20240513 中教審「質の高い教師の確保」特別部会

2024年5月13日、文部科学省中教審「質の高い教師の確保」特別部会の第13回が開催されました。

審議のまとめ及びその他資料は次のURLから取得できます。

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/099/siryo/mext_00020.html

今回の審議を持って、当日の夕刻、部会長から文部科学大臣に審議のまとめが手渡されました。

前回(こちらのページにまとめています)の素案から修正点はあったものの、大まかに言えば内容に大きな変更はありませんでした。

教職員関係者SNS等ではこの「まとめ」が物議をかもしています。ここでは、実際にどのような発言があったのかを振り返ります。とはいえ、すべてを網羅することは難しいので、気になったところを中心に。概ね多くの委員からこの「まとめ(案)」については賛同の意見がありましたが、疑義も呈されていたことも申し添えます。

ほぼ全ての委員から発言されたのは、「このまとめに出ている事柄を実行することが重要で、予算確保も含めて文部科学省が力を尽くさなければならない」といった内容のことでした。その他については以下をご覧ください。

・文科省説明から:共通担任のような分掌にしている場合は、都道府県教育委員会の判断でもって手当を支給することができるようにとの記載が追記

・給特法の在校等時間について、労働時間と明らかにすべき

・昨年夏に出された緊急提言が、すでに忘れられていないか

・管理職への個別支援

教育委員会自身も働き方改革を

・子ども、教職員いずれにとっても、学びのための余白が必要

・教育予算(子どもたちが教育受けるために十分な予算)の確保を(OECDのグラフを提示)

・教職員が(変わったと)実感できなければならない

安全配慮義務に関して、長時間勤務への歯止めがない

・労働立法、労働政策(カスタマーハラスメント等)に関する問題

・教師=高度専門職であるという担保としての修士号について

・大学現場への支援

・実際の現場はやむを得ず長時間労働にならざるをえない状況にあり、人一人にできることには限界がある

・教師不足の状況を解決するためには、抜本的に改革する必要がある。中学校の35人学級の具現化

学校の頑張り任せにしないように、教育委員会が各学校の実態に応じたうまい関わり方を

ロードマップの作成を求める

・各主体間の連携強化

管理職が果たすべき役割等の指標を

小学校中学年の教科担任制⇨速やかな実現を

新たな職の創設⇨モチベーションの向上につながるから速やかな実現を

・教員勤務実態調査からすれば時間的、量的なものは減少している

・教育予算の拡充を

・火災報知器型(何かあったら支援する)からパトロール型(定期的な確認と支援)へ

継続的な検証の仕組み

・どのような施策を経てたとしてもそれが何のため、どうなるかといったことは重要

・ロードマップを作成を

・根拠があいまいなところがある

講師不足に対するところが薄い

文部科学省自身がPDCAサイクルを回せているのか

すべての発言を取り上げることはできておらず、もう一度確認します。

個々の施策についてはその是非はありますが、このまとめにあるような教職員の労働環境における改善が本当に実行できるなら、ある程度は見込めるのかもしれません。が、疑問点は多々あるわけで。

ご本人もSNSで発信されていますのお名前を出しますが、妹尾昌俊委員は今回も資料を提出しての意見出しをされています(こちらをご確認ください)せめて前回妹尾委員からあった質問や文科省事務局が持ち帰って検討するといったことについては、「検討した結果こうだった」というレスポンスが欲しかったと思います。もしかしたら会議の前にそういった話は済んでいるのかもしれませんが、「ロードマップ(工程表)の作成」といった話が前回も、今回も各委員から出ていますし、普通なら「先日の私の意見についてはどう判断されましたか?」と聞きたくなるのが人の性。

こうしたことを総合的に判断すると、口幅ったいですが、審議の内容はさておき最終的に持っていくところは、自民党特命委員会の提言(リンクからご覧いただけます)から大きく外れる内容にはならないようにまとめられた、といっても差し支えないかと。

多くのメディアが「教職調整額10%以上へ」という見出しとなっていますが、そこについての言及はそれほどこの日の審議ではなかったかと思います。あったとすれば、人材確保法制定時の優遇を取り戻すためには10%は妥当ではないか、という意見だったかと。

「一体的、総合的に推進する」ということも確かにその通りではあるのですが、「護送船団方式(遅い方に合わせる)みたいにになってしまうかなぁ」と思わずにはいられない。「少子化で子どもも少なくなるから、先生たちが少なくても大丈夫なように、そのうち良くなるさ」と言われているようにも感じますが・・・

このあと、もうちょい追記します・・・