最近、学校閉庁日について質問がありました。No.4 学校閉庁日よもやま話(こちらもご覧ください)でも少し触れましたが、改めてこれについて確認しましょう。
そもそも学校閉庁日が導入されたのは、「教職員の働き方改革」がさけばれたことです。秋田県でも「教職員が実感できる多忙化防止計画」にも記載があります。webで確認できる情報を総合すると、次のようになります。
・学校閉庁日とは、教職員が一斉に年次休暇などを取得し、基本的に勤務しない日
・学校閉庁日の設定は、働き方改革の一環として実施されている。学期中は多忙な教員が長期休業期間中に休養し、心身をリフレッシュして体調を整えることで、子どもたちに対して効果的な教育活動を行うため
基本的には「一斉に年次休暇などを取得」することを前提とするのであれば、基本的には平日に割り当てられるものと理解することができます。これによって休暇を取得「しなければならない」ことも問題なのですが。
ところが「学校閉庁日」は、週休日等にも適用されているというよくわからない状態になっています。
実は上記のとおり、学校閉庁日はその性格や定義がはっきりしているものではありません。そのため、一般的な公務職場、例えば県庁や市役所等の閉庁(閉館)日とかなり異なる性格を有していると言えます。このことが実は問題の根底にあったりします。夏季休業中、冬季休業中ごとの設定にもその性格の違いと、学校関係者(全員ではありませんが)の認識が見えてきます。このあとその疑問や実態をあげています。
1と2を前提にしてのそもそも論です。
そもそも、「土日(週休日)、祝日・休日、年末年始(6日間)は基本的に閉庁している日」です。もちろん、休日に窓口を開けている庁舎もあるでしょうから一概には言えないのですが、法律・条例上、これらの日は「勤務を割り振られない日」「勤務を要しない日」として規定されています。だからこそ、時間外勤務手当や休日勤務手当、教員特殊業務手当(部活動指導等)が設定されています。
ですから、一般的な閉庁日と合わせて考えると、「本来閉庁しているはずの日を改めて閉庁日に指定している」ともいえるのかもしれません。
夏期休業中も冬季休業中もそうですが、「土日(週休日)、祝日・休日、年末年始(6日間)」を「学校閉庁日」としていることが存在します。特に冬期休業中の「年末年始6日間」を学校閉庁日としているところがありますが、本来の閉庁日として考えれば、あり得ません。なぜなら「年末年始は原則、これまでも学校が閉鎖されている期間で、条例上も職員が勤務を要しない日だから」です。ところが、自治体によっては「働き方改革云々~」により、「学校閉庁日としての正当性」を論じることがあります(後述)。しかし普通に考えれば、「年末年始の勤務形態としては、従来から勤務を要しない日として運用されていたはず」なのです。そうすると、2つの疑問がわきます。
①なぜ、週休日や年末年始等を学校閉庁日に設定しているケースがあるのか
②「学校閉庁日」に、「土日(週休日)、祝日・休日、年末年始(6日間)」を含めるのは妥当か
これは必ずしもそうではないと思いますし、秋田県では年末年始6日間を外していた(今年度から冬季休業中は学校判断のようです)ので様々なケースがあると思いますが、自治体の考え方としては次のようなことだと思います。
・週休日や休日、年末年始も多く勤務をしている傾向が見られたから
これは「教職員がやむをえず週休日等に業務を遂行している」というケースも当然含まれます。年末年始がこれにあたることは少ないと思いますが、「本来勤務日ではない日に業務を行なう必要があるということが学校では当たり前となっている状態であるのだから、教職員に休んでもらうためには土日等も含めて学校閉庁日にするのだ」ということなのでしょうか。冬期間の年末年始休みについては、「カレンダー上、他の日を設定しづらい」こともあると思いますが、自治体のみなさんには正しく広報してほしいと思います。
ともあれ、そうした勤務実態を解消するため、という建前ではあります。
(※「休みなさいという声」と「必要があるんだという声」のせめぎ合い・・・・)
一般的な「閉庁日」として考えれば、そもそも論で述べた通り「すでに閉庁(休日等)とされている日」になるので、妥当かどうか以前のことだと思われます。
ただし、学校という場においてはそうした概念とは異なる(言葉はあまりよろしくないですが、そうした意識が希薄)ため、「学校閉庁日」という学校でのみ通用する言葉が生まれたと考えられます。
参考までに「北海道教育委員会の関係通知」(バナーから見れます)の中にある「学校閉庁日質疑応答集」に、同様の質問に対する回答がありましたので、ここに引用します。あくまでも「北海道教育委員会」の考え方であり、それぞれの自治体の考え方があります。秋田とも少し異なりますが、参考までにご覧ください。
(質問)冬休みの学校閉庁日は、なぜ年末年始の休日に設定するのか?もともと休日であるため、学校閉庁日に設定する必要はないのではないか?(補足:通常、こう考えると思います)
⇒(回答)年末年始の休日は勤務を要さない日ではありますが、一部の学校では部活動が行われている状況が見受けられること(補足:こういう言い方もどうかと思いますが)から、学期中は多忙な教員が、年末年始の休日には、しっかりと休養を取ることができるよう、全道統一の学校閉庁日としたものです。
(質問)夏休み中の学校閉庁日は、なぜ週休日及び祝日以外の日に設定するのか。週休日や祝日に設定することはできないか?(補足:これが学校独特の考え方だと思います)
⇒(回答)学期中は多忙な教員が長期休業期間中に休養し、心身をリフレッシュして体調を整えることは、子どもたちに対して効果的な教育活動を行うためにも意義のあるものと考えていますので、夏休み中に休暇取得を促進するため平日に設定することとしています。なお、平日に3日間設定した上で、週休日や祝日に学校閉庁日を設定することは可能と考えます。
学校閉庁日が設定されたことで、「休みやすくなった」という声もあることから、効果があった面もあると思います。ただ、そこに私たちの権利である各種休暇の取得ということをある意味強制されていることは問題です(他の公務員、国家公務員でいえば、計画的に年次有給休暇5日間を取得するよう計画表の作成が人事院から求められており、概ね同じようなことなのですが、少なくとも自分で決めることができるようです)。
今回は学校閉庁日について改めて調べてみました。一般的な「閉庁日」と「学校閉庁日」は、意味合いがだいぶ違うことをご理解いただけたでしょうか。いずれにしても、それぞれの学校で働く教職員からの声を集めることも必要だと思います。