No.22 35人学級(教職員定数との関係)
はじめに
※このページは教職員定数がどのように定められているのかを主眼にしたページです。教職員組合の基本的な姿勢は、少人数学級をすすめ、きめ細かい指導ができるような体制にすることです。
No.2で教職員定数の基本概念を投稿しました。下記をご覧いただくと法律上、算定の基準が「40人」となっていることが分かると思います。毎年、入学募集定員が夏頃に公表されますが、これまで35人学級だったところが40人学級になるケースが増えています。秋田県においては専門学科は35人学級ですので、普通科にその傾向が強いでしょう。
いわゆる高校標準法に規定されていること
標準法では様々な計算式によって教職員定数の算出方法が決められていますが、その中の一つが「第9条第2項」になります。「その県の各学校の収容定員を、所定の数字で割り算」するやり方です。
収容定員数⇒除す数
四十人以下の課程(の収容定員合計)⇒8
四十一人から八十人までの課程(以下同様)⇒11.4
八十一人から百二十人までの課程⇒15
百二十一人から二百四十人までの課程⇒16
二百四十一人から二百八十人までの課程⇒16.4
二百八十一人から四百人までの課程⇒17.1
四百一人から五百二十人までの課程⇒17.7
五百二十一人から六百四十人までの課程⇒18.2
具体例
仮にある県に4校の学校があったとします。
①収容定員が35人4クラス×3学年=420人の「A高校」
②収容定員が40人5クラス×3学年=600人の「B高校」
③収容定員が35人5クラス×3学年=525人の「C高校」
④収容定員が40人3クラス×3学年=360人の「D高校」
これを前述の枠内に当てはめると、
・281人から400人までの範囲にD高校⇒360人/17.1
・400人から520人までの範囲にA高校⇒420人/17.7
・521人から640人までの範囲にB高校とC高校⇒600人+525人=1125人/18.2
結果以下の通り算出されます(小数点以下切り上げ)。
ある県の教職員定数の一部:「21+24+62=107人」
これの他にも様々な算出方法が定められており、その合計が国で定められた教職員定数となります。
40人学級を35人学級にする場合
仮にA~D高校のすべてを35人学級にした場合はどうなるか。
①収容定員が35人4クラス×3学年=420人の「A高校」
②収容定員が35人5クラス×3学年=525人の「B高校」
③収容定員が35人5クラス×3学年=525人の「C高校」
④収容定員が35人3クラス×3学年=315人の「D高校」
・281人から400人までの範囲にD高校⇒315人/17.1
・400人から520人までの範囲にA高校⇒420人/17.7
・521人から640人までの範囲にB高校とC高校⇒525人+525人=1050人/18.2
結果以下の通り算出されます(小数点以下切り上げ)。
ある県の教職員定数の一部:「19+24+58=101人」
となり、国の基準で算出すると定数が減ります。したがって別の予算措置をする必要性が出てきます。
全ての学校と学科で35人学級にならないのは、こうした実態があるためです。
教育界の要望
教育界は30~35人学級を導入するよう求めています。それはきめ細かい指導を生徒一人ひとりに行うためには、少なくともOECD平均と同等にする必要があるとの主張です。それは結果的に学校現場の労働環境を改善する方向に進めることができます。しかし財務省は、少人数にすることによる効果に対して疑義を呈しており、教職員定数を増やすことに否定的な意見です。結果、文科省も定数を増やすことによる予算増よりも少なくて済む方法論を模索した結果、「審議のまとめ」のような意見を出していると見てよいでしょう。
確かに少子化によって児童生徒の人数が減っていることは事実で、それに伴って教職員定数が減少することは避けられないとも言えます。しかし、日本型の優れた教育システムを維持したまま、新たな教育内容を加えて推進するためには、それに見合った職員数がいなければなりません。
こうした要望が教育界から出ていることは紛れもない事実です。もちろん、教職員組合だけでなく、校長協会からも同様の意見が出されています。「ゆとりある教育を求め全国の教育条件を調べる会」の山崎洋介先生が主張している「乗ずる数(←これは義務教育標準法)」「除する数」を改正し基礎定数を増やすべきであるというのは、予算が流動的な加配措置ではなく、安定的な学校運営のために重要な主張と言えます。