒常的に土日に勤務するということが改善されないのであれば、生徒にとっても教員にとっても何のための地域移行なのか、考えるべきことは多いです。

 校務支援システムについて、あくまで私見ですが、これまでこの手のデータ共有をしていなかった職場にとってみれば、ある程度の便利さと効率の良さを享受することができると思います。例えば、これまで手書きだった通知表(通信箋)のコメント欄が打ち込みになって印刷できたり(私は打ち込みして、シールに印刷して貼っていました)、ネットワークで情報共有できたり、それを同一の様式で利用できたり、連絡がしやすかったりするのは確かに大きなアドバンテージになります。ですが、すでに要録システムは電子化されていたし、出欠・成績・時間割に関するシステムを別途使っていた職場もあります(自分の在籍校はそうでした)。当然、入試業務についてもシステム化され、名簿も受講講座別・クラス別など任意で出すことができ、成績関係の資料等も同様。そういった職場からすれば、これまでと大きく変わることはありません(成績関連で観点別評価のところがどうなっているかにもよりますが)。服務関係の出張伺い・復命管理簿はExcelで作っていたので打ち込むことは同じだが紙に出さない、出勤簿は印鑑を押さない、休暇も紙に書く作業が打ち込みになる、特別教室予約がシステム上でできる等、これらによってどれほどの業務負担軽減となるのでしょうか。特定の職場ではそこまで感じないと思います。やはり多忙化防止という観点において、この校務支援システムに対する期待度が高すぎると感じます。あれば便利になることもある、というところはもちろん認めますが。ただ、少なくとも導入初期の現段階で、教員に(が)すべて任される状態は、避けるべきでした。

 外部人材については前述した通りです。業務負担軽減という観点もありますが、生徒やその家庭にとっても、専門的知見をもち、行政関係各所との調整をおこなうことのできる人材(カウンセラー、ソーシャルワーカー、ケースワーカー等)は今後必要性が増すと思います。必要な時に連絡して学校に来てもらい支援していただくのでも十分ありがたいのですが、いつでも教員が相談できる環境になれば、さらにありがたいです。そのためには、このような方々が専門職として正しくその力を認識され、それにふさわしい処遇・待遇にすることが必要でしょう。

 2021、2022、この「教職員が実感できる多忙化防止計画」が実行されましたが、思うように(わかっていたのかもしれませんが)結果が伴わなかったことは、秋田県教育委員会としても忸怩たる思いだと信じたいです。業務の平準化をしようとしても人がいないのでできない、産育休・病休の代替が来ないことになるとやむを得ず休む方たちが申し訳なさを強く感じる、人がいないので2クラスないし3クラスをまとめて体育館や大きい教室でやらざるを得ない等々、状況は芳しくありません。秋田高教組として、秋田県の教員を目指す方たちが、「秋田県は教職員も充実しているし、働き方の改善に対しても意識が高くて、さすが秋田県は生徒一人ひとりをきめ細やかに見る教育にかける意気込みが違うね!」と実感できる対策をすることを、秋田県教育委員会に要求し続けています。具体的には、定数内正規教員の増員と業務の見直し。管理・運営に関することは労働組合として要求しても、労働条件等の内容でないので、それが理由で明確な回答はされませんが、あえて言います。志は低いかもしれませんが、せめて定数が充足される状態に何が何でもしてもらわなければなりません。困るのは教職員であり、生徒です。人がいないなら、人がいる状態にするために石にかじりついてでもやってもらいたいと思います(教育委員会も膨大な業務で大変なことはよくわかります。だからこそ、職場にとって必要な人員を確保するだけの予算確保や新規採用に力を入れてほしいです)